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パソコン実習室
スマホの電波と通信経路
 

T.スマホが使う電波

電話やメールは当たり前で、webページや動画の閲覧、音楽、支払い、道案内、個人認証までしてくれるスマホ。もはや社会生活の必需品となっているスマホですが、そのために欠かせないのが用途に応じた通信手段、電波の種類(規格)です。

T.1.使用している電波

空中には多種多様な規格の電波が飛び交っています。スマホはこれらの中から目的に応じた電波を拾い出し、多様なサービスを提供しています。
スマホが扱う電波とはどのような規格なのでしょう。
下の模式図は、目に見えない電波を、種類(規格)ごとに一覧にしたものです。


ワンセグによるテレビ視聴サービスは終了になるようです。
また、radiko、Simple Radio等のアプリは、放送電波ではなくインターネットを使った配信サービスです。


T.2.電波の規格と周波数

各規格の周波数帯と使用周波数は次のようになります。
名称周波数帯使用周波数伝送距離
FeliCa/NFC(*1)13.56MHz13.56MHzType-A, B, F : 10cm以下
ISO15693 : 70cm以下
GPS1.2GHz,
1.5GHz
L1:1575.42MHz, L2:1227.60MHz, L3:1381.05MHz,
L4:1379.913MHz, L5:1176.45MHz
Bluetooth2.4GHz2400MHz〜2483.5MHzClass 1 : 100m, Class 2 : 10m,
Class 3 : 1m
Wi-Fi2.4GHz2400MHz〜2500MHz最大 100m 程度
5GHz5150MHz〜5350MHz
5470MHz〜5725MHz
6GHz5925MHz〜7125MHz
WiMAX2.5GHz2595MHz〜2645MHz最大 10km
3.5GHz3.3GHz〜3.8GHz
5.8GHz5.25GHz〜5.85GHz
Mobile WiMAX2.5GHz2535MHz〜2605MHz最大 3km
(*1) FeliCaはNFC規格の一種で、NFC Type-F として定義されています。

【 参考 】 携帯キャリアとテレビ放送の周波数
名称周波数帯適用
携帯キャリア700MHzNTTドコモ、KDDI
800MHzNTTドコモ、KDDI
900MHzソフトバンク
1.5GHzNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク
1.7GHzNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天
2.0GHzNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク
2.5GHzKDDI、ソフトバンク
3.5GHz(次世代LTE用) NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク
3.7GHz(5G) NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天
4.5GHz(5G) NTTドコモ
28GHz(5G) NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天
TV470MHz〜710MHz地デジ
11.7GHz〜12.2GHzBS(*2)
12.25GHz~12.75GHzCS(*2)
(*2)
BS・CS衛星放送の12GHz帯は同軸ケーブルによる減衰が激しいため、パラボラ付属のコンバーターで
IF周波数(中間周波数:下記)に変換してから屋内に引き込んでいます。
BS-IF周波数 [2K : 1032〜1500MHz], [4K・8K : 2224〜2690MHz]
CS-IF周波数 [2K : 1572〜2160MHz], [4K・8K : 2748〜3224MHz]


U.スマホの通信経路

スマホは電話本来の通信機能の外に、メールやweb閲覧、LINEやFacebook等のSNS(*3)、YoutubeやSpotifyに代表される映像・音楽の配信サービス等々多種多様なインターネット上のサービス(webサービス)を利用できます。
スマホで電話を掛けた時、あるいはwebサービスを利用している時、その通信はどんな経路を通っているのでしょう。

(*3) SNS:Social Networking Service
インターネット上のコミュニティサイトのことで、登録したユーザー同士が文字や写真、動画を介して交流できる会員制サービスです。
LINE、Facebookの外に、X(旧Twitter)、Instagram、WhatsApp、mixi等があります。
下記のSMSと混同されやすいので注意が必要です。


U.1.電話・SMSの通信経路

電話番号を用いた、電話アプリによる通話やメッセージ・アプリによるSMS(Short Message Service)(*4)の通話路は、すべての区間において携帯電話会社の通信網で構成されます(下図)。この通話路は当事者のみが使用できる専用通話路(*5)として通話終了まで維持されます。

ユーザーAとBの携帯電話会社が異っていても、携帯電話会社相互の乗り入れ回線を経由するだけで、専用の状態は変わりません。



[A]

[携帯基地局]

[携帯電話会社]

[携帯基地局]

[B]
《 電話番号による電話・SMSの通信経路 》


(*4) SMS:Short Message Service
SMSは、ショートメール、Cメール、ショートメッセージ等と呼ばれています。
インターネットを通らないSMSは、改ざんやなりすまし等の被害を受けにくいという特質から、本人確認や2段階認証に多く使われています。
(*5) 専用通話路
物理的な意味での専用通話路ではありません。
通信は波長や時間を細分化したチャンネルに信号を載せて行われます。チャンネルは多数ユーザーとの共用になりますが、通話開始時に割り当てられたチャンネルは通話終了まで専用状態が維持されます。


