まもパロ外伝

 覚えているだろうか?
 かつてシャオ達にその野望を砕かれた悪魔がいた事を。

 あれから3年…
 長き眠りの時を経て…
 ついに奴が帰ってきた!

「はぁ…はぁ…俺は蘇ったぞ…見ていろあの忌々しい精霊共!!この恨み、倍以上にして返してくれるわ!!」

 奴の名は、ダークマター。
 奴は全身を震わせ怒りを露わにし、その目は復讐に燃えていた。



まもパロ外伝“ダークマターの逆襲”



 今ダークマターがいるのはとある山の中。
 シャオ達に倒されてからも奴はこの山の中でじっくりと復活のための準備を整えていたのである。
「ふぅ…復活するのに随分手間取ってしまったな。まずはあの精霊共がどこにいるか探さねばな…」
 辺りを見回した時、ふとどこからか妙な声が聞こえた。
「いや、いいわ。あんたは地味なキャラクターだけどいらん時に目立つ!」
 ダークマターはこの声に聞き覚えがあった。
「まさか…」
 慌ててその声のする方に向かうダークマター。
 やがて草むらの向こう側にそれは見えてきた。
「やはり!」
 ダークマターがそこに見たのは慶幸日天ルーアンと何故かちょっと落ち込んでいる遠藤乎一郎の姿だった。
「くはははは!!何故ここにいるかはしらんがちょうどいい!!見せしめに貴様から血祭りにあげてくれるわぁぁぁ!!」
 草むらから飛び出したダークマターは真っ先にルーアンに襲いかかった!!

 バクッ

 その瞬間、ルーアンは大きく口を開けてダークマターを食べてしまった。
 忘れているかもしれないがルーアンは悪魔の実、バクバクの実の能力者なのである。
「う…なにこれ…まっず!」
 ペッ!
 口に合わなかったのか、ルーアンはダークマターを吐き出した。
 ダークマターは唾液にまみれてベトベトになっている。
「はぁ…はぁ…なんだ今のは…」
 あまりに一瞬の出来事だったのでダークマターは混乱している。
「あぁっ!こんな事してるからたー様を見失ったじゃない!」
 怒ったルーアンはダークマターに向かって拳を振り上げた。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!」

 ドッギャァァァァァン(効果音)

「ぐはぁぁぁぁぁ!!」
 ルーアンにボコられたダークマターはボロボロになって地面に倒れた。
「あーもう!たー様を探さなきゃ!!」
 八つ当たりを終えたルーアンはダークマターには見向きもせずその場を去っていった。
「…なんだっけ、これ?ま、いいや。ルーアン先生待ってよー」
 そして乎一郎にまで見放されていた。


「くそっ…3年かけて創り上げた俺の新しい体が早くもボロボロだ…」
 ルーアンにボコられ、ボロボロになりながらもダークマターは立ち上がりどうにか山の中を歩いていた。
「奴は主を探しているようだったな…ということはあの太助とかいう小僧もこの山に来ているのか?」
 先程のルーアンの行動からダークマターは推測した。
「くくく…見ていろよ、探し出して貴様らの目の前で主を八つ裂きにしてくれるわ…」
「それは困るな」
 ダークマターははっとして声のした方を振り向いた!
「貴様は…確か大地の精霊…」
「ほぉ、私の事を知っているのか?」
 短天扇に乗って空中からダークマターを見下ろしていたのは万難地天のキリュウであった。
「ふふふ、姿が変わってるのでわからんのも無理はないが、忘れたとは言わせんぞ!このダークマターを!!」
「だーくまたー?」
 思い出せないのかキリュウは首をかしげている。
「ふん、まぁいい。あの世でゆっくり思い出せ。貴様はここで俺に殺される、今はそれだけわかっていれば十分だ」
 ダークマターはそれだけ言うとニヤリと笑い、爪を長く伸ばして襲いかかってきた!
「死ねっ!!」
 キリュウに接近したダークマターは爪を伸ばしたその手を振り下ろした!

 ザシュッ!

「なにっ!?」
 しかしダークマターの手は空をきり、爪は木の幹を切り裂いただけだった。
 いつの間にか目の前からキリュウが消えていたのだ。
「貴様が何者かは思い出せぬが…」
「ひっ!?」
 背後からキリュウが現れ、ダークマターは仰天した。
「この程度で私を殺すなどとは…片腹痛い!」
 キリュウは剣を取りだしてダークマターに斬りかかった!
「待て!その剣はどこから…」
「私は魔物を討つ者だから!」


