むかしむかしから中国に伝わる伝説じゃ。
(中略)
その国ではそんなふうに語り継がれておったそうじゃ。
ってかんじんなとこ抜けてるじゃん。
ま、いいか。
ここに来てる人は大抵わかってるだろう(超投げやり)
1話.守護月天、召来編“守護月天、襲来”
『ニーハオ太助!父さんは今中国奥地を旅している』
太助は今父親からの手紙に目を通している。
『やはり中国はすごい!4千年の歴史は伊達ではないぞ!』
「…もう2000年だぞ、そろそろ5千年の歴史じゃないのか?」
『ハハハ、細かい事は気にするな』
「手紙でツッコミ入れるとはやるな親父。ていうかホントに中国にいるのか」
『この前も骨董品屋で…』
「どうでもいいや」
そう言って太助は手紙と小包をさっさと捨ててしまった。
父親の手紙は鬼門であることを知っているらしい。
これにてまもって守護月天・完。
「終わるなぁぁぁぁぁ!!!」
スパァァァァン!
「ごふぅっ!」
突如現れた少女の強烈なハリセンで太助は2メートル程ふっとんだ。
「これから私との出会いのシーンでしょう!?後々重要なシーンなんですからきっちりやってください!
って気絶してないで聞いてください!」
気絶させたん君やん。
「なかなかに痛かったぞ」
「主にツッコミを入れるなんて初めてですよ」
「で、お前誰?」
「はい、私は守護月天シャオリンと申します。天に浮かぶ月のように…」
「あー、そのへんははしょって結構。とりあえず今回は第一話のパロだから、さっそく風呂のシーンを…」
ドゴンッ!
「それ…は…」
「車騎ですわ。私支天輪から中国に伝わる星座を呼び出せるんです」
「それはそうとしてなんで俺を攻撃すんねん…ガクッ」
「はぁ…」
なんか太助君早くもお疲れモード、無理もないが。
「太助様、これはなんですか?」
「あぁ、テレビだよ。やっと原作らしくなってきたか…」
少し安堵しながら電源をつけると、
『お前はもう死んでいる…』
何故か北斗○拳の再放送がやっていた。
この時点で嫌な予感。
「…伝承者争いですか…懐かしい思い出です。私もあの頃は」
「やめれ。聞きたくない」
案の定だった。
やっぱそう来たか、どっちも中国のもんだし。
「おっかしいなぁ…」
風呂に入っている太助は物思いにふけっていた。
「大抵こういう女の子との出会いパターンは非常に萌えなはず…なのにさっきから全然萌えないんだが…こんなはずじゃ…」
考えてる事はかなりダメ人間だが。
「だが今はお風呂シーンだ。今度こそ…」
「太助様」
(よっしゃ来たーっ!)
バスタオルを巻いただけの色っぽい姿のシャオが風呂場に現れた。
太助は心の中でガッツポーズ。
「おそばでお守りさせていただきます、よろしいですか?」
「もちのろん。オッケーだとも、おそばと言うなら一緒に風呂に…」
ピンポーン
「太助様伏せてください!」
チャイムが鳴った瞬間、慌ててシャオは太助の頭を掴んで無理矢理湯の中に沈めた。
「ぶぼぉっ!?ぶぼぼぼぼ!!」
慌てた太助は湯の中で息を吐き出し、思いきり暴れた。
「ぶはぁっ!やめんか!」
なんとか湯の中から脱出した太助はかなり息があがっている。
「太助様!さっき怪しい音が!」
「あれはただのチャイム!たぶん近所のおばさんが回覧板でも届けに来たんだ!危険じゃない!」
「そうなんですか?」
プルルルルル
「太助様伏せてください!」
と、今度は電話のベルが鳴った瞬間、シャオはまたしても太助を湯の中に沈めた。
「ぶぼぼぼぼ!!ぶはぁっ!落ち着かんかっ!」
「太助様!また怪しい音が!」
「あれはただの電話だ!危険じゃない!てーかもう切れたし!」
「そうなんですか?…それならいいんですが…」
「なんか疲れた…もう出る…」
と、太助が浴槽から出た瞬間、
「太助様伏せてください!」
シャオは太助を浴槽に突き落として慌てて窓を開けた。
「そこにいるのは誰ですか!?」
「にゃー」
「あ…なんだ、ネコでしたか…」
安心したシャオが浴槽を見ると、湯の中から太助の足だけが突き出されていた。
太助は突き落とされた時に滑って浴槽の底で頭を打ち、湯の中で気絶していたのである。
「きゃーっ!?犬神家の一族っ!?」
「はぁ…」
このままでは身がもたない。
「ここは君が思ってるような危険な所じゃないし、俺は誰かに命を狙わりたりもしてないんだよ」
むしろこいつの方が危険だ、とは言わない。
命が惜しいもん。
「わかりました…数々の無礼お許しください。私は支天輪に帰ります。いつかまた心清い人に巡りあえる日もありましょう」
スゥッ…
「…帰ったか…」
ちょっとの時間しかいなかったけど。
痛いツッコミいれられたけど。
さりげに一子相伝の暗殺拳の伝承者でも。
コントみたいな展開で死にかけても。
やっぱりいなくなると少し淋しい…かな。
「でも夕食くらいは一緒に食べてもよかったかもな…」
「言われずともすでに頂いています」
「うわっ!」
気が付くとすぐ横にシャオの姿が!
気配を感じさせないとはさすがだ。
「帰ったんちゃうんかい!」
「いえ、私もお腹がすいたので…」
「こらーっ!俺の夕食勝手に食うなーっ!」
コンビニで買ってきた食料が次々とシャオの胃袋に消えていっている。
「一緒に食べるんじゃなかったんですか?」
「お前、俺の分まで食ってんじゃねーかっ!」
感動ぶち壊し。
「ていうか精霊って腹減るのか?ルーアンはやたら喰うけど」
「まだ登場していないキャラの話しないでください」
「…それはともかくどうすんのこれから?」
「あの…よろしければあなたの中の孤独や寂しさからあなたを守ってさしあげたいのですがそれではいけませんか?」
「えー…鬱陶しいなぁ」
「もう、そんな事言う人嫌いです」
「作者め…ネタの引用が節操ないぞ。まぁいいよ。一緒にいて。このままじゃ話進まんし」
「はい」
父さん。
父さんがくれた輪っかのおかげでなんか幸せになれそうだよ。
もっともこのネタが続く保障はないんだけどさ。
「今更だがホントに俺は心が清いのか?」
「それは言わない約束です」
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ネタ解説
>そろそろ5千年の歴史じゃないのか
「かってに改蔵」にそんな感じのネタがあったんです。
>強烈なハリセン
後々武闘派になっていくシャオ、ハリセンのツッコミって珍しいかも。
>お前はもう死んでいる…
作中でも書いてますが、「北斗の拳」。
この先何度もネタにしてます。
>風呂シーン
今回の新装版のために新規に追加しました。
ドリフのコントみたいにしたかったんですが。
>そんな事言う人嫌いです
ご存知、Kanonより美坂栞。
Kanonはわりとネタにしやすい。
>もっともこのネタが続く保障はないんだけどさ。
まさか続くとはねぇ…
後書き
旧まもパロシリーズ、新装版になって復活です。
この新装版は今回の再録のために一部加筆修正をしました。
もし前のバージョン保存してる人は見比べてみてください。
特にこの1話編は大幅に変わっていますので。
なおこの1話編の初出は「月天召来」のショートストーリーでした、懐かしい。
これ書いたの2000年かぁ…時が経つのって早いです。
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