「太助様ぁ、このラケットというものでボールを打てばいいんですね!」
「そうそう、俺もよく知らないからテキトーでいいよー」
秋の深まる頃、太助はシャオを引き連れてテニスをしに出掛けていたのであった。
(女の子と2人でテニス…うんうん悪くないぞぉ)
パカーン!!
「うげふぅぅぅぅぅ!!」
シャオの打ったボールは猛スピードで太助の顔面にぶち当たった。
「太助様ったら隙だらけですよー。今のが実弾なら太助様は死んでましたー」
「てめぇ…」
こういう平和なシーンでもボケを忘れないのがこのSSだったりする。
6話.シャオは誰にも渡さない!!編“スポ根ですか?”
「無様ですねぇ、太助君」
その太助の後ろに謎の青年が現れた。
嫌味な態度でいちいち前髪をあげる仕草が鼻につく。
「シャオ…今度はこっちから行くぞっ!うらぁっ!!」
が、太助はそれをきれいに無視してシャオに仕返しとばかりにボールを放った!!
「愚かな…二指真空拳!」
だがシャオはその豪速球を二本の指で簡単に受けとめあまつさえそのまま投げ返してきた。
「あぶねっ!」
危うくまた顔面に当たるところをなんとかよける太助。
バカンッ!
「がふあっ!」
よけたボールは後ろにいた謎の青年の顔面にぶち当たった。
「こらシャオ!お前のせいで見知らぬ誰かに当たってしまったじゃないか」
「太助様がよけるからいけないんですよ」
「投げたのはお前だろうが」
「先に仕掛けたのは太助様です」
「その前に俺にボール当てたのは誰だ!」
「隙を見せるからいけないんです」
「お前が悪い!」
「太助様のせいです!」
「うーっ」
「ふかーっ」
「…君達…私に言うことはないんですか?」
ようやく見知らぬ青年が起きあがってきた。
かっこつけてはいるが鼻血を出したままでは様にならない。
「おぅ、俺は全然悪くないがとりあえず悪かったな」
「太助君、それが大人に対する態度ですか…」
「何故俺の名前を知っている!?さては俺のストーカーか!?」
「違いますっ!!私は宮内出雲ですよっ!!」
「はて?そんな奴いたっけ…」
「ひ、ひどい!第5話から登場してるじゃないですか!?」
「いや、作者が4話と5話をとばしてしまったからまもパロではお前は見知らぬ青年だ」
「なんでとばすんですかっ!」
「だってネタがないしめんどくさいし…」
「最低の作者ですね…」
うるさい。(逆ギレかよ)
「で、その宮内出雲(仮)がどうした?」
「(仮)じゃなくて本物ですってば!!いい加減原作どおりにいきますよっ!私とテニスで勝負です!」
「誰が?」
「太助君が」
「誰と?」
「私と」
「何を?」
「テニスで勝負です」
「誰が?」
「太助君が」
「誰と?」
「私と」
「何を?」
「テニスで勝負です」
「…お前ら、つっこむ奴はいねーのか?」
これまたいつの間にやら、山野辺翔子が現れていた。
「山野辺、またお前か」
「このままじゃ話が進まないだろ。あたしが審判するからさっさと始めろ」
「そうだな、出雲で遊ぶのもこの辺にしとこうか」
「遊んでたんですか…」
出雲、このSSでの立場ナッシン。
30分経過。
「弱すぎます」
試合の方は一方的に出雲のペースだった。
ここらへんは原作通り。
「お前、素人のしかも中学生にムキになるなよ」
太助の言うことももっともだった。
「なんとでも言ってください。これで勝てば私はシャオさんとデートです」
もはや年上の威厳はミクロほどもない出雲。
だが事実、太助は追いつめられていた。
(太助ちんぴんち…がお)
まだボケる余裕はあるみたいだが。
「まずいな…シャオ、七梨が危ない」
「え?」
その様子を見ていた翔子がシャオに話しかけてきた。
「テニスに負けると千尋の谷に落とされるという決まりがあるんだ」
「翔子さん、つくならもっとマシなウソついてください」
真顔で返された。
「いや…ここで騙されてくんなきゃ話進まないだろう…」
「私にそんな子供だましにつきあえと?そんな酷なことはないでしょう」
「お前それ言いたかっただけだろ」
「いいから虎賁出してくれ、でないと話進まないから」
太助の方からも催促されたので渋々進めることに。
「それでは…いきます」
そう言ってシャオは小さなボールを取り出し…って、え?
