『AIR偽小説第十七弾』

懲りずに第十七弾です。
司会への扱い、往人よりマシって気も。
ただ、その分神奈への扱いが酷いかも。
ゲストが相変わらずと言えば相変わらず。


『4行小説』

★柳也
「昨晩の季節外れの嵐はなかなかに凄かった」
「そこで今回のお題は嵐について、だ」
「間違っても神奈の様に、菓子荒らしをやってはいかんぞ」
「それでは始まりだ」

神奈「またいきなり余をけなすか」
柳也「言ってる傍から何か食っているな」
神奈「これは荒らしたのではないわ!」
裏葉「そうでございますよ、柳也様。私が神奈様に差し上げたのでございます」
柳也「なんだそうなのか。珍しいな」
裏葉「こうでもしないと、また荒らされてはかないませぬゆえ」
柳也「それなら合点がいく。要は荒らされぬ為のエサか」
神奈「二人して何を無礼なことを申すか!!」
あゆ「そうだよ。そこまで言ったら可哀相だよ」
柳也「おわっ!!い、いきなり登場するな!」
裏葉「おいでませあゆさま。私が伝授した気配の消し方、すっかり会得されたようですね」
あゆ「うぐぅ、これ難しかったよぉ〜」
神奈「話が途中になってたのじゃが…とにかく余は……」
柳也「わかったわかった、もう菓子荒らしなんて言わないから」
神奈「やけに素直じゃの?」
柳也「いつまでもからかっててやりたいところだが、それだと話が進まぬからな」
神奈「………」
裏葉「それでは、二番手として私が」

★裏葉
「あの嵐の中、私は離れた場所で神奈様を案じておりました」
「“ああ、この様な大変な時に何故私は傍にいられないのか!”と」
「こんな時こそ、恐ろしさにふるえる神奈様を両の手でしっかりと抱きしめ…」
「あーんな事やこーんな事を……」

柳也「…裏葉、お前最近変だぞ」
裏葉「そんな事言う人、嫌いでございます」
柳也「………」
神奈「余はめまいがしてきた……」
裏葉「それはいけません!ささ、私が添い寝して差し上げますゆえ…」
神奈「要らぬ!!まったく、どこをどう間違えたのやら……」
裏葉「私は何も間違えておりませぬ。ねえあゆさま」
あゆ「う、うぐぅ……」
柳也「何の関係も無い奴を巻き込もうとするな。さて、あゆだったな。行ってくれ」
神奈「…余はまた最後なのか?」
柳也「その方が綺麗にまとまる」
神奈「ふむ……」
あゆ「じゃ、じゃあいくねっ」

★あゆ
「嵐と言えば、前に強風で吹き飛ばされそうになったことがあったんだよ」
「服を押さえてなんとか歩いて行けたものの……」
「飛んできた紙切れにぶつかるし散々だった」
「うぐぅ、たい焼きなんて買いに行くんじゃなかったよ…」

裏葉「嵐に外へ出ようとするなど、愚かきわまりありませんね」
あゆ「うぐぅ、そこまで言わなくても……」
柳也「しかし正論だぞ。何故家にいなかった?」
あゆ「だって、たい焼きを食べたかったから……」
神奈「たい焼きとやらはそんなに美味しいのか?」
あゆ「うんっ。あ、今持ってきてるよ。食べる?」
神奈「遠慮なくいただこう」
柳也「食い意地はってる奴だな…」
神奈「無礼な事を申すな!余は、あゆ殿がくれると言うからもらうと答えただけじゃ!」
裏葉「即答なさってる時点で説得力がございませぬ」
神奈「………」
あゆ「それはそれとして、はい、神奈ちゃん」
裏葉「いいえ、まずは裏葉が毒味をいたします」
あゆ「うぐぅ、毒なんか入ってないよぅ…」
裏葉「…そうでございますね、さすがに失礼でした」
神奈「まったく…」
あゆ「えっと、あらためてはいっ、神奈ちゃん」
神奈「おお、すまんな。まったく、どうして余の傍に居る者はあゆ殿みたくかわいげがないものかのう」
柳也「勝手にほざいてろ。えーと、次は……」
美凪「………」
柳也「お、あんただったか。えと、たしか……」
神奈「おお、美凪ちんではないか」
美凪「そういうあなたは神奈ちん」
裏葉「か、神奈ちん!?…神奈様、裏葉に断りもなくその様な呼び名をぉぉぉ!!」
神奈「な、何をそんな…もぐもぐ…怒っておるのじゃ!…もぐもぐ。余は…もぐもぐ」
あゆ「あのう、食べるか喋るかどっちかにした方がいいと思うよ」
美凪「そういうあなたはあゆちん」
あゆ「う、うぐぅ……」
柳也「どうでもいいから美凪ちんとやら、さっさといってくれ」
美凪「……私の出番なのですか?」
柳也「出番だから来たんじゃないのか」
美凪「それもそうですね……では……」

