あゆ「深刻な問題?」
名雪「そう。たとえば北川君が将来抱える問題だね」
あゆ「将来?」
名雪「うん。男性だからね。髪の毛が薄くなるんだよ。つまりはハゲるんだよ」
あゆ「うぐぅ、直球だね…」
名雪「そうだよ」
あゆ「…あれ?祐一君は?」
名雪「あゆちゃん、そんな人でなしの名前を出しちゃ駄目だよ」
あゆ「う、うぐぅ…」
名雪「さてさて、将来に不安のある北川君は…」
あゆ「もしかして猫さんにお願いしたりするの?」
名雪「そう!毛をばーんと生やしてくれるありがた〜い猫さんだよ」
あゆ「えっと…それでその猫さんは?」
名雪「実はね、見返りが無いんだよ」
あゆ「えっ?」
名雪「しかも、毛を生やしてしまった代償として、灰をたくさんかぶっちゃうんだよ」
あゆ「どういう代償なの…」
名雪「灰かぶり姫っていうおとぎ話があるじゃない?そういうことだよ」
あゆ「うぐぅ…」
名雪「“猫さんの謙虚な代償で毛が生えてやったー”だよ」
あゆ「あの、名雪さん」
名雪「なに?」
あゆ「その猫さんはどこに居るの?」
名雪「残念ながらそれは教えられないよ」
あゆ「やっぱり貴重な存在なんだね」
名雪「どうして人の願いをかなえてあげたのに酷い目に遭うんだ〜って旅に出たんだよ」
あゆ「た、旅…」
名雪「だからわたしも知らないんだけどね」
あゆ「ふーん…」
名雪「それにしても、もっと猫さんに感謝してもいいのにね」
あゆ「そうだよね」
名雪「北川君に後で文句を言っておくよ」
あゆ「でも、ちょっとたとえに出されただけだし…」
名雪「事前に言っておけば後でちゃんと気付いてくれるよ。善は急げだよ」
あゆ「で、でも、猫さんは旅に出ちゃったんでしょ?だったら…」
名雪「そうだ!」
あゆ「な、なに?」
名雪「わたし達でその猫さんを護ってあげようよ」
あゆ「護るって言っても…」
名雪「とりあえずあゆちゃん、猫さんを見つけてきてね。それから作戦を練ろうよ」
あゆ「え?ボクが探すの?」
名雪「アシスタントだからそれくらいは当たり前だよ」
あゆ「うぐぅ、でもどこにいるのかわからないし…」
名雪「猫さんを想う気持ちがあれば絶対見つかるよ」
あゆ「うぐぅ、そんなの無理だよぅ」
名雪「ふぁいとっ、だよ。わたしはここで応援してるからね」
あゆ「うぐぅ!だから無理だよぅ!!」
………………
栞「本当に探しに行ったのでしょうか…。えっと、『結構毛だらけ猫灰だらけ』
“大いに結構だ、の意のふざけた言い方”です」
美汐「ちなみにこの後に“隣の道具屋○○だらけ”と続きます」
栞「…そうなんですか?」
美汐「ええ」
栞「では、その○○とは何なんですか?」
美汐「御存じないですか」
栞「はい」
美汐「商売と言えば…」
栞「商売と言えば?」
美汐「不景気や好景気がつきものです」
栞「そ、そうなんですか…」
美汐「ですから二択です。簡単ですね」
栞「うーん…では好景気ですね」
美汐「隣は商売敵。なのになぜ好景気とはやし立てましょう?」
栞「う…商売敵なんて聞いてないですー」
美汐「…ではこれにて」
栞「逃げるなんてずるいです」
美汐「よいことにしましょう」
栞「よくないです!」
<おしまいだよっ>