U.2.webアクセスの通信経路

現在地や明日の天気を確認、LINEやメールをチェック、ニュースを覗いて気になる単語を調べる ・・。 スマホは様々な要求に素早く応えてくれますが、それらの情報はインターネットの向こう側にあるそれぞれのサーバーから得ています。
スマホとサーバーはインターネットを介して要求と応答を繰り返します。その時スマホがインターネットに接続(webアクセス)する方法には、身近にあるWi-Fi(アクセスポイント)を経由する方法と、携帯電話会社のモバイルデータ通信を使う方法の2通りがあります。

U.2.1.Wi-Fi 接続時の経路

スマホが個人宅や街中のアクセスポイント(無線ルーター、Wi-Fiサービス)に接続されると、スマホのホーム画面に扇形のマーク(アイコン)が表示されます。
webアクセスの要求があると、スマホはWi-Fiの利用が可能であれば、そちらを優先して選択し、Wi-Fiを経由してサーバーへの接続を行います(下図)。



[Wi-Fi]

[ISP]

[サーバー]
《 Wi-Fi 接続時のwebアクセス 》


Wi-Fi個人宅や事業所内に設置される無線(Wi-Fi)ルーター、あるいは店舗や街中の無料Wi-Fiを示しています。
アクセスポイントとも呼ばれます。
ISPInternet Service Provider
インターネットに接続するサービスを提供している事業者。一般にプロバイダーと呼ばれています。
サーバーホームページやメール、SNS、配信等のサービスを提供するネットワーク機器をサーバーと言います。
サーバーもISPを必要としますが、図では省略しています。


U.2.2.モバイルデータ通信の経路

携帯電話会社もインターネット接続事業者(ISP)と同じ機能を用意しています。携帯キャリアの電波と設備を使ってインターネット接続する通信をモバイルデータ通信といいます。
モバイルデータ通信を使うには携帯電話会社との契約が必要ですが、ここではモバイルデータ通信が使えるものとして説明します。

外出等でWi-Fiとの接続が切れると、スマホのホーム画面から扇形のWi-Fiマークが消えます。
Wi-Fi切断時にwebアクセスの要求があると、スマホはモバイルデータ通信を通信経路として選び、サーバーへの接続を行います(下図)。



[基地局]

[携帯会社]
(ISP兼務)

[サーバー]
《 モバイルデータ通信によるwebアクセス 》


場所を選ばずインターネットが使えるのは便利な機能ですが、注意も必要です。
モバイルデータ通信区間(スマホ〜携帯電話会社)はスマホのデータ通信量(*6)を消費します。契約の形態によっては追加料金が発生します。
(*6) データ通信量(使用量)
webアクセスの通信データはパケットに分割して伝送されます。データ通信量は、送受信したパケットのサイズを集計して算出します。
いわゆる○○ギガプラン、○○ギガタイプ などと呼ばれているものの、○○ギガ の部分を指します。

ギガ とは GB(ギガバイト)のことで、データのサイズを表す単位です。
1GB = 1,000MB(メガバイト) = 1,000,000KB(キロバイト) = 1,000,000,000バイト
1バイト = 8ビット (バイト、ビットはデジタルデータの単位です)


U.2.3.サーバー経由の通話

LINEの音声通話やビデオ通話は、ほぼリアルタイムの会話が可能で重宝します。
使用感は一般の電話と遜色がないため、通話相手と直接つながっているような錯覚を覚えますが、実際はLINEのサーバーが中継役となって通話データをやり取りしているのです。

下の図はユーザーAとユーザーBが通話している時の経路を表したものです。
それぞれが身近なアクセスポイント(Wi-Fi)に接続し、ISPとInternetを経由してLINEサーバーにログインしています。サーバーはユーザーの要求(操作)に基づいて両者の通話を仲介します。
このような通信形態はLINEの音声通話やビデオ通話ばかりでなく、LINEトークやZOOMなども同じと言えます。



[A]

[AのWi-Fi]

[AのISP]


[サーバー]


[B]

[BのWi-Fi]

[BのISP]
《 サーバー経由の通話 Wi-Fi 接続時 》


上図は通話中の双方がWi-Fi接続時のものですが、サーバー経由の通話はモバイルデータ通信であっても支障なく使えます。
例えばユーザーBがWi-Fi圏外であったような時は、次のようになります。



[A]

[AのWi-Fi]

[AのISP]


[サーバー]


[B]

[基地局]

[携帯会社]
《 サーバー経由の通話 Wi-Fi 接続とモバイルデータ通信の混在 》


このような場合、ユーザーBはスマホのデータ通信量を消費します。前項『モバイルデータ通信の経路』でも述べましたが、契約の形態によっては注意が必要です。


U.3.スマホの通信経路一覧

電話・SMSの通信経路、Wi-Fi経由のwebアクセス経路、モバイルデータ通信でのwebアクセス経路等を個別に見てきました。 これらを一覧にまとめると下図のようになります。



《 スマホの通信経路一覧 》


[ 経路の凡例 ]
電話番号による通話、SMSの通信経路

Wi-Fi 経由のwebアクセス

モバイルデータ通信経由のwebアクセス





[[ スマホの電波と通信経路 ]]