『鈴問水天・亞凛参る!』


第20話「決戦!!海の中の戦い(前半)」

「ううー、どこなのよおー?ここは・・・・。」
海の中を歩き回る太助達・・・だがさんざん歩いたみたいでへとへとである。
「ルーアンさん、ここらへんで精霊がっ・・・。」
楊明が何かいおうとしたとき太助の靴にぴょこんっと一人の小さな女の子がいた。
それは・・・。
「こんにちは♪あなたが太助くんね、う〜あたし好みだわあ。ねえねえ、おいくつ?」
「えっ・・・え!?」
太助がおろおろしている間にずんずんっと二人の女性がその女の子を見下ろした。
「ちょっとおなんなのよあんた!!あたしのたー様になんてことをすんのよお!!」
「そうですよ!!だいだいなんなんですかっ。急に現れて!!」
もちろん皆もその女の子を見ている。そんな雰囲気にもその女の子は得意げに・・。
「何よ、そこの年増なおばさんは、それにいい年なのにそんな派手な格好してね〜
(ふぉうりんさんに怒られるっ)それになんなの?こんなちっちゃい小娘は?
明らかにちゃらちゃらしてるでしょ。
そんな女よりあたしの方がずぅ〜っとかわいいでしょ、ねーーーーっ太助くん♪」
ルーアンと花織は今にも女の子を踏みつぶそうとしている。
「ちょっとまてよ。君、一体なんなんだ?急に現れて・・・。」
「・・・ふんっ。仕方ないわね、あたしは笥用復天凌胤(しようふくてんりょういん)。
あたしの主千破羽様にあんたたちの案内をされることになったのよ。
・・・・リプー、なんであたし達を裏切ったわけ?」
「・・相変わらず口だけは達者・・・。裏切ったわけではない。
私は花織君様の戦いの掟にしたがっただけ。・・・悪いか?」
きっとにらめつけるリプー。
「悪いにきまつてるでしょ!?あんたみたいな力になるやつを失ったら・・・
でもまあすぎたことは気にしないか。じゃあついてきて。」
ぴょんっと太助の靴からおりてすたすたとあるきはじめる。
そして少し戸惑っていたものがいたがしばらくするとついていく。


すたすたすた・・・・。変わらずリョウインは無言で歩いている。
「あの・・行く前に質問してもよろしいでしょうか?」
シャオが言うとリョウインは後ろをふりむいて冷たく言い放つ。
「そんなのしてる暇ないでしょ。あんたの仲間助けなくていいわけ?」
シャオは黙り込む・・・そして・・・。
「ちょっと・・・さっきからなんなんですか?調子に乗ってるんじゃないですよ。」 
そして・・・リョウインの言葉に逆らったのは・・・楊明だ。(がんばれぇーっ)
その言葉にリョウインはにらめつける。
「亞凛さんはきっと大丈夫です。あの人はやるときはやりますから。
それに千破羽さんが亞凛を倒したって幻覚をしているんじゃないですか?
精霊さんにそれを使える人がいますからね。現に私はそうだし。」
「あんた知教空天バカ楊明だったわよねえ?(空理さんに怒られるっ)
いくら物知りだからってはむかうのは気に向かないわね。黙ってあたしについていきなさいよ。」
「だからって質問ぐらい聞いてくださいよ。何も止まって質問をしろ、とは言ってないでしょう?
歩きながらでも出来るんですから」
それでリョウインは溜息みたいなのをつき・・どうぞっと小さい声で言った。
「えっ・・・ありがとうございます、楊明さん。」
「いいえ、どういたしまして、ですよ。」
微笑むあう二人。
「ほらっさっさと言いなさいよ!!」
「あ・・すいません。えっと千破羽さんって多く精霊さんがいるんですか?」
「まあっ・・・でも太助君ほどじゃないわ♪」
リョウインは太助にむかってウインクをする。太助はびくっとして那奈の後ろに隠れた。
「あらあら恥ずかしがり屋さんねえ。そうね、千破羽様は持ってない力の精霊だけ、雇うのよ。
それとね、全部精霊の力が使えるだけじゃないわ。
例えば守護月天だったら北斗七星の力と離珠の力だけはもってないのよ。
他にもその精霊の切り札はもってないわけ。」
そしてシャオは分かったような分からないような顔をして太助に尋ねてみたりしてた。
「次は誰かしらー?できればさっさとすませてほしいけどね。」
「はい。」
翔子だった。リョウインは自分の持っていた針を翔子にむけてどうぞ、といった。
「あんたってさあ、どんな能力もつの?」
いきなり“あんた”と言われてむかっと来たリョウインだかふんっと鼻をならす。
「見せてやるわよ。」
ついっと針を翔子のところに指さす。
「このものを・・・復し、元せよ」
そのままの言葉に翔子は呆れた顔をしたがとたんに翔子の体がはじけた。
皆は唖然としている。そして何が起こったのかが分かるととたんにリョウインに怒鳴りつける。
そして泣く者もいた。
だかリョウインはとまどいもなく、翔子の方をじいっと観た。(精霊も)
それを気にしてかみなも翔子の方を見つめた。・・すると、翔子が元の姿でもどっていたのだ。
「これがあたしの能力♪あたしは死をつかざどるっとも言うのよ。
だからあたしにあまりはむかうんじゃな・・。」
えらそーにつけだリョウインに翔子がひょいっとつまむ。
「ちょ、ちょっとお、放しなさいよ!!また復元するわよお!!」
「ふうん。やってみろよ。どうせあんたの能力は“亡いものを生き返らす”んだろ?
だから殺すことは出来ないんだろ。それにこの中にはそれを出来る精霊だっているんだぜ。」
そしてリョウインはふるふると震え、思いっきり翔子をにらめつけた。
「そうね普通の人はそーおもうでしょーよ。
でも・・・・糸天針の力を使えばないものを出すことが出来るの・・・!!
いでよ、人食い龍!!」
針から龍がででくる。それにリョウインはぴょこんと乗る。
「この小娘を食らえ!!」
「タイム・ストップ!!」(変えた)
リョウインの叫びと共にカサイも叫ぶ。
「あぶないことをする奴だな・・・この龍は闇の中に入れるか。さてと・・・タイム・ムーブ!!」
そして時が動く。リョウインははっとしたがその時には地面にたたき落とされていた。
「きゃあ!!なっ・・・なんてことをするのよー!!」
そしてだんだん皆の顔が和らげる。


