祐一「何がどう素晴らしいんだ？」
名雪「猫さんの好物はお魚。これは疑う余地も無いよね？」
祐一「まあな」
名雪「わたしに例えてみると、イチゴだよ」
祐一「ふむ」
名雪「深く言うと百花屋のイチゴサンデー、イチゴじゃむ…」
祐一「わざわざ深く言うな。で？例えたからには何か続きが有るんだろ？」
名雪「もちろんだよ。祐一、わたしがイチゴを我慢してる場面を想像してみて」
祐一「………」
名雪「どうかな？」
祐一「信じられないな。イチゴじゃむを避けてあの謎のジャムを食してる場面なんて…」
名雪「そんなとこまで想像しなくていいよっ！…とにかく凄いという事がわかったよね？」
祐一「ああ」
名雪「だからこれは“想像を絶する我慢の極み”という事なんだよ」
祐一「……で、何が素晴らしいのかまだわからんのだが」
名雪「もう、なんで祐一はそこまでニブいの？頭の回転遅すぎるよ」
祐一「悪かったな……。いいから何が素晴らしいのか説明しろ」
名雪「仕方ないね。寛大なわたしが説明してあげるよ」
祐一「………」
名雪「想像を絶する、という事でまず見られないものだよ」
祐一「そうだな」
名雪「つまりは貴重な場面ってことだね」
祐一「そうだな」
名雪「貴重なもの……と言えば何があるかな？」
祐一「知るか」
名雪「例えば天然記念物とかだよっ♪」
祐一「貴重なものはそうだが……」
名雪「だから素晴らしいんだよ。祐一、わかった？」
祐一「言いたい事はわかったが…果たしてこれで納得していいのか？」
名雪「いいに決まってるよ♪」
祐一「………」
………………
香里「例えばＡランチのデザートを遠慮する名雪かしらね。
『猫の魚辞退』これは“本心を隠してうわべを飾って辞退する”っていうことよ。
ただのやせがまんに決まってるからね」
栞「お姉ちゃん、それはあんまりなんじゃ…」
香里「じゃあ栞はアイスを渡されてそれを要らないって返す？」
栞「うっ……意地悪……」
香里「はいはい、そういうことよ。
あと、“その時だけで長くは続かない事の例え”ってことも含んでるわ。
栞だって後に、やっぱり要る！って主張するでしょ？」
栞「そ、そんなこと、ない、もん…」
香里「あ、そう。じゃあ今あたしが持ってるアイス二つは全部あたしが食べておくわね」
栞「！！そ、そんなの持ってたなんて…ズルイ…」
香里「さあて、いただきま〜す」
栞「ああ〜ん、待ってお姉ちゃーん！」
＜おしまいだよっ＞