『AIR偽小説第十一弾』

懲りずに第十一弾です。
何気なく増えてってますね。
慣れるまでどんどんやってやります。
とはいえ、いつになったら慣れるやら。


『8行小説』

★往人
「なかなかに調子に乗ってきたようなので、今度は8行だ」
「心優しき俺はとんでもないテーマを出してやろう」
「ずばり、どろり濃厚シリーズについて!」
「ちなみに俺は飲んだことはない」
「いや、あるにはあるが一口で拒絶した」
「あの爽やかとは程遠い飲み物は……」
「飲む音を聞いているだけでも恐ろしい」
「あんなのを好んで飲む奴は味覚がよほど変なんだろう」

観鈴「が、がお……」
ぽかっ
観鈴「うう、イタイ……」
往人「やったな観鈴。いいテーマだろう?」
観鈴「往人さん、あそこまでぼろぼろに言わなくても……」
往人「俺なんかはまだ軽い方だと思うが?」
観鈴「そんなことない」
往人「ふっ、そう粋がっていられるのも今のうちだ」
観鈴「………」

★観鈴
「どろり濃厚しりーず〜!」
「ヘンな飲み物なんだけど、とっても美味しいよ」
「ドクドクドクって音が新鮮、にはは」
「色んなフルーツの味があって、一度飲めばきっとやみつき」
「一パック100円と、とってもお得」
「でも、ある自販機にしか置いてないの」
「どこかでもっとたくさん安く売ってないかな〜」
「観鈴ちんがきっと買い占める、にはは」

観鈴「……ちょっと慌てちゃった」
往人「あんまり形になってない様な気がするが」
観鈴「そんな事ない。立派に語ってるもん」
往人「まあそれはそれでいい。さて、次に語る奴だが…」
美凪「……こんにちは」
観鈴「あっ、遠野さん」
往人「事前に味見してもらったからな。さあ語ってもらおう」
美凪「……はい」

★美凪
「どくどくどくどく……」
「新鮮な音には間違いありませんが……」
「飲みにくいのは間違いありません」
「ちなみに私はすべてを飲みきることが出来ませんでした」
「ここで提案があります」
「テーマを変えてはいかがでしょう?」
「じゃん」
「日本人はお米族」

往人「いきなり自分の希望を通そうとするな」
美凪「賄賂です。お米券」
観鈴「わ、堂々としてる……」
美凪「はい、神尾さんにも」
観鈴「え、え、ど、どうしよう……」
美凪「受け取った暁には是非テーマをお米に」
観鈴「うーん、どうしようかな……うん、いいことにするよ」
美凪「ありがとうございます、お代官様」
観鈴「にはは、よきにはからえ」
ぽかぽかっ
観鈴・美凪「いたい……」
往人「俺が進行役なんだぞ!?自分達で勝手に変えるな!」
美凪「賄賂が足りませんでしたか」
往人「お米券など要らん!!」
美凪「では汚職事件を」
往人「字がちがくねーか?」
美凪「神尾さん、訂正よろしくお願いします」
観鈴「えっ?えーと……お食事券」
美凪「ぱちぱちぱち、正解です。お米券を進呈」
観鈴「またもらっちゃった……ごめんね」
美凪「いえ。是非ご利用なさってください」
観鈴「うん」
往人「……さて、ほっといて話を元に戻すか」
美凪「お米について……」
往人「違う!どろり濃厚についてだ!!」
神奈「うー……げぷっ。な、なんとか飲んだぞ」
往人「見ろ、奇特にも飲んだガキも居るんだ。こいつの努力を無駄にしていいのか!?」
神奈「非常に失礼な事を言ってないか?それに余はガキではないわ!!」
観鈴「わ、全部飲んでくれたんだ。嬉しいな」
美凪「そんな神奈さんに努力賞。お米券です」
神奈「おおすまんな。まったく、なぜにここまで態度が違うものかの」
往人「愚痴ってないで、飲んだならとっとと語れ」
神奈「相変わらず偉そうな輩じゃの……」

★神奈
「余は最初この飲み物が飲めなかった」

往人「肺活量がひ弱なんだな」
神奈「いきなり茶々を入れるでない!!」

★神奈
「何度か努力して飲み出すことは出来たのじゃが……」
「喉ごしがなんとも気色悪くての」
「途中で水も一緒に飲んだのじゃ」

往人「飲み物を水と一緒に飲むなんてシャレになってないぞ」
神奈「だから途中で茶々を入れるでないと言ってるであろうが!」
観鈴「入れる出ない?」
美凪「面白い表現です、ぱちぱち」
神奈「………」
往人「気を取り直して続きいけって」

