『星の綺麗な夜に…』

シャオは月を見ていた…綺麗な満月の夜だった…

なんだかわからない…最近…
出雲さんがいおうとしていたあの言葉…
聞いちゃいけない気がしたのはなぜなんだろう…

それからというもの…太助様は元気がなくなった…
紀柳さんの試練も満足にやっていないみたいだし…
何か悩み事でもあるのかな…?

それは…もしかして…私のせい…なの?
太助様が元気がない原因は…私?

…いや、一番元気がないのは私かもしれない…
太助様のことを想うとき…出雲さんのことを思うとき…
出雲さんも…太助様も…優しくしてくれるけど…
なんだか…違うような気がする…

ねぇ…離珠。ここは不思議なところね。
太助様にも出会えたし…翔子さんにも出会えたし…出雲さんにも…
ルーアンさんとも仲良くなれたし…キリュウさんにも…
たかしさんも…乎一郎さんも…花織さんも…那奈さんも…さゆりさんも…
みんなのことを思うときと…あの人のことを想うときと…
何が違うんだろう…とても胸が苦しい…

答えて…ねぇ…太助様…


「シャオ…?どうした?眠れないのか?」
「太助様…」
一番会いたかったはずのあの人はとても優しかった…
でも…怖い…本当に私は…ずっとここにいて…いいのかな…?

「隣…いいか?」
「……」
話したいはずなのに…あなたの声が聞けて嬉しいはずなのに…
言葉が出てこないのはどうして…?

「シャオ…怒ってるのか?」
怒ってる?なんでそう思うの?私は怒ってなんか…
怒っていることとは違うはずだけど…私にはまだわからない感情…

いつか…わかるときが来れば…そのときは…

「太助様…」
「?」

私は…ここに来て色んなことがありました…

つらいことも…悲しいことも…苦しいことも…

でもね…太助様…私はここに来ることができて…

みなさんに出会うことができて…そして…あなたと出会えて…

私は…本当に…幸せです…



〜Fin〜


戻る