翌朝、太助は目が覚めた。枕元の時計を見るとまだ6時半であった。
「あーあ、いい天気だな。」外に出た太助はそう言いながら伸びをする。
そして朝食を食べた太助達はホテルの外に出た。
そのころ太助とシャオは、
Travel Memories 第2話 いつか見た風景 完
「目が覚めちゃったな。」と太助はつぶやく。隣のベッドではキリュウがすやすやと眠っている。
「ちょっと散歩にでも行ってくるか。」と言うとキリュウを起こさないように静かに部屋を出て、
寝ているであろう他のみんな(特にルーアンと花織)に気付かれないように気を付けながら外に出た。
「右の方に行ってみるか。」そう言いながら太助は歩き始める。
そして数分後、彼は川岸を歩いていた。
「それにしても静かでいいよな。いつもとは大違いだな。心は安らぐし。だけど、」
とつぶやく太助だが、ふと立ち止まり、
「だけどどこかで見たことがあるような気がするんだよな。」とつぶやきながら考える。
が、納得のいった答えは出てこない。そこで太助は、
「まっ、いっか。」と1人納得すると再び歩き始めた。
そして早朝の街を1時間ほど歩き、ホテルに戻った。
「今日は昨日も申し上げたとおり一応自由行動です。
とりあえず午後の7時半頃にはここに戻ってきて下さいね。では。」と言う。
その言葉が終わるか終わらない内に、
「ちょっとあんた、離れなさいよ。」
「嫌ですよーだ。先生こそ離れたらどうなんですか。」
とルーアンと花織が言い争いを始める。そしてそのすぐ後に、
「野村君、どういうおつもりでしょうか。」
「お前こそどういうつもりなんだよ。」出雲とたかしも言い争いを始めた。
その間に太助とシャオは2人で歩き始め、
那奈達3人が太助達の後をつけて歩き始めたのは言うまでもない。
5人が去ってから少し後、
「ねえ、たかし君、ルーアン先生、花織ちゃん、出雲さん。」
乎一郎が口論中の4人に話しかける。
「何だよ、乎一郎。」とたかしが乎一郎の方を向きながら言う。
「もうみんないないよ。」と乎一郎。彼の一言に全員の顔色が変わる。
「ちょっと何でもっと早く言わないんですか、遠藤先輩。」と花織。
「さっきから何度も言ったんだけど。」と反論する乎一郎。
「まあいいわ。追いかけましょう、野村先輩。」と花織がたかしに言い、
たかしが返事をしようとしたその時、
「陽天心招来。」とルーアンの声。陽天心化したものはたかし達3人に襲いかかる。
そして3人は何処かへ飛ばされていった。
「いきなりやってくれましたね、ルーアンさん。」とその様子の一部始終を見ていた出雲が言う。
「当然じゃない。邪魔な者は早い内に片付けた方がいいからね。」とルーアン。
「それはそうですね、じゃあ行きましょうか。」と出雲。
そして2人は太助達を追いかけ始めた。
ルーアンによって飛ばされたたかし3人はそのまま地面に落ちた。
「何もいきなり吹っ飛ばすこと無いだろ、先生。」
「ひどいよ、先生。」とたかしと乎一郎。
「それにしてもここは何処なんだ。」と辺りを見ながらたかしが言う。
「どこかの空き地みたいだけど・・・」と乎一郎。
「そんなことはどうでもいいから早く七梨先輩達を探しましょうよ。」とたかしを急かす花織。
「そうだな。よし行こう花織ちゃん。太助達を探す旅に。」
「訳わからない事言っていないで早く行きますよ。」それだけ言うと花織は走り出す。
たかしと乎一郎もその後を追う。
「太助様、何処に行きましょうか。」と聞くシャオに、
「そうだな・・・」と地図を見ていたが、
「ここから大体300メートルほど歩いたところの博物館にでも行ってみようか。」と
提案する。
「はい。」とシャオ。そんな2人の後ろでは、
「うまくやっているみたいだし、仲よさそうだし結構、結構。」
と翔子が2人の様子を見ながら言う。
「そうだな。」と那奈もそれに同意すると、
「ところで翔子、後ろのあいつらどうしようか。」と翔子に聞く。
「どうしようかって言われても、打ち落とすしか・・・」
「ないよな。」と2人。彼女たちの手にはすでに石などの飛び道具が握られている。
「じゃあキリュウ・・・」
「頼んだぜ。」と言う2人。
那奈達の後方では出雲とルーアンが上空から太助達の後を付けている。
「何とか追いついたわね。」とルーアンが言う。
「そうですね。」と出雲。
「とりあえずあの子たちを何とかした方がいいわね。」と言って黒天筒を構えるルーアン。
その時、
「ルーアンさん、伏せて下さい。」と叫ぶ出雲。そして2人の頭上を巨大な岩が通過した。
「あいつらー、よくもやったわね。こうなったらやってやるわ。陽天心招来。」
とルーアンはキレてそこらへんの物に陽天心をかけた。
一方博物館を後にした太助達は、
「いろいろあって面白かったですね、太助様。」
「あ、ああ、そうだな。」と太助。
「あの、太助様。」とシャオ。
「ん、な、何、シャオ。」と聞く太助。
「この先に公園があるんですけど、行きませんか。」とシャオ。
「あ、ああ、いいけど。」と答える太助。
「あの、太助様。」
「ん、何。」
「どうかしたんですか。さっきから何か考え込んでいるようですけど。」
太助の顔を覗き込みながらシャオが聞く。
「いや、別に何でもないけど。」と太助。
「そうですか、ならいいですけど。」とシャオ。そして2人は公園へ歩いていった。
歩きながら太助は、
「どこかで見たことがあるような気がするんだけど、やっぱ気のせいなのかな。」
と小声でつぶやいた。
Travel Memories 第3話へ続く
<後書き>
最初に、テストなどで相当長い時間がかかってしまったことをお詫びします。
そんなわけで第2話が出来ましたが、感想とかがありましたら遠慮なしに僕の所へおっしゃって下さい。
第3話では那奈姉が知る真実(?)がいよいよ明らかにされます。
それじゃあ、また。
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