『猫の前の鼠の昼寝』だよっ


名雪「起きなさい真琴〜!」

真琴「うわっ!お、起きてるわよぅ!」

名雪「とまあ、人が話をしている前で寝てると怒られるよね」

真琴「名雪はよく寝てるって聞いたけど?」

名雪「そんなのガセネタだよ」

真琴「あちこちで耳にするんだけど…」

かぽっ

真琴「うわっ!」

名雪「せーの」

がこーん!

真琴「あぅーっ!」

かぽっ

名雪「ばけつぶったたき。これで目はばっちり覚めたね」

真琴「あ、あぅ…」

名雪「ちゃんと起きないとダメだよ」

真琴「あぅ…」

名雪「特に猫さんの前で昼寝なんてやった日には、天罰てきめんだからね」

真琴「あぅ…」

名雪「“高貴な人の前で寝てしまうふてぶてしい態度”という事だよ」

真琴「あぅ…」

名雪「ん?どうしたの真琴」

真琴「頭がくらくらする…」

名雪「もう一回やってあげようか?目も覚めるよ、絶対」

真琴「眠いんじゃないわよぅ…」

名雪「でも目は眠そうだね」

真琴「あ、あぅ…」

名雪「仕方ないねえ…」

かぽっ

真琴「あぅーっ!」

名雪「せえの」

ごいーん!

真琴「あぅーっ!!」

かぽっ

名雪「どう?目は覚めた?」

真琴「………」

名雪「真琴?」

真琴「あぅ…」

ぱた…

名雪「うわっ、倒れちゃった。おかしいな、目が覚めるはずなんだけど…」

真琴「…だから…眠いんじゃないわよぅ…」



………………



香里「可哀相に…後遺症が出なけりゃいいけど…。『猫の前の鼠の昼寝 』ってのは、

   “猫が近くにいるとは知らず、ネズミが昼寝をしていること”よ」

栞「そして、“目の前に危険が迫っていることに気づかず、油断していること”だね」

香里「あたしも名雪が迫ってきたら寝てられないわね」

栞「寝る前に気付くと思うけど…」

香里「ところで栞、あんたはそんなに呑気にしていていいの?」

栞「どういうこと?」

香里「あたしを目の前にしておきながら…」

栞「…お姉ちゃんは危険じゃないもん」

香里「ふふん、さすがね」

栞「こういうのさすがって言うのかな…」

香里「ここで危険だとか言ったら、もはや取り返しのつかないことになってたわ」

栞「な、何をするつもりだったの」

香里「でっかい金ダライをかぶせてどこーん!よ」

栞「うわ…」

香里「安心しなさい。そんなことはしないから」

栞「やられたらたまんないって!」

香里「ちゃんといい返事をくれた栞にはプレゼントがあるわよ」

栞「え?プレゼント?」

香里「そう。金ダライいっぱいにつまったバニラアイス!全部食べるわよね?」

栞「え…。そ、それはさすがに…」

香里「食べないの?仕方ないわね…」

栞「うわーっ!食べる、食べるー!!」

香里「食べなくていいわよ。用意してないから」

栞「…お姉ちゃん最近変」

香里「栞に言われたくないわね」

栞「そんな事言うお姉ちゃん嫌い…」


<おしまいだよっ>


後書き:どっちもどっちでなんだかなあ…。
不完全燃焼っぽいです。

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