パソコン実習室
アドレスとポート
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 インターネット上のパソコンやサーバーの通信は、パケットをやり取りすることで実現しています。パケットは要求文や応答文といった通信文本体(データ)と、パケットを正確に届けるための制御情報で構成されます。
 パケットを目的地まで届けたり返信を受けるための制御情報がアドレスで、宛先アドレスや送信元アドレスとしてパケットに書き込まれます。
 パソコンやサーバーが使うアドレスには2つの種類があって、1つはIPアドレス、もう1つをMACアドレスといいます。

▽一般に送受信されるデータはサイズが大きいため、いくつものパケットに小分けにされます。
 バラバラに届けられたデータの欠落を検査したり、順番通り組み直すためにも制御情報は使われます。

T.IPアドレス

 多種多様なタイプのコンピュータや通信機器が繋がるインターネットで、それらの独自性を保証しつつ相互の通信を確保するには確実性のある共通のルールが必要です。 コンピュータ ネットワークの黎明期に誕生した TCP/IP という仕様(約束ごと)は、そのままインターネットの共通ルールとして採用されました。

TCPとIPは次のようなプロトコル(仕様)です。
IP (Internet Protocol) : 多様なネットワークをまたいでデータを配送するための仕様。
TCP (Transmission Control Protocol) : データの信頼性を保証する仕様。
それぞれが独立したプロトコルですが、TCP/IPの表記が示すのは2つのプロトコル(TCP,IP)だけでなく、インターネットの運用に必要な多くのプロトコル(UDP,HTTP,SMTP,FTP・・)を総称したものといえます。

 ネットワークに接続されているすべてのホスト※1の中から、宛先となるホストを識別するためには共通ルールに基づいたユニーク※2な識別番号が必要です。インターネットではすべてのホストにIPの仕様に基づいたIPアドレスを設定しなければなりません。ホスト間ではIPアドレスを宛先/送信元としてデータ※3のやり取りが行われます。

※1 ホストの定義は曖昧ですが、ここではパソコンやサーバーに加えてルーターやネットワーク対応機器
  (プリンタ・ドライブ等)も含めてホストと呼んでいます。
※2 他と重複しない唯一のもの。

※3 ホスト間でやり取りされるデータはTCP/IPの仕様で小分けにされています。これをパケット(小包)といいます。それぞれのパケットには宛先/送信元のIPアドレスや制御情報等のヘッダーが付け加えられていて、 インターネット上を運ばれるパケットはヘッダーの情報を参照されることで目的地に届けられます。


T.1.IPアドレスの表記

 IPアドレスは32ビット※4の整数値で、インターネットに接続するホストは必ずIPアドレスの割り当てを受ける必要があります。
◎ ホストをLANに接続している場合は、ネットワーク情報(IPアドレス等)は自動で設定されます。
◎ 実際のIPアドレスはホストごとではなく、ネットワーク インターフェースごとに割り当てます。

 IPアドレスはパソコンやネットワークの内部では2進数(ビット列)で存在しています。このままでは人間にとって扱いにくいので、32ビット(桁)の2進数を8ビットごとの4つのブロックに区切って10進数に直して表記します。区切りの記号にはドット(.)を使います。

 例えば park12.wakwak.com のIPアドレスは次のように表記します。下段は同じIPアドレスを2進数で表記したものです。
10進数表記219.103.130.73
2進数表記11011011.01100111.10000010.01001001
◎ 8ビットの2進数は10進数に直すと 0 〜 255 の数値になります。

このページへのアクセスは park12.wakwak.com の代わりにIPアドレスを使っても可能です。
http://219.103.130.73/~eslab/pcmemo/adrsport/index.html