亞凛はそのころ・・・・・・・・・・。
「このお、さっさと別の空間に・・・う゛っ!!」
石が落ちてきて気絶寸前。だかいつもの打たれ強さでなんとかもちこむ。
「じゃあ・・亞凛の空間使ってやるー!!えと、何にしようかな。
そうだ。『迷子の子猫の空間』」
意味深な感じだか、亞凛はご機嫌なのでいい空間なのだろう。
すると千破羽が犬の格好になる。本人は“?”っとい感じだった。
すると千破羽の目の前には猫がいた。泣いてやる。
「うえええええん!!おまわりさああああああああああああん!!!!!」
すごい鳴き声でまわりの貝が砕け散る。
「・・万象大乱。」
猫を小さくする。そして踏んづけた。
「こんなちょこざいな空間を出して・・・なんのつもりだ?来々雷!!」
ちゅどんっと亞凛の所に雷が落ちる。だか亞凛は慌ててよける。
「とっさに出た空間だったんだよ。」
「我を馬鹿にしてるのか・・・?ケアの空間!」
亞のまわりが誰もいなくなる。
「ケアの空間・・・?そんなのあったんだー・・・。」
そして現れたのは太助。にややっと笑っている。
「主ぃ・・・?どうしてこんな所に・・・?」
太助はにっと笑い、亞凛にむかって刃物を振り回した。
「えっ」
亞凛は必死によけたがそれが太助なのでやはり抵抗はできなかった。
「ちょっと・・・主ぃ!!」
すると今度はシャオリンが現れた。
「あっシャオ姉!・・・あの」
「亞凛さん、酷いです!太助様を殺し、みなさんまで殺すなんて・・・。
私許せないです!!来々北斗七星!!」
「なっ!!」
きっとにらめつかれ、いきなり星神を呼び出す。
それにはよけることもできず傷だらけになる・・・・。
「しゃ、しゃおね・・・・。」
またシャオリンが消え、今度はルーアンが呆れたような感じで現れた。
「まったくあんた・・・。それでも精霊なの?主様を殺すなんて・・・。
絶対許せないわ!!たー様の敵は絶対あたしがとっちゃる!!陽天心召来!!」
亞凛が横たわってる地面に陽天心をかけ、ゆらす。
「うっ!!痛いよっ・・!!」
さっきの傷に触れる。
そして地面が崩れる・・。
「・・・・。あっ、あぶなかったーーーー!!」
ぎりぎりの所ではいつくばる亞凛。
するとふっと人物が変わってで出来たのはキリュウ。
「・・・・・。」
声を出したら落ちそうなので黙っている。
「・・・何とか言ったらどうだ?いくら私でも許さんぞ・・・。
自分が鈴問水天の宿命から解放されたいからって・・・!!!」
亞凛は驚きをかくせなくも黙っている。
「ふ・・・・万象大乱!!」
亞凛が小さくなり落ちる。
「う・・・わあ!!」
「さらば、亞凛殿。」
そしてキリュウも消えていた。
「これがケアの空間・・・!?」
すると楊明が下に居た。
「3精霊さんもよくやったくれたみたいですねえ。
後は私と・・・後寡碎さんとです。さて・・・来たれ雷!!」
どっかーん
「いて・・・。ちょっと・・・ちょっと教えて。どうしてそんなにみんな怒ってるの?
主ぃを殺したって?殺す分けないよ!!」
「私達は見たんです・・・。あなたが主様を殺したのを・・・。
怪我ぐらいならまだいいです。でも・・・・。来たれ真空!!」
「げほっ!!・・・・ぐう・・・。」
そして上を見ると寡碎がいた。
「かっ・・・かさ・・。」
「おお、亞凛。お前それでも精霊なのか?自分の主人を殺すなんて。
主人も怒ってたぞ。ふ・・・けりは僕がつけてやる。」
亞凛はしばらく黙っていたが立った。
「お前にだけは言われたくないねっ。だいだいねー、誰が主を殺すもんか!!
みんな怒ってるけどそんな疑いして怒るのはこっちの方だよ!!いいかげんにしろおーっ。」
するとしゅんっと消えこんどは千破羽が現れた。
「どうだ、ケアの空間は・・・?」
「すっごく最悪だったよ!!」

