『心の鎖』

「あ…見てください」

「ん?どうした?シャオ」



「綺麗な紅葉ですね…太助様」

「ああ…そうだな…」




「ねぇ…太助様?」

「どうかした?シャオ」

「いえ…なんでもないです」

「?」

「ただ太助様の声が聞きたかっただけです」

「………そっか」

「……」




「シャオ」

「はい、なんでしょう?太助様?」

「いや…シャオの声が聞きたかっただけ」

「もう!太助様ったらぁ」

「シャオこそ」

「ふふ…」




「あ…葉が落ちました…可哀相…」

「可哀相?」

「だって…落ち葉って…このまま風に吹かれて飛んでいってしまうでしょう」

「人に踏まれたりしながら…そしていつの間にか消えていく…」

「とっても可哀相だと思いません?」

「シャオは…優しいんだな…」

「太助様だって優しいですよ」

「そうか…」



「でもさ、紅葉って綺麗だろ」

「綺麗なものほどはかなく散っていくものなんだよ」

「紅葉も…みんなに綺麗だっていわれて…だからさ…」

「落葉として地面に落ちてもくいはないと思うんだ」

「そして…その落葉を糧としてまた新たな命が育まれる」

「なぁシャオ。そういう風に考えたら可哀相じゃないと思わないか」


「そうかも…しれませんね…」

「でも…私は…永遠に散ることはできない……」


「シャオ?」




「ねぇ…太助様…?私は本当にずっとここにいてもいいんでしょうか?」

「何いってんだよ!当たり前だろ?」


「でも…私…太助様と一緒にいると…とても胸が痛みます」

「あなたは…いつか…死んでしまうけど…私は…そのときも…」

「そう考えただけで…私は…」




「シャオ…泣いてるのか?」


「私は…あなたの心を守れているでしょうか…?」

「もしかして…迷惑をか…」
「シャオ!!!」

そのとき…太助は反射的にシャオを抱きしめていた…

「もういうな…シャオ。ごめん…俺が…」


「なんで太助様が謝るんです?私が…もっとしっかり…しなければならないのに……」

「違う…違うよ…シャオ…俺は…シャオがいてくれるだけで…本当に…」

「本当に…淋しくもないし…シャオさえいてくれれば…いいんだ…」

「この気持ちに…嘘はないから…泣かないでくれよ…シャオ?」

「いつか…必ずさ!シャオを…守護月天の宿命から…解放してみせるから…」

「待ってて…くれないかな…シャオ…」



「太助様……」

「太助様ぁぁ…」


「だから…泣くなって…」

「違うんです…なんだか…とっても…太助様がそういってくれて…嬉しいんです……」

「俺も…同じ気持ちだよ…シャオ……」




その帰り道…

シャオと太助は手をつないで歩いていた

自然と恥ずかしさなんて込み上げてこなかった…何故ってそれは…

二人の心がつながっているとわかったから……………

きっとそれは…人の心と心を結ぶ…心の鎖……




<終わり>


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