「はぁ…はぁ…死ぬかと思った…」
 ダークマターは体中を斬られてフラフラになりながらも命からがら逃げ出していた。
「一体どうなってるんだ…俺の眠っていた3年の間に何が…」
 精霊達のあまりの変貌ぶりにダークマターはすっかり困惑していた。
「そうこうしているうちに日が暮れたな…まぁよい。闇の悪魔たる俺にとっては都合がいい」
 ダークマターは闇の中でもはっきりと物が見えるため、平然と暗い山の中を歩いていた。
「む…あそこにいるのは?」
 やがてダークマターは木の根本に座り込んでいる少女の姿をとらえた。
「間違いない!奴は月の精霊だ!!」
 先程の傷もなんのその、ダークマターは山を駆け下りてシャオの前へと現れた!
「見つけたぞ!久しぶりだな、月の精霊よ!」
「…どなたですか?」
「やはり貴様も思い出せぬか。まぁよい。俺が3年かけて創りだしたこの新しい体で貴様を葬り去ってくれるわ!」
 ダークマターは再び爪を長く伸ばし、シャオに襲いかかった!
「…ふん」
 その瞬間、シャオが鼻で笑った事にダークマターは気付かなかった。
「あたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた
たたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたぁ!!」
「ぐわあああああああああ!!」
 ダークマターは攻撃するどころかシャオに返り討ちにあっていた。
「北斗百烈拳…北斗神拳は暗殺拳、闇の中でこそ真価を発揮する…」
「がはっ…」
 ダークマターは体中傷だらけになり、もはや立ち上がるのも困難な様子であった。
(馬鹿な…3年の間に奴らは俺以上に強くなっていたというのか…このままでは…また俺はやられる!!)
 3年前の手痛い敗北を思いだし、ダークマターは戦慄した。
「おーい、シャオ。いい山小屋が見つかったぞー」
 と、そこに精霊達の主である七梨太助が現れた。
「しめた!もう一度奴に乗り移れば…!!」
 咄嗟にダークマターは飛び出し、太助に突撃していった!
「ふはははは!!いい所に現れたな小僧!貴様の体、もう一度乗っ取らせてもらうぞ!!」

 ズバァッ!!

「がぁっ…!」
 次の瞬間、太助は手持ちのナイフでダークマターを切り裂いていた。
「いきなり襲いかかってくるとは物騒だな…」
「あがっ…がぁっ…」
 全身から大量の血を流し、ダークマターは悶え苦しんでいた。
「ば、馬鹿な…再生できぬ…この体は回復力も高いはずなのに…」
「俺はモノの死が見える。そこを俺は斬ったんだ」
「あ…あぁぁぁ…」
 もはやダークマターの死は決定的だった。
 薄れ行く意識の中でダークマターは視界の端に小さな星神の姿を見た。
「貴様は…」
 そこにいたのは星神の離珠。
 かつてのダークマターの計画を大幅に狂わせた張本人である。
「こうなったら…貴様だけでもぉぉぉぉぉ!!」
 最後の力を振り絞り、ダークマターは離珠に手を伸ばした。
(うざいでし!目からビームっ!)

 ドゴーーーーーーン!!

「ぎゃああああああああああああああ!!」
 離珠の目から放たれたビームが直撃し、ダークマターは今度こそ息の根を止められた。
「なんだったんだ、こいつ…」
「ほっておきましょう、それより何か言いに来たのでは?」
「あ、そうだったな。山小屋見つかったからそこで休もうか」



 こうして復活したダークマターの野望は意外にあっさり潰えた。
 しかし奴は懲りずに再び復活するかもしれない。
 だが彼らがいる限り、ダークマターの野望が達成される事はないだろう。
 がんばれ、七梨家の者たち!
 負けるな、七梨家の者たち!



まもパロ外伝“ダークマターの受難”完



「微妙にサブタイトル変わってるような」
「目の錯覚だ!」


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ネタ解説

>今回の舞台。
47話の夏山編が舞台です。

>「いや、いいわ。あんたは地味なキャラクターだけどいらん時に目立つ!」
まもパロ67読んでくれた方ならわかりますよね。

>ルーアン
まずはワンピースよりワポル。続けてジョジョ。

>キリュウ
Kanonより川澄舞。

>シャオ
当然、北斗の拳です。ネタにしやすい。

>太助
月姫ネタ。やったことないですけど。

>離珠
デジキャラットです。使ってみたいネタでした。

>ダークマター
特別出演。思う存分振り回してやりました。
ひさしぶりに書くとやっぱり懐かしいです。



後書き
私のSSデビュー3周年特別企画SSとして書いたネタです。
私のデビュー作「ディアブロの夜」がシャオりんぐに掲載されたのが99年1月です。
デビュー初期の私を知っている方ならば私の芸風が昔と大きく変わった事がわかるかと思います。
今回はそのギャップを楽しもうという目的のため特別ゲスト
「ディアブロの夜」より悪役のダークマターを再登場させました。
要するに完全な内輪&自己満足ネタ(死)
いやー、長い事やってるとこういうネタも出来るんですねー。

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