「出発してから大体3時間が経つので、近くのサービスエリアで休憩しますから、シャオさん。」
そしてそれから休憩をはさんで3時間ほど後、出雲の車は目的地のホテルに着いた。
部屋割りを決めた太助達はホテルに入ってチェックインを済ますと、全員が先ほどくじで決めた部屋へ行く。
そしてその日の夜、635号室では、
Travel Memories 第1話 旅行初日から大騒ぎ!? 完
と出雲が車を運転しながら助手席にいるシャオに言う。
「ありがとうございます。」とシャオ。
「今日は天気もいいですし、シャオさんの笑顔はいつもにも増してまぶしい。
なんて旅行にはいい日なのでしょう。」とつぶやきため息をつくと、
「そう、こいつらさえいなければ。」とつぶやく。
こいつらというのはもちろん太助達のことである。
なお、出雲はいつものようにシャオを2泊3日の旅行に誘ったのだが、
どこで聞きつけたのか、太助達にそのことを知られ、みんなで行くことになったのである。
「何ため息ついてんだよ、宮内。せっかくの旅行なんだからさ、もっと明るくやろうぜ。」
と那奈が後ろから出雲の頭をバシバシ叩きながら言う。
「私がため息をついているのはあなた達のせいなのですが。」小さい声で出雲が言う。
「ん、何か言ったか、宮内。」と那奈が聞く。
「いえ、何でもありませんよ。」と出雲。その時、
「魂の叫びがー。」とたかしの叫び声がする。
「ちょっと野村君、車の中で騒がないで下さいっていつも言っているでしょうが。」
と注意する出雲だが、
「俺のパッションが止まらなーい。」と更にたかしの叫び声がする。
「野村君、聞いているんですか。」と出雲。
「聞いているも何もこいつ寝言で叫んでいるぜ。」
とたかしのとなりに座っている翔子があきれた様子で言うと、
「それにしてもいくらくじ引きでも何でこんな席順になるんだよ。」とつぶやき前の方に視線を移す。
彼女の視線の先には間に太助を挟んで冷戦状態となっていするルーアンと花織の姿があった。
なお、当の太助は1人眠っていた。
これは別に現実逃避からではなく、単に昨日かなり遅くまで宿題をやっていたからである。
「ま、とりあえず作戦の種類でも考えているか。」と翔子はつぶやいた。その横では、
「多少寒くなってきたな。やはり厚着をしてきて正解だったな。」とつぶやくキリュウに、
「あのさ、キリュウちゃん。」と乎一郎が声をかける。
「何だ、遠藤殿。」
「いくら寒いからってさ、そのかっこうはいくらなんでも着すぎじゃないの。」と乎一郎。
ちなみにキリュウは今かなりの厚着をしているのは言うまでもない。
「それは私の勝手だと思うのだが、遠藤殿。」とキリュウ。
「ま、それはそうだけどね。」と乎一郎。
「ここが今回泊まるホテルか、出雲。」と太助が聞く。
「ええ、その通りですよ。じゃあ行きましょうか。」と出雲が先導するが、
「ちょっと待て。」とたかしが言う。
「どうしたんですか、野村先輩。」と花織が聞く。
「行く前に部屋割りと食事の時の席の割り振りをくじ引きで決める。部屋は5部屋でいいのか、出雲。」
といつの間にかくじを取り出しながらたかしか言う。
「ええ、まあそうですけど。」と出雲。
「そうか。じゃあみんな、さっさと引いてくれ。」とのたかしの言葉に全員がとりあえずくじを引く。
「主殿と一緒の部屋か、よろしく頼む。」
「こっちこそよろしくな、キリュウ。」
太助とキリュウは635号室になった。
「どうして七梨先輩とじゃなくて野村先輩と一緒の部屋にならなくちゃ行けないんですか。」
「どうしてシャオちゃんと一緒の部屋じゃないんだー。」
花織とたかしは636号室になった。
「シャオと一緒の部屋か。ま、よろしくな、シャオ。」
「はい。」
翔子とシャオは637号室になった。
「何だ、お前と一緒か。」
「あーあ、ルーアン先生と一緒がよかったな。でも那奈さんでももいいか。」
那奈と乎一郎は638号室になった。
「どうしてあんたと一緒にならなくちゃいけないのよ。」
「くじ引きできまったことですから仕方がありませんね。」
ルーアンと出雲は639号室になった。
「では行くぞ、主殿。万象大・・・」とそこらへんの物に万象大乱をかけようとするが、
「ちょっと待て、キリュウ。」と太助。
「どうしたのだ、主殿。」とキリュウ。
「こんなところで試練やったらここに泊まっている他の人達に迷惑がかかるだろう。」
と太助。その一言に、
「それもそうだな。それならば帰ったら強力なのをやらせてもらうぞ、主殿。」
と言ってキリュウは部屋を出ていった。
そして636号室では、
「いいですか、シャオ先輩達の後をついていって、シャオ先輩か七梨先輩が1人だけになったら、
あたしか野村先輩が現れてそのまま2人で行くんです。」
「オッケー、花織ちゃん。名付けて、『恋の2人っきり作戦』ってとこかな。」
「相変わらずネーミングセンス無いですね、先輩。」
と花織とたかしが2人で明日の計画を立てていた。
そして638号室では、
「1人でいてもつまらないからテレビでも見よう。」
と言いながら乎一郎はテレビのスイッチをつけ、1人でテレビを見ていた。
ちなみに那奈はどこかに出かけているのかここにはいない。
そして637号室では、
「離珠、明日はどこへ行こうか。できれば・・・」
(どうしたんでしか、シャオしゃま。)
「ううん。何でもない。もう寝ようか。」とシャオが離珠と2人で話をしていた。
そして639号室では、
「いいですか。太助君とシャオさんがバラバラになったらルーアンさんは太助君を陽天心を
使ってもいいですから足止めして下さい。その間に私がシャオさんを何とかしますから。」
「わかったわ。で、他の連中はその前に陽天心でなんとかしろってことね。」
「その通りですよ、ルーアンさん。」と出雲とルーアンが明日の作戦を立てていた。
そして6階のロビーでは、
「とりあえずあいつらの方は任せたぞ、キリュウ。」と言う翔子に、
「分かった。」とキリュウ。
「そういえば那奈姉、さっき奥の手があるとか言っていたけど、何だ。」と聞く翔子に、
「ああ、あれか。」と言うと那奈は2人にあることを話す。
「ま、そういうことだ。」と那奈。そして3人の打ち合わせはしばらくの間続いた。
打ち合わせも終わり、それぞれの部屋に帰る3人。自分の部屋に戻る途中那奈は、
「問題はあいつにどうやってあのことを知らせるかだな。ま、何とかなるか。」とつぶやいた。
Travel Memories 第2話へ続く
<後書き>
あまりっつーかほとんど太助とシャオの話を書かない僕ですが、久しぶりにこの2人の話を書いてみました。
実はこの話にはもう1つ書きたいことがあるのですが、それは第3話で明かしたいと思います。
(一応4話構成を予定している。)
伏線を張るために多少長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
もし感想とかがあれば遠慮なしに僕の所におっしゃって下さい。
それじゃあ、また。
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