あゆ「どういう事?」
名雪「まず猟ってのは猟師さんの猟なんだよ」
あゆ「つまりは狩りって事?」
名雪「そうなるね。でね、猟ある猫っていうのは、狩りの経験のある猫さんだよ」
あゆ「ふむふむ。それで、爪を隠すっていうのは?」
名雪「爪ってのは猫さんの武器だよね」
あゆ「うん」
名雪「以前狩りが成功した事に自信を持ち過ぎちゃって…」
あゆ「持ち過ぎちゃって?」
名雪「油断をしちゃうんだよ。爪がなくても平気だい!ってね」
あゆ「へえええ…」
名雪「そこで大抵は狩りを失敗しちゃってね…」
あゆ「へ、へえ…」
名雪「“経験によって油断しちゃうたとえ”だよ」
あゆ「ふーん」
名雪「でもね、その次からは気を付けるようになるんだよ。」
あゆ「なるほど、失敗は成功のもとってやつだね」
名雪「うんそうだよ。更にね、爪なしで狩りに成功した場合は…」
あゆ「場合は?」
名雪「ますます自信をつけちゃうんだよ。そして格闘家の道に走るんだよ」
あゆ「そ、そうなんだ」
名雪「ねこぱんちやねこきっくは、そうした猫さんから生み出された技なんだよ」
あゆ「でもそういうのって、単に猫さんがぱんちんぐをやったりしたからできたんじゃ…」
名雪「………」
ぶにゅぅっ
あゆ「うぐぅっ!?」
名雪「模倣の技を味わった感想はどうかな」
あゆ「それってツボ押し機なんじゃ…」
名雪「…もっとされたいみたいだね」
ぶにゅぅっぶにゅぅっ
あゆ「うぐぅうぐぅ!」
名雪「気持ちいい?」
ぶにゅぅっぶにゅぅっぶにゅぅっ
あゆ「うぐぅぅぅぅぅっ!」
名雪「気持ちいいみたいだね」
ぶにゅぅっぶにゅぅっぶにゅぅっ
あゆ「や、やめてよぅ…」
かくん
名雪「やっと座ったね。今のが力が抜けるツボだよ」
あゆ「うぐぅ…」
名雪「じゃあ本番いくよ。ねこさんぱーんち!」
ぶにゅぅっ
あゆ「うぐぅっ!」
名雪「今のはうぐぅを発動させるツボだよ」
あゆ「そ、そんなツボないよぅ…」
名雪「じゃあ今度はイチゴサンデーを奢ってくれるようになるツボを…」
あゆ「うぐぅ、もうやめてぇ…」
………………
栞「…結局やる事は似たようなものですね。えっと、『猟ある猫は爪を隠す』とは、
“実力のある者ほど、平生はそれをあらわさないことのたとえ”です」
美汐「栞さんはどのような実力を隠しているのですか」
栞「隠してなんかいません」
美汐「そうですか…」
栞「美汐さんこそ何か隠しているんじゃないんですか?」
美汐「いえいえ。私はただの学生です」
栞「そうですね。私もそうです」
美汐「けれども…」
栞「?」
美汐「二人合わせれば何か隠し事ができるかもしれません」
栞「なるほど…それは一体?」
美汐「実は私達の名前はしりとりになっています」
栞「??」
美汐「みしお、しおり。素晴らしい出来です」
栞「…ああ、たしかにそうですね」
美汐「二人合わせてみしおりと名乗ってみましょう」
栞「そういうのはちょっと…」
美汐「冗談です」
栞「…そんな冗談言う人嫌いです」
美汐「ではまたの機会に」
栞「またの機会…?」
<おしまいだよっ>