パソコンのIPアドレスは次の方法で確認できます(windows10の場合)。
  1. [スタート] をクリック後、電源ボタンの上にある歯車模様の [設定] を選択。
  2. [ネットワークとインターネット]を選択。
  3. [状態] 列の下方にある [ネットワークのプロパティを表示] を選択。
  4. ネットワークへの接続形態に応じて次の[名前:]ブロックに注目します。
    • 有線(LANケーブル)の場合:[ローカルエリア接続] または [イーサネット]
    • ワイヤレスの場合:[ワイヤレスネットワーク]
    ブロックの中段あたりにある [IPv4 アドレス:] を参照します。
    アドレス末尾の /24 等の表記はサブネットマスクです。



※4 32ビットのIPアドレスはIPバージョン4の仕様によるものです。
 IPにもバージョンがあって、現在はバージョン4(IPv4)からバージョン6(IPv6)への移行期にあります。
どちらのバージョンでも基本的な概念に変化はありません。ここではIPv4を基に説明しています。

【 IPバージョン6 (IPv6) の表記 】
 IPv6のアドレスは128ビット(桁)で、IPv4の4倍の長さがあり、16ビットごとにコロン(:)で区切って16進数で表記します。下記はIPv6アドレスの表記例です。
2001:08cb:0000:e7fa:0000:0000:0000:d46c
IPv6の表記には省略法があって、上記アドレスは次のように短くすることができます。
2001:8cb:0:e7fa::d46c


 【 参考 】IPアドレスの解説がJPNICのホームページに掲載されています。


T.2.IPアドレスの管理

 IPアドレスはIANA(アイアナ)を頂点とする組織によって管理されています。この管理組織は階層構造になっていて、日本における管理組織の頂点はJPNIC(ジェイピーニック)と呼ばれています。
下記は管理組織構造の日本に関連する部分の抜粋です。
IANA(ICANN) Internet Assigned Numbers Authority
(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)

 IANAはIPアドレス等の割り振り(分配)や管理を行う組織として米大学の教授や技術者が中心となって1988年に設立されました。
 1998年になると国際的な非営利法人のICANNが設立されてIANAの業務は移管されましたが、その後もIANAという名称はIPアドレス等の管理部門の名称として存続しています。
APNIC
(RIR)
Asia Pacific Network Information Centre

地域インターネットレジストリ(RIR:Regional Internet Registry)のアジア太平洋地域を担当する組織
JPNIC
(NIR)
Japan Network Information Center
日本ネットワークインフォメーションセンター

国別インターネットレジストリ(NIR:National Internet Registry)の日本組織。
ISP
(LIR)
Internet Service Provider (Local Internet Registry)

 JPNIC(またはAPNIC)から割り振られた(分配された)IPアドレスを、エンドユーザーに割り当てる組織をLIRといいます。ISP(Internet Service Provider)がその役割を担っています。
ISPは一般にプロバイダーと呼ばれます。
EUEnd User

 ISPやJPNIC,APNICからIPアドレスの割り当てを受けてインターネットに接続しているサーバーや一般ユーザー。

 エンドユーザーがIPアドレスを使うには、管理組織(一般にはプロバイダー)から割り当てを受ける必要があります。
 全てのIPアドレスはIANAが管理しています。上位の組織は自身が管理しているIPアドレスの中から、ある程度まとまった量のIPアドレスを下位組織へ割り振ります。 割り振りを受けた組織は、そのIPアドレスをさらに小分けして下位組織へ割り振って行きます。最終的にプロバイダーがエンドユーザーに向けて必要数を割り当てます。

 管理組織から割り当てを受けたIPアドレスは貸与されたもので、特定の組織・個人の所有物にはなりません。またIPアドレスを勝手に指定・使用することもできません。
 こうして貸与されたIPアドレスの情報は、インターネットを構成するルーター※5の経路情報に反映されます。
※5 ここで言うルーターは家庭用のルーターではありません。

 インターネットはルーター同士を網目のように結んで構成しています。 送信者からインターネットへ送り出されたパケットは送信側のルーターから受信側のルーターへ向けて、隣接するルーター間での転送が繰り返(バケツリレー)されて受信者に届けられます。
 この時ルーターはパケットに書き込まれている受信者(宛先)のIPアドレスを調べ、経路情報を参照して最適な経路(転送先ルーター)を割り出しています。

