『猫が胡桃を回すよう』だよっ


名雪「緊急事態!なんとお母さんが都合悪くなっちゃったよ…」

真琴「あぅーっ、それでなんであたしがアシスタントなのよぅ…」

名雪「お母さんにバイトを紹介してもらったのにその言い草はないんじゃない?」

真琴「秋子さんの恩をなんで名雪に返さなきゃいけないのよ!」

名雪「あれぇ?お母さんに頼まれなかったのぉ?」

真琴「う…頼まれました…」

名雪「よろしい。じゃあ早速続きの解説いくね」

真琴「で、でもあと少しで終わり、だよね?」

名雪「何言ってるの。お母さんが都合つくまでばっちりつなげるからね」

真琴「あぅーっ…」

名雪「さて今回の言葉だけど…」

真琴「猫がじゃれて遊んでる様子とでも言いたいの?」

名雪「甘いね真琴は。まだまだだよ」

真琴「何がまだまだなのよぅ」

名雪「これはね“相手を手玉に取っている様子”なんだよ」

真琴「どういうこと?」

名雪「わからない?わからないよねえ。大抵取られている方は気付かないものだしね」

真琴「…もしかして真琴が手玉に取られているってことなの?」

名雪「あ、やっぱり自覚ないね。うんそうだよ」

真琴「ちょっと!誰に手玉に取られてるっていうのよ!」

名雪「言うまでもなくわたしだよ」

真琴「あぅ…」

名雪「違うって言うなら証拠を見せてごらんよ」

真琴「う…(ぴろだけは目の前に見せちゃ駄目って秋子さんに言われてるし…)」

名雪「どうしたの?」

真琴「な、なんでもないわよぅ」

名雪「そ。とにかくわかったね、この言葉の意味は」

真琴「うん…」

名雪「じゃあ早速イチゴサンデーをご馳走してよ」

真琴「えええっ!?」

名雪「あ、でも真琴には厳しいかな。じゃあイチゴジャムでいいよ」

真琴「どういいのよぅ…」

名雪「代わりに肉まんをご馳走してあげてもいいよ?」

真琴「あ!それならするする!!」

名雪「じゃあお願いするね。いちごジャム一年分」

真琴「おっけい!…って、一年分ってどのくらいの量なのよう」

名雪「一日に一瓶食べるとして、うるう年の事を考えると…366瓶だね」

真琴「あぅ…いくらなんでも真琴そんなにお金持ってない…」

名雪「いきなり諦めちゃだめだよ真琴。でもないなら仕方ないな…」

真琴「うんうん」

名雪「肉まんもおあずけだね、こりゃ」

真琴「あぅーっ…」

名雪「…うん、真琴は素直だね」

真琴「どういうこと?」

名雪「あんまり反抗しないから、武器を取り出さなくて済むよ」

真琴「ぶ、武器…」

名雪「ちなみに今回用意してたのはこれだよ」

かちっ

ずごごごごごご…

真琴「って何床に仕掛けてるのよぅ!」

名雪「ごきぶりホイホイならぬ真琴ホイホイだよ」

真琴「あ、あぅーっ…」

名雪「いつかはこれを使うときがくるかもしれないね」

真琴「こないこない!絶対にない!どうせだったら祐一に使ってよ!」

名雪「誰それ?」

真琴「だ、誰って…」

名雪「祐一なんて人は猫さんに背いた人だからもはや抹消された人物なんだよ」

真琴「抹消…あぅーっ…」

名雪「しかも香里がフクロにしたらしいしね。だから気にしなくていいよ」

真琴「あぅーっ…」

名雪「じゃあ真琴、お母さんが復帰するまでよろしくね」

真琴「あぅーっ…」



………………



香里「…ちょっと栞、なんでまだ終わらないのよ」

栞「私に言われても…」

香里「ったく、いいかげんにしてよね!…とりあえず栞、意味いきなさい」

栞「う、うん…。『猫が胡桃を回すよう』正確な意味は、

   “猫がクルミをもてあそぶように、じゃれついたり、ちょっかいを出す様子のたとえ”です」

香里「こうなったら腹いせに栞で弄んじゃおうかしら」

栞「うわわっ、そんなのやめてよ!」

香里「冗談よ。可愛い妹にそんなことするわけないでしょ」

栞「ほっ…」

香里「でも最後の最後がきたらやるかもね」

栞「うわあーん!」

香里「そんなことより、秋子さんだったのよね、最後のアシスタントは」

栞「どのみち秋子さんしか残ってないじゃない」

香里「そりゃそうなんだけどね。ったく、相沢君が最初から最後まできちんとやってればこんな事には…」

栞「でも私は最初から最後まできちんと解説してるけど?」

香里「解説とアシスタントを一緒にしてどうするのよ。我が妹ながら情けなくなるわ」

栞「うぐ…」

香里「後どれくらい続くのかしら」

栞「もしかしたらエンドレスかも…」

香里「そんな不吉な事言う栞なんて嫌いよ」

栞「もう、お姉ちゃんそういう事言うのやめてよ」

香里「栞とコミュニケーションよ。妹の身になって、ね」

栞「お姉ちゃんが言うとあんまり本当らしく思えないもの」

香里「ひどい言い草ね。あたしが何をしたって言うのよ」

栞「しいて言うなら、その手にはめてるメリケンサックの血が恐くて…」

香里「何言ってるの。これは絵の具よ。あたしはさっきまで絵を描いてたのよ」

栞「嘘ばっかり…」

香里「わかったわよ、外せばいいんでしょ、外せば」

すっ

栞「…思えば、名雪さんにその武器で対抗するのもありなんだよね?」

香里「何?戦うの?じゃあ戦い方教えてあげるわ。えーと、基礎は…」

栞「お姉ちゃん!」


<おしまいだよっ>


後書き:なんだかんだで、果てしなく続きそうな気配です(それでもいつかは終わりますが)
いい機会だからこれを書き出した原点に戻りたいものだ。

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