懲りずに第十九弾です。
★柳也
神奈「柳也殿、盗み食いをする輩とは誰のことじゃ?」
★佳乃
柳也「それは食いしん坊だと言うのでは……」
★美凪
佳乃「へええ、そうだったんだ。あたし初めて知ったよぉ」
★栞
栞「ふう、疲れました」
<続きなし>
今回はちょっとした雑学を交えながら。
もっと真面目に作れればいいんだけどねえ…。
ま、仕方ないことです。
『4行小説』
「おほん。本日のお題はお菓子だ」
「夜な夜な盗み食いをする輩も居るほどにお菓子は魅力的である」
「それについて各自思うものを語ってくれ」
「ちなみに俺はあまり好きではない。食えぬ事はないがな」
柳也「さあな」
神奈「余に黙って行う者がおるとはまったくもって無礼千万…」
裏葉「神奈様、本気でそんな事を思ってらっしゃるのですか?」
神奈「あ、いや、その、なんじゃ。余のお菓子を盗み食いされてはかなわぬと思ってな」
柳也「なんだ、お前じゃなかったのか」
神奈「な、何を申すか!余がそんな事をするわけがなかろう!!」
柳也「明らかに動揺してるぞ」
神奈「そんなことはない!」
裏葉「ところで神奈様。昨日食された紅白饅頭はどうでございましたか?」
神奈「紅白饅頭?何を申すか、あれは柏餅ではないか」
裏葉「……やはり神奈様が食べたのでございますね」
神奈「…はっ!た、食べておらぬぞ!余は紅白饅頭を食べたのじゃ!」
裏葉「紅白饅頭など昨日は神奈様にお出ししておりませぬが?」
神奈「………」
柳也「誘導尋問か…。というか饅頭などがあったのか?」
裏葉「ええ。箱に隠しておいたのですが、今日見たら無くなっておりまして」
柳也「なるほど……おい神奈、どこへ行く」
神奈「うっ!…す、少し用事を思い出したのじゃ」
裏葉「用事なら私がありますのでしばしお付き合いくださいませ」
神奈「……う、う、裏葉が余に用事?あ、後にできぬか?」
裏葉「なんなら今でも良いですよ?…そうですね、今すると致しましょう。さ、神奈様」
神奈「そ、そんなすわった目で迫るでない!…わーっ!」
がしっ
裏葉「では柳也様。今回は私達は参加しませんので」
神奈「は、放せ、放すのじゃーっ!」
裏葉「いいえ、放しませぬ。さてあちらへ参りましょう」
神奈「りゅ、柳也殿ぉー!」
柳也「……逝ってしまったか。って、せめて4行やってから逝って欲しかったのだが」
佳乃「えへへ、こんちわーっ」
柳也「おっ、今来たのか?」
佳乃「そう。今来たとこだよぉ」
柳也「では早速やってくれ」
佳乃「ねえ、あの二人はどうしたのぉ?」
柳也「少し事情があって今は居ない」
佳乃「ふぅん?まあいっか。それじゃあいくよぉ」
「お菓子といえば和菓子だよねぇ」
「でも洋菓子もいいよねぇ」
「かのりんはちょっと欲張りだから両方食べちゃうよぉ」
「だってどっちも好きだもんね」
佳乃「まあまあそう言わずに。柳也くんも食べれば病み付きになるよぉ」
柳也「りゅ、柳也くん……」
美凪「じゃん。イチゴのショートケーキです」
佳乃「わっ、なぎーいきなり登場っ!」
美凪「ささ、ゆっくり召し上がれお代官様」
佳乃「よーしっ、ありがたくいただくよぉ」
さっ
佳乃「あっ、何すんのなぎー?」
美凪「これはりゅうりゅうのものですから」
柳也「りゅ、りゅうりゅう……」
佳乃「そかそか、そうだったね。てへっ、かのりん大失敗」
美凪「改めまして、ゆっくり召し上がれお代官様。山吹色のお菓子です」
佳乃「もぉ、それは白に赤のお菓子じゃない」
美凪「ちっちっち、実は中に仕込んであるのです」
佳乃「ええっ、そうなのぉ?」
美凪「はい。賄賂ばっちり」
佳乃「なぎーってば悪だねぇ」
美凪「かのりんこそ。てもみてもみ」
柳也「…お前ら一体何がやりたい」
佳乃「あっ、お代官様まだケーキ一口も食べてないよぉ」
美凪「お口に合いませんか?でも食わず嫌いはよくありません」
柳也「いや、その、まあ…食べていいのか?これ」
