『猫は三年飼っても三日で恩を忘れる』だよっ


名雪「これは……」

祐一「さあて、どんなフォローが入るのかな」

名雪「何言ってんの祐一。こんな健気な言葉は他には無いよ」

祐一「は?健気?」

名雪「うん、そうだよ。たとえば猫さんを飼うよね?」

祐一「ああ」

名雪「でも猫さんはいつまでも生きられない。そのうちに死期が訪れて…猫さんは死んじゃうよね」

祐一「そりゃそうだな。人間よりも寿命が短いし」

名雪「で、ここで恩っていうのは猫さんを飼っていた記憶って事だよ」

祐一「記憶?」

名雪「そう!猫さんが死んじゃって…飼ってた人は悲しくて悲しくて…」

祐一「ふむふむ」

名雪「ずっとくよくよとして食事も喉を通らない。そんな子にかける言葉なんだよ」

祐一「はあ?」

名雪「“いつまでも猫さんの死を哀しんでちゃ駄目だよ。死を乗り越えなさい”ってことなの」

祐一「なんでそうなる」

名雪「この言葉、猫さんが忘れる、って書いてあるでしょ?」

祐一「まあこれはそういうことだよな」

名雪「猫さんのメッセージなんだよ」

祐一「どういうことだ」

名雪「猫さんは飼い主の事を忘れてやる、だから飼い主も猫さんの事を忘れろって…」

祐一「………」

名雪「冷たく言って突き放して……飼い主の哀しみを減らしてあげてるんだよ……」

祐一「………」

名雪「自分を犠牲にして……泣ける話だよ……」

祐一「…なあ名雪」

名雪「ぐすっ……なに?」

祐一「恩のところが違えばほぼ完璧だったかもな」

名雪「え?どういうこと?」

祐一「いや、なんか惜しいなって…」

名雪「???」



………………



香里「相沢君の言う通り、もしかしたら惜しいかもね。

   『猫は三年飼っても三日で恩を忘れる』これは

   “猫は主人の恩を感じない動物だ”っていう事よ」

栞「お姉ちゃん…私なんだか名雪さんに感心しちゃった」

香里「ま、努力は認めてもいいかもしれないわね」

栞「私も頑張らなくちゃ……」

香里「あんまり張り切らないでよ…」


<おしまいだよっ>


後書き:こんな話になるとは思ってもみなかった。
もしかしたらもしかするかも(おいおい)

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