21話へつづく




第21話「海の戦い・知らないから言えるんだ。」

「ケアの空間とか変な空間だして、許されるとでもおもってるの?」
千破羽をにらめつけて、怖い顔をしている亞凛。だか千破羽はただにやにやと笑っている。
「だいだい妖しいとおもったんだよねえ。ありんが主を殺すわけないってのに、
みんな誤解してさっ。もー腹たつーっ。」
「殺してたかも知れないぞ?あの主が・・皮肉なことを言ったら。」
「皮肉ってどういうことさ。いっつもお前はしってるような口調ではなすね。
そういうのものすごく腹だたしいんだから。」
「しってるような口調?ふん、お前の過去など1から10まで知り尽くしている。」
妖しい笑みをしながら亞凛を見下ろす千破羽。
「知ってる人がそんなこと言う!?
守護月天のシャオ姉の宿命をしった主はシャオ姉のこと救いたい、と思ったんだよ。
精霊の主であるお前は清らかな心の持ち主なんでしょ?
だったら少しぐらい同情するとか、思えないの?
私だって好きで別れたわけじゃないんだよ!!お前はしらないから言えるんだ!!」
泣きそうになって亞凛は佇む。
「・・・お前の主は全員・・死んだんだろう?それはなんでだと思う?
お前の力が弱かったからだ。主を守れもしない精霊は必要ない・・。
だからお前は時を戻し、その主とあわないようにしたんだろう・・。だけど人間はやがて死ぬ。
精霊と違って愚かなものだ。だけどお前は・・精霊であるが弱い人間だ。心は人間だ。」
その言葉をきき、ぐっと立ち上がった。
そういってずんずんと進んでいき・・

      ぱん

       千破羽の頬をたたいた。
「確かに人間は弱い。でも・・温かい。皮肉なのはどっちなんだよ、千破羽。
主は死んだよ。お前の手で。時戻したけど結局駄目だった。
なんかそれ、逃げるみたいだったから。だからこれは・・・・みんなの分!!」
たたいた手をくやしそうに握り、亞凛はここを出ようと走り去っていった。


