『猫の寒恋』だよっ


名雪「こんな言葉を解説すると、日本中が感動の嵐につつまれちゃうよ」

真琴「そんなに感動ものなの?」

名雪「そうだよ。真琴が普段読んでる漫画より凄いんだから」

真琴「そ、それは凄い…」

名雪「でしょでしょ?」

真琴「あぅーっ、もったいぶらないで早く解説してよぅ」

名雪「わかったわかった。それじゃあ言うね」

真琴「うん(どきどき)」

名雪「“自分の超苦手なものを前にしても諦めないほどの一途な恋”という事だよっ」

真琴「うわあ…って、どうしてなの?」

名雪「猫さんは寒さに弱いよね」

真琴「そうなの?」

名雪「歌にあるじゃない。犬さんは庭で走り回るけど…」

真琴「ああっ!猫さんはコタツで丸くなるってやつね!」

名雪「そう、よく気がついたね」

真琴「…で?」

名雪「もう、わからないかなあ」

真琴「あ、ああ、ああ、寒恋だから…」

名雪「そう。もうわかったね」

真琴「寒い地、極寒の地、凍え死んでしまいそうなほど寒い地での恋ってことなんだぁ!」

名雪「う、うん…ううん、そこまで寒くはないと思うけど」

真琴「あぅーっ、違うの?」

名雪「いくらなんでも、死んじゃったら恋なんて言ってられないからね」

真琴「あぁ、そうよねぇ」

名雪「まあでも、寒い地ってのには違いないよ」

真琴「ふぅーん…。ねえねえ、名雪の苦手なものって?」

名雪「うーん…」

真琴「ずばり、朝でしょ」

名雪「ええっ?…うん、そうだね」

真琴「毎日朝早起きしなければならないような地での恋!」

名雪「それは地っていうよりも別環境の事になるんじゃないかな」

真琴「じゃあ…学校がとっても遠くなればいいんだぁ」

名雪「うわっ、それは困るよ〜」

真琴「たとえば、車で一時間以上かかるとか!」

名雪「そんな、わたし車運転できないよ」

真琴「秋子さんは?」

名雪「あ、そっか…。でも真琴、それだとわたし車の中で眠れちゃうよ?」

真琴「ええ〜?じゃあ車を持たなきゃいいんだ。歩いて…3時間!」

名雪「うわ〜、そんな場所冗談じゃないよ〜」

真琴「そんな所に引っ越したら、頑張って早起きしなきゃね」

名雪「うう〜」



………………



香里「意味はいつもどおりあれだけど…」

栞「今回はすっごく平和だったよね」

香里「毎回こうだといいんだけどね…。さて『猫の寒恋』ってのは、

   “寒がりの猫でも、夏の暑い盛りには冬の寒さを恋しがることから、

   寒がりな人でも真夏には冬を恋しがる”っていうことよ」

栞「たとえば…」

香里「栞が冬でもアイスをほしがってるのと似たようなものね」

栞「お姉ちゃん、それ違うと思う…」

香里「贅沢ねえ。寒いの嫌いなくせに寒いのが恋しいなんて」

栞「あの、お姉ちゃん聞いてる?」

香里「暑いの苦手でアイス食べてるんでしょうけど、暑いの恋しくてアイス食べるなんて…」

栞「聞いてないぃ!お姉ちゃんってば!」

香里「冗談なのにそう怒らないでよ」

栞「うぅ〜」

香里「まあとにかく、暑くても寒くても、ない方を欲しがるでしょうね」

栞「うん…」


<おしまいだよっ>


後書き:苦手でもなんでも、ある程度場から消えると違和感があるのでしょうか。
幾度か私も、夏とか冬とかで寒さ暑さを思ってましたが、
どうせその季節になったら考え変わるんだってことで、もう諦めました(謎)

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