幸せをあなたに・・・・ 特別編


その1『熱き友情のために』

「遅いですね、野村先輩。」と花織がつぶやく。彼女は30分ほど前にたかしから、
「ちょっと話したい事とがある。」と電話で呼び出されたのだ。そんな彼女に、
「あれ花織ちゃん。」と乎一郎の声がする。
「遠藤先輩。どうしてここに。」
「ちょっとたかし君に呼び出されて。」と乎一郎が答える。
「遠藤先輩もですか。」と驚いた様子で言う花織。
「お、2人共来てたか。」とたかしの声。
「先輩遅いですよ。」と花織。
「それでたかし君。話したい事って。」と乎一郎が聞く。
「ああそうだ。2人共俺の熱き計画に協力してくれないか。」とたかし。
「計画って、またダサダサでネーミングセンス無くておバカさんな計画ですか。」ときついことをサラっと言うう花織。
そんな彼女を、
「まあまあ、花織ちゃん。」と乎一郎がなだめると、
「それでたかし君、その熱き魂の計画とやらを教えて欲しいんだけど。」とたかしに聞く。
「知っていると思うけど太助の誕生日が来週にあるんだよ。
そこでだ、あいつのために親友の俺達がパーティーでも開いてやろうって事なんだ。」と2人に説明するたかし。
「いいですね。賛成です。野村先輩もたまにはまともな計画をたてるんですね。」
「それならいいよ。」と同意する2人。更に後ろから、
「へー、面白そうじゃん。」と別の人物の声がする。
「や、山野辺。いつの間に。」とたかし。
「このあたりを歩いていたらお前達がなーんかおもしろそうな話をしていたからな。
立ち聞きさせてもらったよ。」と答える翔子。
「それにしても七梨の誕生日計画か。よし、面白そうだしあたしも協力するよ。ところで野村。」
「何だよ、山野辺。」とたかし。
「そのこと七梨の家の誰かに話したか。」
「いや、まだだ。第一、他の奴等に話したのも今日が初めてだし。」
「それなら那奈姉くらいには話しておいた方がいいんじゃないか。」と翔子。
「そうだな。よし、じゃあ行こう。」とたかし。
「ちょっと待って下さい。話に行くのはいいんですけど、先輩が家にいたらどうするんですか。」と花織が聞く。
「そのことなら大丈夫だ。太助はこの時間ならキリュウちゃんの試練を受けに公園に行っているはずだから。」と答えるたかし。
「何でそんなこと知ってるの、たかし君。」と乎一郎がもっともなことを聞く。
「そのことは深く考えるな、乎一郎。じゃあ太助の家に行くか。」とたかしが言う。
そして4人は七梨家に向かって歩きはじめた。

     その1『熱き友情のために』完



その2『新たなる招待客』

 太助の誕生日の前日、シャオと翔子、そして那奈はパーティーの飾りなどを買いに少し離れた町に来ていた。
そして今、3人は買い物を済ませて近くの喫茶店に入った。
「とりあえず買うべきものは買ったからな。とりあえずなんか飲もうぜ。」と那奈が言い、
「そうだな。」と翔子も同意する。そして3人は飲み物を注文する。
 そして約20分後 3人は喫茶店を出ようとする。が、その時、3人は2人の人間に出会った。
太田七希と有田実穂である。
「あれ、シャオちゃん。」
「あ、こんにちは、シャオちゃん。」
「七希さんと実穂さん。お久しぶりです。」と3人。そして翔子と那奈は、
「どういうことなんだよ、那奈姉。」
「そんなのあたしが知るわけないだろ。」
「何で七梨があそこにいるんだよ。」
「知らないよ。」などと小声で話していた。そんな2人に、
「あの、翔子さんに那奈さん。」とシャオ。
「な、何だよ、シャオ。」と2人そろって言う。そしてシャオは4人を紹介した。
 その後5人はその喫茶店で適当に飲みながら話をしていたが、
「そろそろ行こうか、実穂さん。」
「そうね。」と立ち上がる2人。
「今日は有り難うございました。」
「じゃあまた明日にな。」と言いながら喫茶店を出ていった。
2人共明日が太助の誕生日だと知って明日彼の家に行くことになったのだ。
ちなみに仕事の方はたまたま2人共休みだったらしい。
「それにしてもあの七希とか言う奴本当に七梨にそっくりだよな。」とつぶやく翔子に、
「そうですね。」と答えるシャオ。
「ちょっと待て、あたしはあの2人の分も払わなきゃいけないのか。」と那奈。
「そういうことになるんじゃないのか。」と翔子。
「ま、別にいいか。」とあっさり言う那奈。
結局その日彼女は8人分のお金を払うことになったのである。そして3人は喫茶店を出た。
「いよいよ明日だな。」と那奈がつぶやく。
「ああ、そうだな。」と翔子。
「ええ、そうですね。」とシャオ。
「じゃあ、そろそろ帰るか。」と言う那奈に、
「ああ。」
「ええ。」と答える2人。そして3人は七梨家に向かって歩き出した。

     その2『新たなる招待客』完


     幸せをあなたに・・・・ 特別編 完


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