あゆ「うぐぅ、嫌いだよ」
名雪「どうして嫌いなのかな？」
あゆ「だって、血を吸うし、痒くしてゆくし…」
名雪「そう、それだよ！」
あゆ「な、何が？」
名雪「勝手に人の血を吸っていくんだよ！？酷いと思わない！？」
あゆ「うんうん。で、でも、それで生きてるって思ったら…」
名雪「駄目だよ、情けをかけちゃ」
あゆ「うぐぅ、別に情けをかけてるわけでもないけど」
名雪「でね、この言葉なんだけど」
あゆ「あ、はいはい」
名雪「当然ながら猫さんの血を吸う蚤のことだよね」
あゆ「そうだね。猫蚤だもんね」
名雪「あの猫さんの血を吸うなんてとんでもない話だよね！」
あゆ「そ、そうだね…」
名雪「だからこれは“高貴なひとのものを奪う不届き者”のたとえだよ」
あゆ「ふ、不届き者なんだ…」
名雪「間違い無いよ。これがないと社長さんになれないんだよ」
あゆ「…それって関係あるの？」
名雪「おおありだよ。だって猫さんだもん」
あゆ「意味がよくわかんないんだけど…」
名雪「…そういえばあゆちゃんはたい焼きを食い逃げしてたよね」
あゆ「何がそういえばなの…」
名雪「他人のものを奪うなんて猫蚤だよ！」
あゆ「ちょ、ちょっと名雪さん、意味変わってない？」
名雪「そうだよ！これはあゆちゃんの事も差してたんだね！！」
あゆ「うぐぅ！それはいくらなんでも酷いよ！！」
名雪「…そうだね。いくらあゆちゃんが欲張りでも、二つの猫さんの言葉に出演しないよね」
あゆ「うぐぅ、なんでボクがそこまで言われなくちゃならないの…」
名雪「でも掠ってるし…実はあゆちゃんってスゴイの？」
あゆ「うぐぅ！スゴクなんかないよ！」
名雪「そうかなあ…」
あゆ「うぐぅ…」
名雪「とにかく頑張ろうね」
あゆ「何を頑張るの…」
………………
栞「『猫蚤』“ヒトノミ科のノミ。体長2〜3.5mm”
主にネコやイヌに寄生するんですが、人もよく刺すそうです」
北川「ただのノミの事なんだよな？」
栞「ええそうですよ」
北川「それを、さりげなく高貴とか解説してるあたりただもんじゃないよな」
栞「それは猫さんですから」
北川「けどなあ…」
栞「潤さん、今更疑問を持ってはいけませんよ」
北川「…そうだったな」
＜おしまいだよっ＞