美凪「そうでごぜえますだ、おでえかんさま」
柳也「俺は代官なんかじゃないんだが……。まあいただくとするか」
ぱく
柳也「…ほう!これは…やけに甘いお菓子だな」
佳乃「もしかして食べるの初めて?だよねぇ」
美凪「初体験。これでりゅうりゅうも大人への第一歩を踏み出しました」
柳也「………。まあなんだ、一口で十分だな」
美凪「あらら。りゅうりゅうは里に逃げ帰ってしましたとさ」
佳乃「うぬぬぬ〜、食べ残しはよくないよぉ?」
柳也「……って、こんなことしてる場合じゃなくてだな。次は美凪だ。早くしろ」
美凪「こうしてりゅうりゅうは滅びた。しかし第二第三のりゅうりゅうが……」
柳也「早くしろって言ってるだろ!それにりゅうりゅうなんて呼ぶな!」
美凪「では柳也ちん?」
柳也「…ああ、もういい。それでいい」
佳乃「なんだか投げやりだよぉ」
柳也「たしかに投げやりになるな、こりゃ……」
美凪「じゃんじゃんじゃん。ではなぎー参ります」
「暑い日にはさっぱりとしたお菓子が好まれます」
「例えば水羊羹などがありますが……」
「実はこれは冬が旬なのです」
「たたーん。大いに誤解されてた新事実がこうして今明らかに!」
柳也「本当に事実なのか?」
美凪「文学的な先生から聞きました。間違いありません」
柳也「ほう、自信満々だな……」
美凪「えっへん」
佳乃「なぎースゴイスゴイ」
美凪「えっへんえっへん」
柳也「さてと、次の奴は……」
栞「こんにちは」
佳乃「あっ、しおりんだぁ」
美凪「しおりん?」
柳也「たしかに名前に“ん”を付ければしおりんだな」
佳乃「語尾がりんってことであたしとおんなじだよぉ」
栞「は、はい、そうですね」
柳也「おどおどしてるけど大丈夫か?」
栞「へ、平気です。えと、テーマはお菓子ですね?」
佳乃「そうだよぉ。…もしかしてアイスについて語るつもり?」
栞「はい。そうしたいと思ってます」
柳也「なんでもいい、いってくれ」
美凪「しおりんふぁいと、です」
「バニラアイス」
「日本では明治の頃広まったと聞いています」
「私はそれより前に生まれたのじゃなくて良かったです」
「アイスが食べられなくなるところでしたから」
柳也「アイス……そういえば以前往人から振る舞われた事があったな」
佳乃「ええっ、そうなのぉ?」
柳也「あれはたしか、2行をやりにいった時だったか…」
美凪「何故国崎さんから?」
柳也「いや、往人が食そうとしていたのを誰かが奪ってそれを渡してくれたような」
佳乃「それって……」
美凪「強盗殺人?」
栞「殺人まではいかないと思いますけど…」
佳乃「いやいや、往人くんにとっちゃあ死活問題だよぉ」
柳也「そ、そうなのか?」
佳乃「うんっ。夏にしょっちゅう行き倒れてたもんねぇ」
栞「す、すごいです……」
美凪「残念。そんな時こそ膝枕をしてあげられてたのに」
柳也「行き倒れに添い寝してもどうかと思うぞ」
栞「でも行き倒れてる人に膝枕をしながらアイスで看病。なかなかいいですね」
美凪「………ぽ」
柳也「何故照れる」
美凪「栞さん、一度作戦を練りましょう」
栞「はい?」
美凪「あなたはアイス、私は膝枕。それをお互いに伝授し合います」
栞「なるほど……」
佳乃「感心してるのはいいけどどうやって伝授するのかなぁ」
美凪「そしてかのりんは行き倒れを伝授」
佳乃「あたしそんなの伝授できないよぉ」
栞「よろしくお願いします」
佳乃「だから無理だよぉ……」
柳也「大変そうだが頑張れ。さてと、俺は残ったケーキを神奈へ持っていってやるか…」
美凪「お開き?」
柳也「ああそうだ。言い忘れてた、すまんな」
美凪「ではしおりんにかのりん、伝授開始です」
栞「は、はいっ」
佳乃「本当に無理なんだってば〜!!」
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