「・・それより亞凛さん、大丈夫なんでしょうか・・。
ルーアンさんのコンパクトがもし、本当・・だったら・・・。」
「もう、やめやめ!!あのしぶといお嬢ちゃんが死ぬ分けないでしょ!!」
ルーアンがちょっとぶっきらぼうだが励ます。
「さあねえ、千破羽様は強いし、ふつうの精霊がかなうかどうか分からないわよぉ?」
「・・その千破羽とかいう奴は・・亞凛と知り合いなんだろ。」
カサイがぼそっという。
「そうなの!?」
「あんたら、知らなかったの?」
呆れたようにいうリョウイン。
「お前・・・」
つかつかとカサイの目の前に立つリブー。
「誰だ。」
「それに千破羽は亞凛に惚れてるからな。」
↑無視↑
「えっ、まじで??」
「太助様、惚れてるってなんですか?」
「シャオ、それは七梨がシャオに対する気持ちなんだ。今度じっくり教えてやるよっ。」
翔子が言うとシャオが嬉しそうにいう。それを太助がつつく。
「・・それまではくやしいけどあたしも知らなかったわ。
千破羽様があんな小娘を好きだなんて・・・。」
「あなたも十分小娘ですけどね。」
「なんですって楊明ぃぃ!!」
そうすると亞凛が走ってきた。
「亞凛さん!!」
「噂をすると影だな。」
ハァハァと息を切らす。
「大丈夫ですか?」
「う、うん。ありがと・・。あれっ?その二人は・・。」
「戦助光天李撲で花織さんの精霊さん。
こちら笥用復天凌胤さんで・・えっと千破羽さんの精霊・・さん。」
「千破羽の!?じゃあ・・。」
「あの・・千破羽さんの所に案内してくれるようです。だから敵ってわけじゃないです。」
「・・わかった。でも、ありんが知ってるから・・千破羽、自分でたたかないから腹立つ!
それよりみんな、早く帰らないと、傷だらけだよ!!」
「ここまで来て帰りたくないですよぉっ。」
「でも、千破羽はとにかく強い。私たちが全力で戦わないと!」
「今はぐったり身体をやすめるってことか。でもこのプールの呪いを・・・。」
「゛あっ!そうだあ〜。それ忘れてた〜。」
「その力はあたしが呼び足したのよ。戻してやってもいいわ。・・・でも」
リョウインが太助の肩にのっかって頬をすりすりした。
「太助君があたしの虜になってくれたらの話しだけどねぇ♪」
そうするとほとんどの女性が“なっ・・・”と顔になった。
「太助様・・・。」
「しゃ・・・しゃお・・。」
「・・・なーんて嘘よ。そんなあまりにも嫌そうな顔されるとこっちもごめんだしね。
ただでやってあげるわ。でもっ、太助君、いつか虜にしてあげるんだからね!!」
そういい、針を取り出し・・・
「しずめ、手大橋!!」
「・・・ありがとうございます、リョウインさん。」
「別に。あたしはあんた達のためにやったわけじゃないしね!!」
そう良いながらもリョウインはほめられると嬉しいので心では喜んでいた。
「さてとっ、そろそろ帰ろうぜ!!明日、また力をつけていてまた来ればいいしな。」
その言葉にこくりと頷く。

皆はそれぞれの飛び道具で帰っていく。今日はみんなで太助の家に泊まるのである
「はあ・・・」
「どうしましたか、亞凛さん。」
「千破羽の奴が、もしかしたら家で休んでるとき攻撃するかもっ・・。」
「・・・大丈夫ですわ。その時は私がお守りしますわ。」
シャオの笑顔に亞凛も嬉しくなり、にこりと笑う。
「ありがとう・・・。」

太助家
「さてと、みなさんに力をつけてもらうためにさっそくお料理をつくりますね。」
「ありがとう、シャオ。」
“いえいえ”というとキッチンにいった。
「さて、楊明殿。晩御飯まで部屋で休もうか。」
「いいですね。千破羽がどんな敵なのかも調べなければ。」
そういって部屋にいく。皆も身体を休める。
「亞凛ちゃん。怪我してるんでしょ?見せてごらん。」
まろんがにこやかにいう。
「うん・・・。」
足と腕に怪我した所をみせる。
「ねえ、まろんねぇ。千破羽って凄く嫌なのにどうして精霊呼びだせたのかなっ」
「そうだねえ。心本当は清かったりするんじゃないの?分からないけど。
私操れたでしょ。そういうとこ見ると全然清くないだけど本当は優しいとか。」
「そうかなあ?でも私はあいつ嫌い。」
「ま、嫌いになるのも無理ないけどね。でも私は嫌いではない。」
「なんで??」
「なんでかなあ。」
にやにやと笑うまろん。
「千破羽ってね、人の嫌なことをずいずいといってくるんだよ。
もう・・腹がたってさ。殴っちゃったんだ。」
「え・・!!それはまずいでしょう?」
「別に!!あいつなんか怖くないよ?」
(そういう問題じゃなくてさ・・。)
一瞬苦笑いをしたまろんだが、急に真剣な顔になりタロットカードを出す・・。
「ちょっと占ってみるね。・・・どれどれ、えーと・・2オクタル・・。
カードに眠る精よ、この未来の行方を教えよ!!」
しゅう・・・・・。
「何?これ・・。」
「これは友の裏切りね・・。こっちは正義・・。どっちとも正反対の意味に見えるでしょう。
友の裏切りは信じ合えないことを意味するの。でも慎重に。・・・ってことよ。
正義は・・正直な心ってことなんだ。だから慎重に正直にやれば、
信じ合えないことでも越えられるでしょう★」
「なるほど〜、わかった。ありがとう。」
「いえいえ。それよりキリュウちゃんがいってたけどみんなで修業・・・えっと
試練をするみたいなのよ。楊明ちゃんが千破羽は強い敵だっていってたしね。
だからいきましょう。」
その言葉にこくりと頷くと二人は外で出ていった。