★美凪
「じゃん」
「お米券の嵐っ」
「しゅびびびびびび……」
「これをますたーするのには苦労しました」

柳也「……帰れ」
美凪「残念、うけませんでしたか」
柳也「ここはうけを狙う場所ではないのだが」
裏葉「部屋に“進呈”などと書かれた書物が散らばると、こうも面妖になるのですね…」
神奈「お米券はいいぞ、飯がたらふく食えるでな。…もぐもぐ」
柳也「まだ食べてんのかお前は」
あゆ「うぐぅ、一個だけって言ったのに……」
神奈「かたいことを申すな。余はいくらでも食べるぞ」
美凪「底なし胃袋。でも甘いものは入るところが違います」
裏葉「例えそうでも近頃の神奈様は食べ過ぎでございます」
美凪「大丈夫。私がお医者様をご紹介いたします」
柳也「……残念だがそれは遠慮しておく」
美凪「何故でしょう?」
聖「人には言えぬ事情というものがある。そういう事だろう」
裏葉「これはこれは聖様」
あゆ「うわっ、なんか凄く尊い人みたい」
美凪「聖先生はお医者様ですから」
聖「それはそれで違う気がするが……まあいい。さて、病人はおいといて、嵐だったな?」
神奈「もぐもぐ、そうじゃぞ。嵐について……もぐもぐ…語るのじゃ」
柳也「ひたすら食ってやがる……」

★聖
「嵐、それは強きもの」
「そして乱暴なもの」
「停電にならなければ、あの患者を救えたものを……」
「自家発電機くらいつけとけというのだ、あの病院は」

あゆ「……なんか深刻なことがあったんだね」
聖「そうだ。まったく忌々しい…。あれは嵐ではなく人間の責任だ」
美凪「結局聖先生はどうされたんですか?」
聖「遺族の方にお詫びした。そして病院長を訴えた」
あゆ「さ、裁判になったの?」
聖「いや、金の力で事件は消されてしまった。とんでもない話だ」
美凪「………」
聖「さぞあの方達は悔しかっただろう。もちろん私も悔しい。何故にあの病院長は…」
柳也「ひたってるとこ悪いが、俺らにも分かるようなことを言ってくれ」
裏葉「それは柳也さまの勉強不足でございます。往人さまがしっかり書物を…」
柳也「その書物を独り占めしてるのはどこの誰だ!」
裏葉「それは神奈様でございます。和歌も覚えずにこれを読んでばかり……」
神奈「な、何を申すか!…もぐもぐ。話を聞くに、これは必要な事じゃぞ!…もぐもぐ」
聖「どうにも不謹慎な気がするが……ただの愚痴になってしまったかもな。失礼した」
神奈「いやいや、そんなことはないぞ。…もぐもぐ。現代医学というのは…もぐもぐ」
あゆ「うぐぅ、だから食べるか喋るかどっちかにしようよぉ」
聖「やれやれ……」
美凪「神奈ちん、大食漢?」
柳也「手前に底なしだとか入るところが違うとか言ってなかったか?」
聖「ちなみに、医学的にも、甘いものは入る所が違うなどということが言えるぞ」
あゆ「うぐぅ?そうだったんだ……」
神奈「小難しいことはいい。さて、最後に余の出番じゃな。……ごくん」
裏葉「ようやく食べおわりましたか…ここまで大食らいであらせられるとは…」
神奈「いちいちうるさい!」

★神奈
「さて、嵐の様なという表現がある」
「裏葉の小言、そして和歌の教授はまさにそれであった」
「なんと言っても、わずかな間にたくさんの事を言ってくるのでな」
「しかも長い……まさに嵐じゃ」

裏葉「……そんな事を言われるとは、裏葉は悲しゅうございます」
神奈「事実であろうが!だいたい、一日に百首も覚えさせようとするでないわ!!」
美凪「百……美凪ちんすーぱーびっくり」
聖「……遠野さん、その呼び名はまだ続いていたのか」
神奈「そういう聖ちんはどう思う?百など無茶苦茶ではないか?」
聖「私もそんな呼び方をされ続けていたのか……」
柳也「まさか俺まで伝染しないだろうな?」
裏葉「大丈夫でございますよ、柳也ちん」
柳也「言ってる傍から裏葉が言うな!」
あゆ「うぐぅ、ということはボクも……」
裏葉「あなたはうぐぅちんですよ」
あゆ「う、うぐぅ!そんなのいやだよぅ〜!!」
聖「不憫な……」
美凪「呼び方が決まったところで大団円。終わりです、ぱちぱち」
神奈「まだ終わっておらぬ!裏葉ちんの強引さをなんとか……」
裏葉「う、裏葉ちん……ああ、神奈様にその様な呼び方をされようとは……」
あゆ「うぐぅ、せめてボクはあゆちんにしてぇ〜」
柳也「ドタバタしてるこの辺で終わり」
神奈「待てい柳也殿!」

<それに関してはまた次回>


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