あゆ「猫さんが跨いでくる、っていう事?」
名雪「うーん、そうじゃなくてね。猫さんが跨ぐと…」
あゆ「跨ぐと?」
名雪「“なんて今日はついてるんだ!という運試し”だよ」
あゆ「…うぐぅ、つまりは占いって事なの?」
名雪「そうだよ。猫さんに運勢を占ってもらうんだよ」
あゆ「でも、なかなか跨ぐなんて事はしないんじゃないかな…」
名雪「だからだよ。跨いでくれると幸運この上ないんだよ」
あゆ「ふ〜ん」
名雪「早速やってみよう?」
あゆ「え…」
名雪「あゆちゃん、そこに寝っ転がってみて」
あゆ「う、うぐぅ、地面雪が積もってるんだけど…」
名雪「なに?あゆちゃんは猫さんよりも雪を優先するの?」
あゆ「だって冷たいし…」
名雪「裸で寝っ転がるよりいいと思うよ」
あゆ「そりゃあそうだけど…」
名雪「…仕方ないね。わたしが服を脱がしてあげるよ」
あゆ「ちょ、ちょっと!どうしてそんな方向に話がいくの!?」
名雪「ねこねこ講座ではアシスタントが身体をはってナンボのもんなんだよ」
あゆ「うぐぅ、そんなの冗談じゃないよぅ!」
名雪「冗談じゃないよ、本気だよ」
あゆ「う、うぐぅ…逃げるっ!」
名雪「逃がさないよ!」
ばさあっ!
あゆ「う、うぐぅ!?こ、これは投網!?」
名雪「違うよ、漁師さんの網だよ」
あゆ「うぐぅ、投げたから結局投網なんじゃ…」
名雪「細かいことを気にしてるとダメだよ」
あゆ「それにしてもなんでそんなもの持ってるの…」
名雪「お母さんから借りてきたんだよ。猫さん用のお魚を捕るためにね」
あゆ「うぐぅ、だったらボクに使わないでぇ」
名雪「使った後で言われても困るけど…。とにかく服を脱がしてあげるね♪」
あゆ「うぐぅ!やめてえ!!」
名雪「乾布摩擦をすると思えば大丈夫だよ」
あゆ「大丈夫じゃないよ!この後雪の上に寝っ転がされるんだよ!?」
名雪「だって仕方ないんだよ。あゆちゃんが素直にそのまま寝っ転がってくれないから」
あゆ「う、うぐぅ!わかった、わかったから!寝っ転がるから!」
名雪「何言ってるの。折角網を使ったんだから服をはぎ取る方針でいくよ」
あゆ「うぐぅ!本気でやめてぇ!!」
………………
栞「…えっと、後から聞いた話。あゆさんは普通に寝転がるだけに済んだ様です。
『猫跨ぎ(ねこまたぎ)』これは魚の好きな猫でさえもまたいで通り越すという意味で、
“まずい魚”をいうそうです」
北川「たかだかその程度の意味でどうしてあんな大袈裟に発展するかなあ…」
栞「名雪さんはやっぱり凄い人です」
北川「凄いっていうかなんていうか…」
栞「とても私には真似できません」
北川「真似したら美坂が泣くぞ…」
栞「潤さんは真似しないんですか?」
北川「…なんでオレが?」
栞「楽しいですから」
北川「楽しいのか?」
栞「見ているだけなら」
北川「………」
栞「どうしたんですか?」
北川「いや…」
<おしまいだよっ>