『窮鼠猫を噛む』だよっ


名雪「祐一、窮鼠、ってのは何か知ってる?」

祐一「窮地にたたされた鼠…要は追いつめられた鼠だ」

名雪「そう!つまりは、追いつめられた犯人、だね」

祐一「…ほう?」

名雪「猫さんに追いつめられて絶対ピンチ!」

祐一「それは何がどういうので追いつめられるんだよ…」

名雪「“諦めて投降するにゃ~”猫さんが説得!でも犯人の鼠さんは銃をおろさない!」

祐一「鼠が銃なんて持つかよ」

名雪「“ちゅ~…捕まるくらいなら!”ずどどーん!鳴り響く銃声!!」

祐一「………」

名雪「猫さんは撃たれてしまったのでした…。わーん、猫さーん!!」

祐一「…お前やっぱ変だぞ」

名雪「何が変だって言うの!?猫さんが撃たれたんだよ!!」

祐一「………」

名雪「ま、銃っていうのは冗談だけど。例えで出してみたんだよ」

祐一「…で、結局どういう意味だって?」

名雪「“追いつめられて躍起になって反撃する様”だよ」

祐一「…当たらずとも遠からず、か」

名雪「可哀相に、撃たれた猫さんは殉職してしまいました」

祐一「まだ続きがあったのか…」

名雪「そして鼠さん。窃盗の罪の上に殺人罪が重なって、死刑の判決を受けたのでした」

祐一「それはさすがに無茶苦茶だと思うが…」

名雪「というわけで“悪あがきで罪を重ねる”という意味もあるんだよ」

祐一「………」

名雪「どしたの?祐一」

祐一「俺ってなんでここにいるんだろな…」

名雪「???」

祐一「はあ……」

名雪「落ち込んでるの?ふぁいとっ、だよ」

祐一「あのな…」



………………



香里「そろそろ相沢君も限界かしら。『窮鼠猫を噛む』これは

   “必死に抵抗すれば弱い者でも強者を苦しめる”っていう事よ」

栞「じゃあ祐一さんも名雪さんに抵抗すれば?」

香里「苦しめられるかもしれないけど、後々余計に苦しめられるかもね」

栞「…それは嫌…」

香里「そうだ、一度栞が相沢君の代わりを果たしてあげなさい」

栞「ええっ!?い、嫌、絶対に嫌!!」

香里「あたしはもっと嫌だもの。というわけで栞に決定よ」

栞「そんな事言うお姉ちゃん大っ嫌い!!第一私には無理よ!!」

香里「やりもしないで諦めないでよ。さあて、名雪に相談してみましょ」

栞「うわああーん、待ってよお姉ちゃーん!!」


<おしまいだよっ>


後書き:まあ、残りも少ないですから役柄交替くらいは。
とりあえず、よくこんな話に転換できたな、と思います。

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