わ〜い、シャオしゃまとお買い物でし〜。しかもシャオしゃまと並んで歩いて品物を選んで・・・。
『昼食編』に続く。
ちゅわ〜ん、想像しただけで感激でし〜。キリュウしゃん、ありがとうでし〜。
というわけで、離珠は今シャオしゃまのお部屋で、女御しゃんに着替えさせてもらっているでし。
いつもとは違う服が着られるなんて、離珠大感激でし〜。
「離珠、どうかしら。私は結構いいと思うんだけど?」
「離珠これを着ていくでし。シャオしゃま、女御しゃん、ありがとうでし。」
離珠が選んだ服は、以前シャオしゃまが太助しゃまとお買い物に行ったときの服でし。
離珠、スカートなんて初めてでしよ。
「みなさーん、着替えが終わりました。」
部屋を出てみんなに見せると、早速いろいろ言ってきたでし。
「似合ってるよ、離珠ちゃん。」
「いつもとぜんぜん違うな。馬子にも衣装ってか。」
「あれ?それってシャオと初めて買い物に行った時の・・・。なかなかしゃれたことするな。」
虎賁しゃんはなんかけなしているみたいでし。失礼でしね。
「あら?翔子さんとキリュウさんはどうしたんですか?」
「部屋に閉じこもってなんかしてるよ。誰も入って来るなってさ。」
離珠のこの華麗な姿を見ないなんてどういうことでしか!
こうなったら、後でとことん見せつけてやるでし。
「それじゃ、太助様、お買い物に行ってきますね。本当に昼食はいらないんですか?」
「ああ、虎賁と外で食べるよ。」
「そうですか。じゃあ離珠出かけましょ。」
「はいでし!みなしゃ〜ん、行ってくるでし〜。」
大きくなってもしゃべれないのは変わらないから、離珠は手を振るだけだったでしが。
「行ってらっしゃい、シャオ、離珠。」
3人に見送られて家を出ると、青〜い空が広がっていたでし。
周りの景色もいつもと違うみたいで、離珠はとってもはしゃいでしまったでし。
「離珠、あんまりはしゃぐと転びますよ。」
「分かったでし。でもシャオしゃまは、いっつもこんな景色を見てたんでしねえ。
離珠、それがわかっただけでも感動でし。」
シャオしゃまはにっこり笑いながら歩いているでし。
そんなシャオしゃまを見て、離珠はますますうれしいでし。
はしゃぎながら歩いているうちに、スーパーに到着したでし。
「それじゃ、今日の分のおかずを買わなきゃね。離珠も一緒に探して。」
「はいでし。」
いろとりどりの野菜が、果物がたくさん並んでいるでし。そういえば、
「シャオしゃま、どんな料理を作るんでしか?」
「お昼は全部で6人らしいから、そうね、麻婆豆腐にしましょう。」
それでは早速その材料を集めるでし。豆腐、ひき肉、しょうが、ねぎ、にんにく・・・。
かいものかごが材料でいっぱいになったでし。
「シャオしゃま、夜には何を作るんでしか?」
「そういえば夜の分を考えてなかったわね。うーん、何がいいかしら。」
再び入り口に戻って、材料探しとメニュー探しでし。
「うーん、やっぱり鍋物がいいかしら・・・。」
「じゃあシャオしゃま、キムチ鍋なんてどうでしか?」
「だめよ離珠。キリュウさんは辛い者が苦手なのよ。」
「はう、そうでしか。」
でも麻婆豆腐も十分辛いと思うんでしが・・・。
それにしてもシャオしゃまって、毎日すごい苦労してたんでしね。
みんなのことを考えてメニューを決めるんでしから。
「そうだわ、おでんにしましょう。これなら、みんなでたくさん食べられるわね。」
「おでん。さすがシャオしゃまでし。」
早速材料をかき集めるでし。大根、ちくわ、こんにゃく・・・。
「随分いっぱい買っちゃったわね。離珠がいてくれて助かったわ。」
「ちゅわ、よかったでし。」
シャオしゃまと一緒に笑いながら、レジに向かって歩いている途中で、ドン!と誰かにぶつかったでし。
離珠は倒れずにすんだんでしが、相手の方は床にこけてしまったでし。
「いったいなあ、ちゃんと前を向いて歩いてくれよ。」
「ごめんなさい、大丈夫ですか?」
シャオしゃまが心配そうに声をかけたんでしが、
「なんであんたが謝るわけ?ぶつかったのはそっちの子なんだから、そいつが謝るべきだろ。」
そんな事言われても、離珠の声はあんたしゃんには聞こえないでしよ。
でも一応、ぺこりとお辞儀したでし。そしたら、
「口でごめんなさいって言えよ!態度悪いなあ。」
むう、しょんなに言わなくてもいいじゃないでしか!
