『小姑一人は猫千匹』だよっ


名雪「大胆な言葉の登場だよ」

真琴「あぅ、小姑ってそんなに凄いの?」

名雪「唐突に何を言ってるの?」

ぶおおおーん

真琴「あぅーっ!いきなり何よう!」

名雪「超熱風ドライヤーだよ。寒い日には重宝するよね」

真琴「あぅ、燃えるかと思った…」

名雪「でね、真琴。真琴が言ったのは全然違うよ?」

真琴「全然なの?」

名雪「当然だよ。小姑さんが猫さん千匹と同等なわけないじゃない」

真琴「そ、そうよねぇ」

名雪「ちゃんちゃらおかしいよ。へそで温泉が湧いちゃうよ」

真琴「うそ…」

名雪「とにかくこれは“自分の存在を過信して威張っている様子”という事だね」

真琴「そ、存在?」

名雪「そうだよ」

真琴「あぅ、言い切られた…」

名雪「常識だからね」

真琴「でも真琴は知らなかったわよぅ」

名雪「それは真琴が非常識なだけだよ」

真琴「あぅ…」

名雪「ドラマとかで小姑さんが威張ってたりするのは、この言葉から来てるんだよ」

真琴「そうなの?」

名雪「そうだよ」

真琴「…でも、いずれは名雪も小姑になったりする可能性があるわけだよね?」

名雪「………」

ぶおおおーん

真琴「あぅーっ!」

名雪「あんなのと一緒にしないでほしいよ」

真琴「あぅ、でも…」

名雪「でもじゃないよ」

ぶおおおおおーん

真琴「あぅーっ!!」

名雪「わたしはならないからね」

ぶおおおおおーん

真琴「わかったからやめてー!」



………………



香里「女である以上、なる可能性があるものはあるのよ。さて『小姑一人は猫千匹』ってのは

   “嫁にとって小姑は、猫千匹に匹敵するほど厄介な存在である”っていうことよ」

栞「変わったたとえだよね」

香里「身近なものでたとえたかったんでしょ。でも千匹は行き過ぎだと思うんだけどねえ」

栞「そうだよね」

香里「ところで栞はどんな小姑になるのかしら?」

栞「私はそんなに嫌らしくないもん」

香里「ちょっと!バニラアイスが無いじゃないの!あれほどきらしちゃいけないって言ったのに…」

栞「………」

香里「…なんて言ってそうね。毎日」

栞「言うと思った。私はそんな事言わないよーだ」

香里「ことあるごとに“余命幾許も無いんです”とか言って咳してそうね」

栞「…しないもん」

香里「栞、あんまり嫁さんをいじめちゃダメよ?」

栞「お姉ちゃん!今からそんなこと言うなんて酷すぎ!」

香里「そうよね。まずは結婚よね」

栞「そ、そうそう、うん…」

香里「もし小姑さんからいじめられてもいじめ返しちゃダメよ?」

栞「だからそんなのしないもん!」

香里「…そうよね、いじめられはしないわよね」

栞「そんなのはわかんないけど…」

香里「どうせ、一度“冬の寒空の下でアイスを食べませんか”なんて誘えばイチコロだしね」

栞「お姉ちゃん!」


<おしまいだよっ>


後書き:ある意味恐ろしい言葉ですね。
嫁さんと小姑さんとがやけに言い争う漫画があったのですが(「暮れ六つ同心」だっけかな)
無茶苦茶すさまじかったのを覚えてます(笑)

戻る