まもパロ2

「ふぁぁ…おはよー…」
 朝、目覚めた太助は台所に入るなり異様な光景を目の前にした。
「あ、太助様、おはようございます!」
「…おはようございますぢゃねーだろ。なんだこりゃ?」
 テーブルの上に並んだ異様な量の食事。
 どう考えても人一人が食べるには多すぎる。
「ごはんです!」
「見たらわかるわ。どっかの病弱な後輩じゃあるまいしなんだこの量は?」
「もちろん嫌がらせです☆」
「ぶっ殺すぞてめぇ」
 朝から平和な二人だった。
 とりあえず太助は椅子に座り、目の前の朝食に手を伸ばした。
 しかし、そこでその朝食が何やら奇妙な事に気付く。
「こっ…これはっ…!?」
「勇者ランチです。聞いた事はあるでしょう?」
「…マジかよ」
 恐る恐るちょっと食べてみると、
「く…苦しい…」
「そこは毒の沼ですよ!早く隣の薬草を食べて!」
 慌てて太助は別の部分を掻き込むように食べるが
「そこは祠です!お城を食べてどうするんですか!あぁそれは魔王です!」
 どれも見当はずればかりだった。



2話.いつも一緒に居なくっちゃ編“月天の拳”



「はぁ…はぁ…朝からいきなり死にかけたぞ」
 なんとか助かったらしい太助はふと壁にかけた時計を見てまたも慌てだした。
「げっ!遅刻する!行ってきまーす!シャオ!留守番頼んだぞー!」
 結局、朝食を適当な所でほっぽり出して太助は学校へとダッシュしていった。
「あっ、太助様!?…行っちゃった…」

「やべぇなぁ…もううちの学校の連中歩いてねーじゃんかよ…」
 通学路を走りながら太助がつぶやく。
 その時、後ろから声が聞こえてきた。
「…太助様ぁー」
「…え?」
 どごすっ!
「がふぁっ!」
 後ろから飛んできた何かにぶっ飛ばされる太助。
 あ、勢いあまって電柱に頭打った。
「よかった、追い付きましたわ」
「ふざけんなよコラ、何のつもりだ」
 額から血をダクダク流しながら太助が突然現れたシャオを睨み付けた。
「確信犯です」
「開き直るな。それはいいとして」
 いいのか。
「そのナマモノはなんだ?」
 先程シャオを乗せ、太助を轢いた張本人?である謎の龍。
「この子は軒轅といってどんな願いでも一つだけかなえてくれるんです」
「それは神龍だ」
「冗談です」
「とにかく家に帰って目立たないようにしてろー!」
「あ…」
 その場にシャオを残して太助は学校へと猛ダッシュしていった。

「太助様はああおっしゃったけど私の目の届かない所で太助様に何か起きたら大変ですわ」
 軒轅に乗ってシャオはこっそり学校へとついてきてしまっていた。
「さっきだって額から流血なさっていたし…」
 襲ったんあんたや。
「とにかく太助様を探さなくちゃ」

 当の太助は教室で次の授業の準備をしている。
「次は国語でスイミーの朗読だったな…」
 …懐かしいな、ってそれは小学校じゃないのか?
 今もあるのかなぁ…
「たすけさま…」
「げ」
 突如、床下から現れるシャオの顔。
「げ、ってなんだ。殺るぞコラ」
「何やってんだよ。こんなとこで!」
「モグラごっこです」
 ぽか
「なんで叩くんですか」
「モグラ叩きだ」
「それは冗談として、この穴から一緒に帰りましょう」
「あのな…帰ろうったって帰れないんだよ…」
「えーっ、ついでに入るたびに内容が変わる不思議のダンジョンまで作ったのに…」
「なおさらお断りだ」
 作るなそんなもん。

「太助様帰れないって言ってた。どうして…」
 暗い顔で校内をとぼとぼと歩くシャオ。
「もしかしてここは…闇組織の秘密アジト…太助様は何かの理由でここに軟禁されている…?」
 どこがどーしてそういう結論に達するのだろう。
「大変!来々羽林軍!!」
 支天輪が光ると中から次々と小人の大工が現れた!
「この建物を徹底的に破壊して!」
「イーッ!!」
 お前らはショ○カーの戦闘員か。

 太助は教室で一人考え事をしていた。
「シャオ…おとなしく帰ったかなぁ…なんか勝手に勘違いして騒ぎだけでかくしてなきゃいいけど…」
 よくわかってらっしゃるがもう手遅れだ。

 ドッゴォォォォン!!

「なぁぁぁぁぁ!?」
 突如響きわたる爆音!
 瞬時に太助は原因が思い当たった。
「シャオぉぉぉぉ!!」
 速攻でシャオの元に急ぐ太助。
 思い当たる場所は騒ぎの中心。
 案の定、その中心にいたのは…シャオ。
 そのまわりで羽林軍が小さなダイナマイトで壁を壊しまくっている。
 大工っつーよりテロリストだ。
「あら…太助様…」
「シャ〜オ〜…懲りもせずまたてめぇは…」
「ふふふ…邪魔をする者は…」
 次の瞬間、光で何も見えなくなったかと思うと…

 ドゴンッ!!バキバキバキッ!!
 15HIT!

