祐一「唐突だな…それが解説と関係あるのか?」
名雪「それではなゆちゃんの昔話、始まり始まり〜だよ」
祐一「相変わらず聞いちゃいねえ…」
すぱこーん!
名雪「人の話は黙って聞く!」
祐一「イツツ…。ハリセンなんか持ってるんじゃない!」
名雪「昔々、ある所になゆ姫という美しい人が城に住んでいましたとさ」
祐一「………」
名雪「なゆ姫は猫が大好き。毎日猫を追いかけていたのでした」
祐一「とりとめもねえな…」
名雪「しかし、猫さんは追いかけると逃げてしまいます。なゆ姫は侍女のかおりんに相談しました」
祐一「香里が侍女かよ…」
名雪「“ねえかおりん、どうして猫は逃げるの?”“あんたが追いかけるからでしょ”」
祐一「姫に向かってなんつう口のききかたの侍女だ…」
名雪「かおりんの言葉になゆ姫はハッとなりました“そうだ。わたしも祐一に追いかけられると逃げるよ”」
祐一「なんでそんなところで俺の名前が出てくるんだ」
名雪「そこで考えたなゆ姫。猫さんの気を引くために、好物を乗せたお皿を用意しました」
祐一「なんのこっちゃ」
名雪「すると見事!猫さんはにゃーにゃーとなゆ姫の元に集まったのでした。めでたしめでたし」
祐一「何がどうめでたいんだ…」
名雪「“猫さんは追わないで好物で手なずけよう”だよっ」
祐一「だよっ、じゃねえだろ、だよっ、じゃ」
名雪「もう、要は食べ物は効果絶大ってことだよ。わかんない?」
祐一「わかりたくもない…つーかそれは当たり前のことじゃないのか?」
名雪「そんなことないよ。物事にはアメとムチが必要なんだよ」
祐一「それはそれで何か間違ってると思うが…」
名雪「じゃあ祐一はわたしの気を引くためにどうする?」
祐一「…イチゴサンデーでもおごるか」
名雪「そうだよ!なあんだ、祐一わかってるじゃない」
祐一「…そこで百花屋へ殴り込みとか言わないだろうな?」
名雪「わ…う、ううん、殴り込みなんてしないよ」
祐一「何にしろ、行かないからな、俺は」
名雪「う〜、酷いよ、そこまで煽ったくせに」
祐一「知るか。俺は行かない」
名雪「いいもん。祐一のツケって言っておくから」
祐一「おいコラ!!」
………………
香里「『猫を追うより皿を引け』これは。
“根源を正しくする事が大切だ”っていう事よ」
栞「猫に魚を捕られた時の対処法だったっけ?」
香里「そうよ。はだしで追いかけるくらいなら、最初っから皿なんて置くなって事ね」
栞「でもお魚を皿に置いてほったらかすなんてことは限られてるような…」
香里「そんな事より、名雪の昔話に栞が居なかったわね」
栞「別にいいじゃない」
香里「よくないわよ!直談判してきてやるんだから…栞も出しなさい!って」
栞「お、お姉ちゃん、落ち着いて…」
香里「駄目よ。次回の名雪の話に栞を主人公にしてやるわ」
栞「わ、わ、わーっ!」
<おしまいだよっ>