恐い顔になった離珠とその男の子の間にシャオしゃまが入ったでし。
「この子は喋れないんです。きにさわったのならすみません。」
シャオしゃま。どうしてシャオしゃまがそんなに謝るんでしか?これは離珠とこの子の問題でしよ。
でもシャオしゃまの言葉を聞くと、その男の子はしゅんとしてしまったでし。
「なんだ、そうだったのか。それを最初に言ってくれよ。たく、怒り損だな・・・。
そうだ、お詫びにその買い物の代金、全部俺が払うよ。それでいいだろ?」
いいもなにも、分かってくれたんならそこまでしなくてもいいでしよ。
「いけません、悪いのはこちらの方なのに・・・。」
「いいっていいって。実は俺の妹もそういう状態なんだ。
耳も聞こえず、言葉も喋れない。だからそれを思い出しちゃって。さあ、レジに行こうか。」
そしてその男の子に、離珠とシャオしゃまは背中を押されてレジへ行ったでし。
レジに着いてシャオしゃまが、
「やっぱりいけませんわ。私達よりも、その妹さんに何かしてあげてください。」
と断ろうとしたでし。離珠も同じ意見でし。離珠は病気じゃないんでしから。
「遠慮しないでくれ・・・。俺の妹も・・・そうやって遠慮したまま・・・。
いや、なんでもない。ほら、早くかいものかご置いてって。」
その男の子は急に悲しそうな顔になったでし。
シャオしゃまも離珠もそれに無言のまましたがって、レジを抜けたでし。
「シャオしゃま、あの男の子、すごくつらい事があったんでしね。」
「ええ。多分、あの目は・・・。」
しばらく立って待っていると、代金を払い終えた男の子が、品物を持ってやってきたでし。
「それじゃあ俺はこれで失礼するよ。ところでそっちの女の子。名前はなんていうんだ?」
離珠のことでしか?
「離珠っていうんです。あの・・・」
「そうか、離珠ちゃんか。離珠ちゃん、しゃべれないからって弱気になっちゃダメだ。
どんな時もくじけずに生きてくれよ。まあ、こんなにいい友達がいるんなら大丈夫そうだな。それじゃあな!」
「あ、ちょっと!」
シャオしゃまが呼びとめるのも聞かず、その男の子は走り去っていってしまったでし。
もう、離珠は病気じゃないでし。でも・・・。
「シャオしゃま。」
「うん、多分あの子の妹さん、亡くなったんだわ。なにが原因かは知らないけど。
それであの子、しゃべれない離珠にあんなこと言ったのね。」
なんだか複雑な気持ちでし。うれしいような、悲しいような。
「さあ離珠、帰りましょ。あんまりしんみりしてても、あの子に怒られちゃいますよ。」
「そうでし。離珠はこれからも頑張ってゆくでし!
それにしても、シャオしゃまの友人に、離珠は見えるんでしねえ。」
「ふふ、そうね。私もなんだか新しい友達ができた気分だわ。離珠、これからもよろしくね。」
「こちらこそよろしくでし!」
品物を袋につめて、スーパーを出たでし。大きくなっただけで、こんなにも良い体験ができるんでしね。
離珠、今回の買い物で、何か大事な事がわかったような気がするでし。
帰ったら早速キリュウしゃんに報告でし!このとき、シャオしゃまが、
「離珠、スーパーであった子の事は、みんなには内緒にしておきましょうね。」
といったでし。当然離珠はきき返したでし。
「ほえ、なんででしか?」
「あまり、人に言っていい事じゃないような気がするの。2人だけの秘密にしておきましょ。」
「そうでしか?でも離珠はみんなにお話したいでし。」
するとシャオしゃまは首を横に振ったでし。
「あの子は、あんなにつらい思いをしておきながら、あんなにやさしく離珠にはなしてくれたじゃない。
それは強くて良いことだと思うんだけど、やっぱり・・・。悲しい出来事を背負って生きているのよ。
そんな子の事を、あんまりしゃべるべきじゃないと思うの・・・。」
シャオしゃまはすごく悲しそうな顔になったでし。
そうっだったでし。シャオしゃまも・・・。
「分かったでし、シャオしゃま。離珠とシャオしゃまの秘密でし。」
「分かってくれたのね。ありがとう、離珠。」
そして笑顔に戻ったでし。やっぱりシャオしゃまは笑顔が一番でしね。
そのうちに、いつのまにかおうちに着いたでし。元気よく言うでしよ!
「ただいまでし!」
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