『借りて来た猫のよう』だよっ


名雪「アシスタント体験企画。今回は天野美汐ちゃんだよっ」

美汐「よろしくお願いします」

名雪「ところで美汐ちゃんは…」

美汐「水瀬さん」

名雪「ん?」

美汐「手早く解説を終えましょう。余談で真意が曲がっては大変です」

名雪「…う、うん。えーと…」

美汐「借りて来た、という点で環境が明らかに違いますね」

名雪「そ、そうだね」

美汐「ということは、その猫は戸惑っているのでしょうか…」

名雪「そ、そうなんだよ!“突然見知らぬ土地に連れられてびくびくしてる様”だよ」」

美汐「私も今戸惑っています…」

名雪「でもほら、祐一が誘ったんだし」

美汐「私は水瀬さんとはほとんどお会いしませんから」

名雪「そうだね…」

美汐「つまり…」

名雪「?」

美汐「私は借り出されてしまった猫、なんです」

名雪「それは違うと思うよ」

美汐「ならばこうしましょう」

名雪「どうするの?」

美汐「名雪さんが別場所へ行くのです」

名雪「そ、それだとわたしの講座じゃなくなっちゃうよ…」

美汐「それもそうですね」

名雪「………」

美汐「…どうしました?」

名雪「ひょっとして、祐一から何か言われてたの?」

美汐「ええ」

名雪「何て言われてたの?」

美汐「アシスタントの事と、あわよくば名雪さんを説得してくれと頼まれました」

名雪「…なるほど、そういうわけだったんだ」

美汐「はい。しかしやはり私には無理だったみたいですね」

名雪「言っておくけど、わたしはまだまだ頑張るんだからね?」

美汐「現役生ですからね。ふぁいとっ、です」

名雪「うん!…あれ?」

美汐「どうしました?」

名雪「今わたしの真似しなかった?」

美汐「アクセントを決めてみました」

名雪「うーん…」

美汐「それにしても無駄話が多いと思うのですが…」

名雪「う〜、美汐ちゃんがあれこれ言うからだよっ」

美汐「それは失礼しました」

名雪「う〜…」



………………



香里「名雪が負けの色だったわね…。

   『借りて来た猫のよう』

   “ふだんと違って非常におとなしくしているさま”よ」

祐一「天野でも駄目だったか…っていうか俺の頼み事をあっさりバラすなんて!?」

香里「後で名雪から報復とかくるんじゃない?頑張ってね」

祐一「来たら逃げる」

香里「どうせアシスタントに戻らなきゃならないでしょ。観念しなさい」

祐一「………」


<おしまいだよっ>


後書き:こんなに喋る人じゃないはずなんですけどね、美汐ちゃんは…。
この話だけ普段とは別物だ〜。

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