『猫掻(ねこがき)』だよっ


名雪「祐一は、暑いとどうなる?」

祐一「どうなるってどういうことだ」

名雪「あ、実際に試した方がいいかな。早速火炎放射器を持ってくるよ」

祐一「試すな!…ったく、そのあついだと字が違うんじゃないのか?」

名雪「多分違わないよ。だから大丈夫だよ」

祐一「無茶言うな!ったく…えっと、汗を掻く、とでも聞きたかったのか?」

名雪「わっ、そうだよ。もう、どうして即答してくれないの?」

祐一「色々と都合があるってなもんだ」

名雪「…まあいいけど。でね、猫さんも当然汗を掻くよね」

祐一「そうだろうな」

名雪「でもね、猫さんがわざわざ汗を掻くってことはね、そこは適温じゃないんだよ」

祐一「なるほどな」

名雪「だから“身体的に不適切な気温”だよ」

祐一「…なあ名雪。なんで猫とそれが関係あるんだ?」

名雪「祐一知らないの?冷房とか暖房の気温の基準は、猫さんを元に作られてるんだよ」

祐一「んな馬鹿な…」

名雪「疑うの?駄目だよ、常識を疑っちゃ」

祐一「また常識か…証拠はあるんだろうな?」

名雪「証拠?もちろんあるよ」

祐一「ほう、それはどんなだ」

名雪「ずっと前に、猫さんが死んだら家につくって話をしたよね」

祐一「ああ、したな」

名雪「実はね、ある会社で…」

祐一「もういい」

名雪「え?」

祐一「オチは読めた」

名雪「何言ってるの。猫さんがマグマの温度調節をしてるところまで話してないよ」

祐一「…マジかよ」

名雪「じゃないと、常識なんて言わないよ」

祐一「いや、そのマグマの温度調節自体も証拠がほしい気がするが…」

名雪「何言ってるの。これは定義だから証明できないんだよ」

祐一「本当にもういい…」



………………



栞「えっと『猫掻(ねこがき)』“藁などで編んだむしろ。蹴鞠の庭などに敷く”そうです」

香里「あんた蹴鞠なんていそしんでたの?」

栞「そんなわけないでしょ」

香里「でしょうね」

栞「でもなんでこういう名前がついてるのかな」

香里「昔は毬の代わりに猫を蹴ったらしいからよ」

栞「ええっ!?嘘!」

香里「日本の歌に、山寺の和尚さんが毬をつこうとして猫を袋に押し込んで、ってのがあるじゃない」

栞「そ、そんなの信用でき…」

香里「しなくていいわよ」

栞「うーっ…」


<おしまいだよっ>


後書き:オチは言わんでいいですね、あはは。
それにしても、猫ってばやっぱ結構昔から馴染み深い動物のようで。

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