★神奈
「と、ともかく余はどろり濃厚とやらをすべて飲んだ!」
「味はなかなかのものじゃったと言っておこう」
「これはやはり食感に問題ありじゃと思う」
「間違っても食物と一緒に飲むわけにはいかないであろうな」

往人「……すげえ、真面目だ。そういえば今日はやけに暑いしな」
神奈「余に何か不満でもあると申すか?余は普通に感想を述べただけじゃ!!」
観鈴「そうだよ。往人さん、神奈ちんの言う通り。観鈴ちん感動しちゃった」
神奈「か、神奈ちん?」
観鈴「わ、ご、ごめんなさい。つい一緒にして呼んじゃった」
神奈「……別に良い。珍しいものも食せたしの」
観鈴「にはは、よかった」
美凪「観鈴ちんに神奈ちん……美凪ちんはないのでしょうか?」
神奈「お主妙な所にこだわるの。ところで、このお米券はどうやって使えばいいのじゃ?」
美凪「米屋に行って交換すればいいんです。美凪ちんはいつもそうしてます」
観鈴「わ、遠野さん気に入ったみたい……」
美凪「ちっちっち、美凪ちんです」
観鈴「う、うん、美凪ちん……」
神奈「観鈴ちんに美凪ちんに神奈ちんか……。なかなかどうして愛敬があるではないか」
往人「三ばかトリオ……」
ぽかぽかぽかっ
往人「いてててっ!」
観鈴「往人さん余計なこと言い過ぎ」
神奈「無礼な奴には罰が必要じゃ」
美凪「お仕置きだべ〜」
観鈴・神奈「………」
美凪「ヘンでしたか?」
観鈴「う、ううん、にはは、面白い」
神奈「むう、世の中は広いものよの」
往人「はあ……次いこ」
舞「………」
往人「またお前か」
舞「………」
ぽかっ
往人「いてっ!無言で攻撃するな!!」
舞「また、なんて言われるほど来ていない」
往人「はいはい。いいからさっさと8行やっちゃってくれ」

★舞
「………」
「…………」
「……………」
「………………」
「…………………」
「…………どくっ」
「…………飲めた」
「…………美味しい」

往人「……お前語る気あんのか」
舞「はちみつクマさん」
観鈴「えっ?どろり濃厚はちみつレモンがあるって?」
舞「…ぽんぽこタヌキさん」
美凪「なるほど、いい暗号ですね」
神奈「余には何がなんだかさっぱり分からぬのじゃが」
舞「………」
観鈴「でもはちみつレモンがあったら観鈴ちん飲みたいな〜」
美凪「……美凪ちんも飲みたいです」
神奈「か、神奈ちんも飲みたいぞ」
舞「…舞ちんも飲みたい」
往人「いかん……つ、次だ次!!」
聖「私が最後を締めくくるのか」
往人「さっさと語って終わってくれ聖ちん」
聖「……君からそんな呼び方をされると寒気がする。絶対にやめてくれ」
舞「聖ちん……」
美凪「………ぽ」
神奈「美凪ちん、何故照れる」
観鈴「にはは、楽しい」
聖「………」

★聖
「単刀直入に言うと、私は飲んでいない」
「だが味見はした。そこはかとなく独特な風味」
「しかし、一体誰がこのようなものを作ったのだろう?」
「私としてはそちらの方が気になってな」
「ついこの前知り合った方と少し調べに行ってみた」
「だが残念な事に、真実は遠かった」
「ほとんど何も収穫は得ることが出来ないまま帰路につく羽目になったのだ」
「医学的に非常に役立つもののはずなのだが……」

聖「以上だ。私はこれで失礼する」
往人「意味深なのかあっさりしてるのかわからんな」
聖「なんとでも言え。もうこれ以上ここに居たくない」
美凪「聖ちん、お帰りですか?」
聖「遠野さんまで…その呼び方はやめてくれ」
美凪「ちっちっち。遠野さんではありません、美凪ちんです」
聖「……なら彼はどうする。往人ちんなのか?」
観鈴「往人ちん…にはは」
神奈「呼び方一つでこうも雰囲気が変わるものとは…。やはりこの世は不思議じゃ」
舞「往人ちん、最後締めて」
往人「えーい、終わりだこんちくしょー!」



往人「それにしてもどろり濃厚を完全に飲んだ奴が結構居たんだな」
観鈴「でも、観鈴ちん合わせて全部で3人だった」
往人「贅沢言うな。それだけ居ただけでも奇跡だ」
観鈴「にはは、そうかもね」
往人「しっかし途中でテーマが変わってたような……」
観鈴「にはははは、気の所為気の所為」

<往人ちんふぁいと>


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