「ごふぅっ!」
「滅殺ですよ…」
 一瞬シャオの背中に「天」の文字が見えた気がした。
 目的のために手段を選ばなかったシャオは手段のために目的を忘れていた。
「ほほぉ…貴様そう来るか…ならば…もはや容赦はせん!!」
 ついに頭に来た太助は体にオーラを纏いながらシャオを睨み付けた。
 心なしか目が赤く光っている。
「私と殺る気ですか…いいでしょう…来々軒轅!」
 シャオは軒轅を呼び出しその背中に乗り込んだ!
「さぁ…かかってきなさい!!」
「何ぃ!?そのままで戦うのかっ!?」
「ふふふ…貴様ごときと同じ地上で戦うとでも思ったか!もはや私を対等の地に立たせる者はおらぬわ!!」
 軒轅って黒王っぽいかーっ!?
「ならばそのまま龍ごと逝くがいいっ!!」
「私に勝てると思ってるんですかっ!!」
 ガッ!!
 ぶつかり合う太助とシャオ。
 次の瞬間、予想外の事が起こった!
「ぐっ!?」
 なんと、ダメージを受けたのはシャオの方だった!
「バカな…確かに秘孔をついたはず!!」
「くくく…残念だったな…俺は生まれついての主人公の体!!誰も俺を傷つけることは出来ぬのだ!!」
 せ、聖帝!?
「くっ…!」
 初めてシャオの顔に焦りの色が浮かんだ!
「確かに拳の勝負には貴様が勝った…だが!貴様はこの俺の主人公の血に負けたのだぁっ!!」

「いい加減にせんかっ!!」
 スパーン!!
 突如現れた謎の少女のハリセンによって太助はあっけなく沈黙した。
「あ、あなたは!万難地…」
「シッ!言うな!私はまだ登場していないキャラ。ここで実名を出すわけにはいかん」
「ではキ○○ウさん、どうしてここに!?」
「このままでは収拾がつかなくなりそうなんでツッコミ役として特別出演だ」
「本音は?」
「39話まで待ってられないので無理矢理出番が欲しかったのだ」
「かっこ悪ぅ」
「五月蠅い」

「う、うーん…」
「気が付かれましたか?」
「ここは…」
 意識を回復した太助が辺りを見回してみる。
「学校の屋上です。太助様ったら貧血で倒れたんですよ」
「そ、そうだったっけ…?」
 どさくさ紛れに記憶改ざん。
「ん?こ、この体勢は!?」
 よく見ると自分がシャオに膝枕されていることに気付いた。
 太ももの感触が後頭部に…(バカ)
「すいません…私また何か勘違いして太助様を困らせてしまったみたいで…
私、この時代のことをちゃんと覚えて、早くあなたのことを本当に守れるように頑張ります!」
「あぁ…俺も学校のこととか詳しく教えてやるからさ…一緒に家に帰ろう…」
「はい…って、ん?」
 いつの間にやら太助は仰向けからうつ伏せに変わっていた。
 つまり顔面はシャオの太ももと直に…

 ゴッ!
「ごふっ!」
 間髪入れずにシャオの肘打ちが太助の後頭部に炸裂した。
「太助様、疲れてらっしゃるのね。よくお眠りになって…」
「永遠に眠らす気かっ…がくっ」


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ネタ解説

>病弱な後輩
Kanonの美坂栞、前回もネタにしましたね。

>勇者ランチ
魔法陣グルグルより。
朝食だから正確には勇者ブレックファーストですが。

>「それは神龍だ」
ドラゴンボールです、説明しなくても大抵の人はわかりますよね。

>「次は国語でスイミーの朗読だったな…」
このネタわかる人いるんだろうか。

>入るたびに内容が変わる不思議のダンジョン
トルネコのゲームをやりましたがクリア出来ませんでした。

>「イーッ!!」
作中でも書いた通り、仮面ライダーに出てくる戦闘員。

>「滅殺ですよ…」
ストリートファイターシリーズより、豪鬼。
決して真・琴音ではないですよ(笑)

>軒轅って黒王っぽいかーっ!?
北斗の拳より、拳王の愛馬。

>せ、聖帝!?
続けて北斗の拳より、聖帝サウザー。



後書き
これも初出は「月天召来」のショートストーリーでした。
2000年のちょうどクリスマスの時期です。
早くも太助vsシャオが勃発してますね。



おまけ。
初出時に書いたまもパロ設定。

シャオ。
原作と違いかなり極悪。
ある時は拳を極めし者、ある時は北斗神拳伝承者、またある時はサイヤ人王子など、数々の凶悪なテクを使いこなす。
一応太助を守るのが使命だが本気で守る気があるのか怪しい。

太助。
原作と違い、心は薄汚れている。
それで何故支天輪が見えたのかは謎。
主人公は不死身という鉄則を武器にけっこうやりたい放題生きている。

キ○○ウ(笑)。
本人の名誉のため名前は伏せている。
主要メンバーでは一番登場が遅いため全国のファンのため無理矢理登場した。
もしこのシリーズが続いたら今後もこんな形で出す予定。

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