『猫草』だよっ


名雪「昔々ある所に、一匹の猫さんが居ましたとさ」

祐一「いきなりベタな昔話か」

名雪「………」

ぷしゅー

祐一「ごほっごほっ!!…何しやがる!!」

名雪「五月蝿い虫には殺虫剤だよ」

祐一「俺は虫か…」

名雪「とにかく黙って聞いててね」

祐一「あ、ああ…」

名雪「その猫さんは、世界にただ一人でした」

祐一「………」

名雪「とても寂しい…誰か、友達が欲しい…」

祐一「………」

名雪「そう思った猫さんは、一本の植物を植える事にしたのでした」

祐一「………」

名雪「………」

ぷしゅー

祐一「ごほごほっ!!…黙って聞いてただろうが!!」

名雪「相づちくらい打ってよ。融通きかないね、祐一」

祐一「お前それはわがまますぎるぞ」

名雪「………」

ぷしゅー

祐一「ごほごほっ!!わかったわかった、ちゃんとやるから」

名雪「嘘ついたら針千本だよ」

祐一「…おい」

名雪「さて、続きいくよ。…えっと、どこまで話したっけ」

祐一「猫が植物を植えたんだろ」

名雪「あ、そかそか。で、その植物は…」

祐一「ったく、自分で話した内容くらい覚えておけよな…」

名雪「何年も猫さんの友達として…」

ぷしゅー

祐一「ごほごほっ!!…話しながらスプレーかけるな!!」

名雪「史上初の植物として、世界に存在したのでした」

祐一「…お前な、そんな話ありか?」

名雪「ありだよ。“世界最初の植物の名前”だよ」

祐一「今も同名のものがあるんじゃないのか」

名雪「大元の植物にあやかろうとしてるだけだよ。今はもう失われたからね」

祐一「へえ、そりゃまたどうしてだ」

名雪「…その植物は猫さんの心の中に生き続けたのでした。めでたしめでたし」

祐一「おい、だからどうして…」

名雪「………」

ぷしゅー

祐一「ぐあっ!」

名雪「それは知ってはならないよ」

祐一「実はお前知らないんじゃないのか」

名雪「………」

ぷしゅー

祐一「ぶほっぶほっ!わ、わかった」

ぷしゅーぷしゅー

祐一「わかったからやめろー!!」



………………



栞「翌日、祐一さん寝込んだりしないでしょうか…。

  『猫草』“オキナグサの異称”だそうです」

香里「しっかしいかがわしい神話ね…」

栞「もちろん嘘なんだよね?」

香里「当たり前でしょ。あんな神話が真実であってたまるもんですか」

栞「でも、別世界では真実だったりして」

香里「どのみちあたし達には関係無いでしょ」

栞「そのうち私達の世界が侵食されちゃったりして」

香里「縁起でもない事言わないでよ…ったく…」

栞「小説みたいで面白くない?」

香里「面白くないわよ!」


<おしまいだよっ>


後書き:てきとーに浮かんだ話、ですわ。
っていうか、その都度更新から外したはずなんだけどな、これ…。

戻る