『猫は三月を一年(ひととせ)とす』だよっ


名雪「時間が関わった言葉はなかなか奥が深いんだよ」

真琴「どう深いの?」

名雪「そのためにこの言葉を解説するんだけどね」

真琴「へえ~」

名雪「たまたま猫さんの言葉に時間が入っててラッキーだったよ」

真琴「…今までにもあったんじゃないの?」

名雪「今回は特別だよ」

真琴「そ、そうなの…」

名雪「さて解説いくね。猫さんは三ヶ月を…どうとらえると思う?」

真琴「どうって…一年、ってことじゃないの?」

名雪「そうなんだけど、やっぱり三ヶ月は三ヶ月なんだよ」

真琴「そりゃそうよねえ」

名雪「でもね、猫さんはそれを一年として控えておくんだよ」

真琴「どういう事?」

名雪「三ヶ月の間にあった出来事を、一年に置き換えて記録していくんだよ」

真琴「へえ~…って、それってどんなのよぅ」

名雪「単純に置き換えて説明するとね」

真琴「うん」

名雪「一日を、朝!昼!夜!と三つのパートに分けて考えるようなもんだよ」

真琴「よくわかんないぃ」

名雪「日記ってあるよね?」

真琴「うん」

名雪「あれを、朝記!昼記!夜記!としてつけるんだよ」

真琴「うっわあ、細かい…」

名雪「要は、時間の概念を小さくとらえてるんだね」

真琴「へええ…。でもそんなの可能なの?」

名雪「猫さんにとっては時間は同じだからね。大変だよ」

真琴「へえ…」

名雪「それでも猫さんはやってのけるんだから大したものだよ。さすがだよ、凄いよ」

真琴「へえ…って、何をやるんだっけ?」

名雪「もう、ちゃんと聞いてよ」

真琴「あぅ…」

名雪「“時間感覚を広げて作業を行う”という事なんだよ」

真琴「だからどういう作業なのよぅ」

名雪「出来事を記録するって言ったでしょ?」

真琴「あ、そ、そうだったわね。あははは…って、どういう事?」

名雪「もう、真琴失格」

真琴「あぅ…」

名雪「世界中のありとあらゆる記録だよ。猫さんは世界各地で活躍してるんだよ」

真琴「そ、そうなんだ」

名雪「まったく、常識から解説するべきだったよ。ぷんぷんだよ」

真琴「あぅ…」



………………



香里「ま、武器が出なかった分良かったわ。『猫は三月を一年(ひととせ)とす』ってのは

   “猫の一年は、人間の三月にあたるということから猫や犬の成長が早いこと”よ」

栞「名雪さんの解説がよくわからないんだけど…」

香里「分からなくていいわよ」

栞「そ、そうだよね」

香里「凄い事を言ってるのは間違いないけどありえないしね」

栞「猫さんが記録って部分?」

香里「違うわよ。時間の部分よ」

栞「そ、そう…」

香里「ったく、栞も真琴ちゃんと同じね」

栞「うう…」

香里「ところで栞、成長の方はどうなのよ」

栞「成長…って?」

香里「もちろん体の…ううん、言うまでもなかったわね」

栞「お姉ちゃん!なんか私凄く馬鹿にされた気分なんだけど!」

香里「気分なら気のせいよ」

栞「気のせいじゃない!」

香里「大丈夫よ。まだまだなんだから」

栞「どういう事!?」


<おしまいだよっ>


後書き:難しくは考えないでくださいな。
やってることは単純なんで。

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