『手袋をはめた猫は鼠を取らぬ』だよっ


名雪「手袋って何かわかるよね?」

真琴「えっと、寒さを防ぐためとかの?」

名雪「もっと違うものだよ」

真琴「ええ〜?」

名雪「紳士が決闘するために投げるものだよ」

真琴「…そうだっけ?」

名雪「そうなんだよ」

真琴「言われてみれば漫画で見た気がする…」

名雪「つまりこの言葉はどういうことかわかるよね?」

真琴「え?えーとえーと…」

名雪「“今はまだ決闘すべきときではない、安心せよ”という宣戦布告だよ」

真琴「…すっごく矛盾してない?」

名雪「何が?」

真琴「名雪のその解説が…」

名雪「矛盾なんてしてないよ」

真琴「あぅーっ、でも…」

名雪「…とりゃっ」

びしゅんっ!

真琴「あぅ!」

名雪「むっ、わたしの突きをかわすとはさすがだね」

真琴「ちょ、ちょっと名雪!なんて物騒なものを持ってるのよぅ!」

名雪「これは武器だよ、武器」

真琴「だからそれが物騒だって言うのよぅ!」

名雪「ちなみに名前はレイピア、またはエペ、またはエストックだよ」

真琴「あぅーっ、聞いてない…」

名雪「今出した名前は、別名ってわけじゃないから勘違いしないようにね」

真琴「そんなの知らないわよぅ…」

名雪「えいっ」

びしゅんっ!

真琴「あぅーっ!」

名雪「あれを避けるとは素早いね。それでこそやりがいがあるっていうもんだよ」

真琴「そんなやりがいなんて持たれちゃ困るわよぅ!」

名雪「ちなみにわたしが持ってるこれは、聖王の…」

真琴「せ、聖王?」

名雪「ううん、魔王の…」

真琴「あぅーっ、魔王?」

名雪「…忘れちゃった。とにかく特殊技が使える小剣なんだよ」

真琴「全然わかんない…」

名雪「………」

びしゅんっ!

真琴「あぅーっ!」

名雪「真琴がうるさくするから忘れちゃったじゃない」

真琴「そんなの言いがかりじゃない!」

名雪「責任はとってもらうよ」

びしゅんっ!びしゅんっ!

真琴「あぅーっ!やめなさいよぅ!」



………………



香里「なんなのかしらねぇ、まったく…。『手袋をはめた猫は鼠を取らぬ 』ってのは、

   “体裁を飾って気取っていれば仕事にならないことで

   本気で取り組まなければ、仕事は達成できないというたとえ”よ」

栞「名雪さんの言ってる小剣って何のことかな…」

香里「気にしないほうがいいと思うけど」

栞「それはそれとして、大事な言葉だよね」

香里「要は形だけにこだわるなってことでしょ」

栞「うん」

香里「じゃあ栞もばんばん頑張らないとね」

栞「…私はそれなりに頑張ってるもん」

香里「そうかしら?」

栞「どういう意味…」

香里「体裁気にしすぎてアイスが…」

栞「もうそれは聞き飽きた」

香里「あらそう。だったら…はっ!しまった!」

栞「ど、どうしたの?」

香里「アイスしかネタにできないわ!」

栞「…いくらなんでも、それは私怒るよ?」

香里「冗談よ。そうね、髪型から攻めましょうか」

栞「む、無理に攻めなくても…」

香里「髪を伸ばしてみない?綺麗に結ってあげるわよ」

栞「うーん…」

香里「それともウェーブがいいかしら?」

栞「あ、それいいかも!」

香里「どうしたのよ、急に」

栞「だってお姉ちゃんと同じだもの」

香里「そんでもって、その後にあたしが髪を切るんだけどね。そして今の栞と同じにするのよ」

栞「………」

香里「いつかやってみない?」

栞「うーん…」


<おしまいだよっ>


後書き:某RS3が元ネタなんですが、すっかり忘れてます。
かろうじて思い出せたのが七星剣とか魔王の斧とか王家の指輪だけで…
ネットで調べてみようかしらん。

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