むかしむかしあるところにあゆデレラという女の子がおりました。
「あゆデレラ、自分の部屋のぐらい掃除しとけよ」
「うぐぅ〜」
あゆデレラは継母と二人の姉と一緒に暮らしておりました。
「あゆデレラさん、洗濯物たまってますよ。お手伝いしましょうか」
「うぐぅ」
あゆデレラは毎日毎日継母と二人の姉にこき使われておりました。
「お腹がすきませんか、あゆデレラさん。何が食べたいですか?」
「たいやきっ」
それでもあゆデレラは持ち前の明るさで毎日楽しく過ごしておりました。
ある時、お城から舞踏会の招待状が届きました。
「……王子様の結婚相手を決めるらしいぜ」
「あははーっ面白そうですねーっ」
「舞踏会ですか・・・素敵ですね」
というわけで、あゆデレラの姉たちも舞踏会に行くことになりました。
「もちろん祐一さんも行くんですよね?」
「はぁ!?」
「台本には“一緒に行く(女装で)”って書いてありますよ」
「俺は絶対いかねーぞ!!」
も・ち・ろ・ん、継母も一緒にです。
「なんだと―――――!?」
ところが、あゆデレラは……
「うぐぅ……部屋の掃除が終わんないよ……」
というわけで、舞踏会には出られないことになりました。
「うぐ〜っ」
継母達がお城へ出かけてしまうと、あゆデレラは掃除の続きを始めました。
が、たまたま濡れていた床で滑り、転んでしまいました。
「い、痛いよ〜」
あまりの痛さに思わず泣き出してしまいました。
「あぅーっな、泣くのはやめるのよっあゆデレラ」
突然の声にあゆデレラが振り向くと、そこには魔法使いの女の子が立っていました。
「あたしはまほうつかい・真琴。あ、あなたをお城の……」
「舞踏会だよ(小声)」
「そ、そう。ぶとうかいにいかせてあげるわ」
そういって魔法使い・真琴は持っていた鈴をひとふりしました。
するとどうでしょう。足の踏み場もないほどに散らかっていたあゆデレラの部屋が
すっかり綺麗に片づいてしまったのです。
「うぐぅ。すごいよ!!」
「へへん。あたしの力をなめないでちょうだい」
胸を張って真琴がもう一度鈴を振ると、今度はあゆデレラの汚れた服が綺麗なドレスに早変わり。
家の入口には立派な馬車が現れました。
「ありがとう!!魔法使いさん。これでお城の舞踏会に行けるよ」
あゆデレラは大喜びで馬車に乗り、お城へ出かけていきました。
「うーん。いいことしたわ!!……ってあぁ!!
魔法は十二時になったらとけるってこと言うの忘れてた――!!」
そして魔法使い・真琴は「あぅ―っ」という叫び声を残して消えました。
その頃の王子様・舞は……
「………アリクイさん。かわいい」
突如現れた巨大アリクイと一緒に踊っていたのでした。
「……なんだ、あれ」
「あははーっおおきいですねーっ」
「あれって……アリクイ?」
そしてあゆデレラは……
「うぐぅ〜!!ここはどこ〜!?」
お城には一度も行ったことがないあゆデレラは道に迷っていたのでした。
「うぐぅ〜……舞踏会おわっちゃうよー」
そういいながらも、どんどん馬車はお城から遠ざかっていきます。
と、街で一番大きな時計が鳴りました。
「十二時だよ〜 十二時だよ〜 歯を磨いて寝るよ〜」
時刻を声で教えてくれる、世にも珍しい『名雪時計』です。
するとどうでしょう。あゆデレラの乗っていた馬車は跡形もなく消え、
ドレスも元の汚れた服に戻ってしまいました。
「あ、あれっ!?どうなってるの??」
あゆデレラはパニックに陥りました。あたりを見回せば、見たこともない森の中。
今まで乗ってきた馬車は消えてしまい、歩いて帰るしかありません。
「ど、どうやって帰ったらいいの〜〜〜!!?うぐぅ〜〜〜〜〜〜っ」
その後の舞王子
「……アリクイさん」
「……」(←アリクイさん)
「……結婚してください」
「……」(頷いた)
めでたしめでたし。
〜あ・と・が・き〜
祐一「なぁ……何で俺が継母なんだ?」
あゆ「人が足りなかったんだって」
名雪「継母でも出番いっぱいあるから良いよ……私なんて台詞一言だけだよ……
それも人じゃないし……」
栞「それでも名雪さんだって分かるから良いじゃないですか。
私なんて倉田先輩と台詞の見分けが付かないんですから」
さゆり「あははーっそうみたいですねーっ」
美汐「真琴、よく台詞言えたね。偉い偉い」
真琴「あぅーっ何で台本漢字で書いてあんのよーっむずかしいー!!!」
舞「……全部作者の力不足」
アリクイさん「……」(頷いてる)