「えー・・。今回はみんなで試練をします。もちろん見学者はいません。
本当に皆さんでやります。・・・では、まずだれがやりますか?」
そうするとすっと手をあげた。那菜だ。
「それって一人づつやるのか?」
「ええ。その方が力がつくと思いますので。」
「じゃあ私がやりますわ。皆さんを守ってあげたいですし。いいですよね?」
そうシャオが言うと楊明は微笑んだ。
「やっぱりいうと思いました。ではこの中に入ってください。」
こくりと頷く。
そしてゆっくりと入っていく。
「真っ暗・・・。駄目駄目、こんなこじゃあ皆さんを守れませんわ。」
そういってまた歩き出す。
はっ
(これは、支天輪に居たときの頃の暗闇・・。)
ぴかっと光ったかと思うと太助の姿が現れ、そして一人の女性がいた。
「太助様と・・翔子・・さん?」
そう、翔子だった。しかも二人はもうりっぱな大人だった。
「シャオ・・。俺翔子とつきあうことになったんだ。ごめん・・・。
これからはもうシャオに頼ることはない。だからもう・・必要ないんだ。ごめん。」
その言葉にシャオは涙を一生懸命出さないようにして、太助にいった、
「・・・わかりましたわ。私・・支天輪にかえります。
太助様も翔子さんと幸せになっていてください。さよ・・」
そうすると思わず涙がでてしまった。
(私・・何で泣くの?私なんか必要ないのに・・。)
シャオが上を見ると大きな壁があった。
「壁・・。」
(この壁を越えたらまた太助様にあえるかな・・。なんて、会えるわけないけど・・
でも・・太助様にあいたい。無理かもしれないけど越えて見せます!!)
その状況を見ているようめいとキリュウは強くなったな、と思った。
「来々軒猿!!」
壁の上まで行くシャオ。
「てっぺんはないのかしら。じゃあ・・来々天鶏!!」
ごおおーっ!!
「きゃあっ!!」
大きな音がし、炎が跳ね返され、シャオの服がぼろぼろになってしまい、顔が黒くなってしまった。
「ぷはあっ、失敗・・。これは炎では跳ね返されるんでしょうね。
じゃあやっぱり壊しましょう!!来々北斗七星!!」
この壁に北斗七星を出すのをみて以外だったようめいとキリュウ。
だかそれだけ太助に会いたいんだなあ、と微笑んでいた。
ばきっぼきっ
「頑張って!!・・北斗七星も太助様に会いたいでしょ?・・私もあいたいから・・。
頑張るから・・。絶対越えてみせるからねっ!!」
シャオがそういったとき・・・。
どーーーん
「・・・壁が・・。」
壁が崩れ、見えたのは外の光だった。
そして・・そこでまっていたのは・・。
「太助様・・。」
「シャオ、お疲れっ!!」
ぼろぼろになった姿に、笑顔で太助はいう。
「太助様あ・・・。」
ぽろぽろと涙をこぼしながらシャオは太助にだきつく。
太助は頬を赤くしたが、嬉しそうにしていた。
だがその光景を憎しみながら思っていたやつもいたが・・。
「あっ、でも翔子さんと・・幸せになるから、私なんか必要ないでしょう?」
「え?」
「それは違いますよ。いったじゃないですか。これは試練です。って。
あなたはそれでも主様にあいたいとおもったんですよ。さすが守護月天さんですね。」
にこっと笑顔でいうようめい。
シャオも笑顔で笑った。