「虎賁っ!君に決めたっ!」
シャオの掛け声とともに開いたボールの中から小さな星神が現れた。
「こほーん!って俺はポ○○ンかぁっ!!」
星神のくせにノリツッコミとはやるな虎賁。
「さぁ、虎賁、得意の電気ワザを見せてくれ」
「俺はピ○チ○ウじゃねぇっ!」
虎賁がサポートに加わってからようやく太助の反撃が始まった。
試合は互角に進み、残り一試合というところで太助が虎賁に話しかけてきた。
「虎賁、あとは1人でやってみる」
「え?ちょっと早いんじゃねぇのか?もう少しポイントを重ねてから…」
「ごめん、展開上お前を出したけどイマイチ話が膨らまない」
「ひ、ひでぇ…」
あっけなく虎賁の出番は終わってしまった。
「星神の助けなしに私に勝てると思ってるんですか?」
自信と嫌味たっぷりに出雲がふっかけてくる。
「勝てるさ…シャオ!ラケットをもう二つくれ!」
「はいっ!」
シャオから新たにラケットを二つ受け取った太助は両手に一つずつ、残る一つを口にくわえた。
「さ…三刀流!?」
そう、某海賊狩りのアレといっしょだ。
「そういうことだ。出雲!お前はっちゃんやれ!」
「なんで私がタコの魚人なんですか!」
「アニメの声優同じだろうが!」
注:本当です。
「かかってこいっ!!」
「バカにするのも…いい加減にしなさい!!」
出雲のサーブが勢い良く打ち出される!!
「三刀流…龍巻き!!」
太助の3本のラケットが猛烈な勢いでボールを捌いた!!
次の瞬間、ボールは木っ端微塵に粉砕され、ちりぢりになって太助のコートに散っていた。
「って斬ってどうするよ!?俺!?」
なんでラケットでボールが斬れたのかはツッコミ不可。
「アホですね」
シャオの情け容赦ない言葉が死者にむち打つ。
結局試合は出雲の勝利となり、シャオとのデートが決まってしまったのだった。
「出雲殿、ポッポコーンだ」
「それはポップコーンですよ」
「そうか、ポップコーンか…」
映画館の中、出雲の隣りに座る1人の少女。
「あの…なんでキリュウさんが出てくるんですか?あなたの出番はもっと先のはずじゃ…」
そう、シャオのかわりに何故かキリュウがそこにいたのである。
「出番がないのに強引に出てきた私の苦労がわからんのかっ!」
「帰れ」
その頃、山野辺家では。
「ふふん…けっこう集まったねぇ」
お金を数えて悦に入っている翔子。
実は彼女は二人の試合をこっそりトトカルチョにしていて、その収入が彼女の懐に入っていたのである。
「サンキュ、儲けさせてもらったよ」
結論、真の勝者は山野辺翔子。
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ネタ解説
>「うーっ」「ふかーっ」
ONEの浩平と瑞佳ですね。
もっとも実際のゲームやってないんでホントに使われているかどうかは知らない。じゃ使うなよ。
>「だってネタがないしめんどくさいし…」
事実思いつかなかった。
ただでさえ無茶苦茶なSSなんだし。
>宮内出雲(仮)
出雲はいまいち使いにくいキャラでした。
結果、ちょっと扱いがぞんざいなだけでキャラ自体は普通になってしまった。
裏月天書いてた人の気持ちが少しわかった。
>「誰が?」「誰と?」「何を?」
Kanonネタですね。思いつきでいれました。
いつもそうだけどまもパロのネタは思いつきの突発もけっこう多い。
>(太助ちんぴんち…がお)
続いてAIRネタ。
これは前から使いたかったのでチャンスとばかりに詰め込んだ。
>「そんな酷なことはないでしょう」「お前それ言いたかっただけだろ」
全くもってその通り。Kanonネタです。
>俺はポ○○ンかぁっ!!
前から考えてたネタだけど任○○が怖いので伏せ字を多くしました。
この手の同人的二次創作は著作権問題が微妙なので。
>「さ…三刀流!?」
好きですONEPIECE。
>「アニメの声優同じだろうが!」
実際聞いてもとても同一人物とは思えないが本当に森川さんです。
声優って奥が深い。
>「出番がないのに強引に出てきた私の苦労がわからんのかっ!」「帰れ」
昔のドラクエ4コマで柴田亜美先生が描いたネタのセリフをアレンジしての引用。
マニアックすぎますか?
>真の勝者は山野辺翔子。
嘘が得意な翔子は策士でもあるのです。
後書き
出雲登場編でした。
解説にも書きましたが出雲の扱いに困りました。
ただギャグはテンポ良く書けたのでその辺は気に入ってます。
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