「さーてと、次はだれにします?」
「あっ、あたしが行きますーー!!」
「花織ちゃんね。無理しないでよ。」
笑顔で頷くが、実は太助に抱きつきたいからである。
もちろん越えてみたい気持ちもあるが・・。
「じゃあいってらっしゃい。」
「いってきます。」
そしてずんずん入っていく花織。
「わ〜まだ何もないのかなあ。・・ん?」
ぶつぶついってるいと一人の男性がいた。それはたかしであった。
「なんだあ、野村先輩かあ・・。なんですか?」
「聞いてくれよっ花織ちゃん!!俺シャオちゃんとデートすることになったんだぜぃ!!
だからその間にさ、太助とデートすれば?」
ぴきっ。
「太助とデートすれば?ってどうしてそう簡単にいうんですか!!
七梨先輩のこと、あなたちゃんと考えてるんですか?
七梨先輩はシャオ先輩のこと好きなんですからねっ。
だいだいどうしてあたしにそーいうこというの!?
余計なお世話なんですよお、もう!!」
ぷいっと後ろをむく花織。たかしは冷たく呟く。
「太助のこと考えてないとかいうけどよ、いちばん考えてないのはお前じゃん?
迷惑ぐらいに押し掛けて・・待ってたり、家に遅くまで居て、うるさいとかいったり・・・。
ルーアン先生もそうだけどちゃんと太助にきいきかせた言葉とかいってるだろ?
花織ちゃんはそーいうこと・・できてないだろ。迷惑なんじゃないの?」
(・・迷惑?七梨先輩にとって私が?
・・そういえば考えたことなかったけどあたしが二人の仲を引き裂いたりするのって迷惑よね・・。
それに、それであたしとつきあうことになっても、七梨先輩は絶対嬉しくないよね。
いやいやつきあっても悲しいだけだ・・・。)
花織はそう考えたが、ついかっとなってたかしに文句をいおうとした。
「なんかいうつもりか?・・・ったく、八つ当たりばっかだよな。」
「うるさいですよ!!だいだいあたしは七梨先輩のこと好きなんですよ?
それなのにシャオ先輩といちゃいちゃしてるのを見て嬉しいわけないじゃないでしょ!
迷惑して何か悪いんですか?もうっ本当に嫌な人ですねっ・・。」
ぽろっと涙がこぼれた・・。ますます花織はたかしをにらめつける・。
「そんなことあなたには関係ないし・・。私が何をしようと人の勝手なんですよ!!」
「結局・・なくってわけか。
いっとくがなあ、にらめつけたって事がどうなるかなんてわからないんだぞ!!
・・例えばだ。最愛の人の命を握られています。そのためにはあなたは死なないといけません。
そんな時お前は泣いたりにらめつけたりしてるのか??」
「そんな・・そんなこと・・私は最愛の人のためなら、死んでもかまいません!!
でも・・その前にそんなことする人を絶対倒しますーーっ!!」
そしてグーでたかしの顔をおもいっきり殴りつける花織。
ばたん・・たかしが倒れた
「あたし・・行きますね。最愛の人のためなら、迷惑でも・・・私は進みますから。」
そう呟いた後ふらっと明るくなりみんながでてきた。
「あ・・」
「おつかれさまっ。よく頑張ったね。」
にっこり笑ったようめいを見てほっと一息ついたあと、ふらっと倒れ・・。
「おっと、大丈夫かあ?花織ちゃん。」
たかしが抱き留めた。
「大きなお世話ですょぉ・・。」
くすってほとんどが笑う。
「それよりたかし、いつの間にお前・・。」
「ジュース買いに来たらなんか楽しそうなことやってるなあ、と思ってきたんだ。
でもどうしたんだあ?花織ちゃん。」
「まあ、そっとしといてあげましょう。」
“最愛の人・・私その人のためならっ、この命、あげます♪”


「次は私がいく。」
キリュウだ。ようめいはあまり何も言わずとおした。
「キリュウ・・大丈夫かしらね?」
ルーアンが呟いたのをキリュウはきくとくるっと振り返り、にこりと笑って入っていった。
そして・・そこにまっていたものは・・!!
つづく

あとがき
なんかシリアスになってしまいましたね〜。
この戦いが終わったらもっと明るくしたいです。




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