 プロバイダーからエンドユーザーに割り当てられたIPアドレスは、一般家庭や小規模な事業所では家庭用ルーターに設定されてしまうため、エンドユーザーの目にはあまり触れることがありません。 家庭用ルーターにログインし[WAN側IPアドレス]等を参照することで確認できます。


 【 参考 】IPアドレス管理と経路情報の解説がJPNICのホームページに掲載されています。


T.3.グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

 上位の管理組織から割り当てられるIPアドレスは、インターネット上で一意(たった一つで重複なし)になっています。このようなIPアドレスをグローバルIPアドレスといいます。 一意であることは通信を行う際に相手を特定する上で必須条件ですが、IPアドレスの数は有限(約43億個)なので世界中の全端末に割り当てることは現実的ではありません。

 そこで企業や家庭といった組織・集団を、インターネットとは隔離された限定的(ローカル)なネットワーク(LAN : Local Area Network)として個別に管理する方法が採用されています。
 IANAはLAN内部で使用するIPアドレスをプライベートIPアドレスとして次の範囲を定義しています。
  • 10.0.0.0 〜 10.255.255.255
  • 172.16.0.0 〜 172.31.255.255
  • 192.168.0.0 〜 192.168.255.255
 プライベートIPアドレスは、他のネットワーク(インターネットや他のLAN)に露出しないことを条件に自由に使ってよいことになっています。

 この外にリンクローカル アドレスやループバック アドレス、マルチキャスト アドレス等がIANAによって予約・定義されています。
  • リンクローカル アドレス
    169.254.0.0 〜 169.254.255.255
    同一リンク(ルーターを超えない範囲)内でのみ使用可能。
    IPアドレスが設定できない状況の時、パソコン(windows)自身が設定します。
  • ループバック アドレス
    127.0.0.0 〜 127.255.255.255
    自分自身を示す仮想的なIPアドレス。(通常は 127.0.0.1 が使われます)
  • マルチキャスト アドレス
    224.0.0.0 〜 239.255.255.255
    特定のグループに所属するホストに同時送信します。


T.4.LANの内と外を中継する

 「複数のパソコンを同時にインターネット接続する」また「パソコンを直接インターネットに晒さない」目的で、多くの家庭や企業が家庭用ルーター※6を設置しています。 家庭用ルーターはLAN内のパソコンにプライベートIPアドレスを割り当てると共に、インターネットとLANを中継する役割を持っています。
 パケットに記載されているプライベートIPアドレスをLAN外部のグローバルIPアドレスに(あるいはその逆に)書き換えて、異なるネットワーク間の相互通信を可能にする機能を、NAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)といいます。

 プライベートIPアドレスを割り当てられたパソコンが、家庭用ルーターを介してインターネットアクセスした時の通信の流れは概ね次のようになります。
 下図は家庭用ルーターがLANとインターネット間の通信を仲介する様子を模式化したもので、この例では、グローバルIPアドレス 123.45.67.89 が割り当てられています。ユーザーA(IPアドレス 192.168.1.2)はホームページを閲覧しようとしています。

(1) ユーザーAがホームページの閲覧を開始すると、要求内容や制御情報と共に宛先IPアドレス(192.168.1.1)、要求元のIPアドレス(192.168.1.2)が書き込まれた要求パケットが家庭用ルーターに※7送られます。
(2) 家庭用ルーターはパケットに記載されている要求元のIPアドレス(192.168.1.2)を、プロバイダーから割り当てられたグローバルIPアドレス(123.45.67.89)に書き換えてインターネット側に送出します。書き換え情報はNAT管理テーブルに記録しておきます。
(3) 要求パケットを受信したホームページを管理するwebサーバーは、要求内容を処理した結果と宛先IPアドレス(要求元のIPアドレス123.45.67.89)を応答(返信)パケットに書き込んで、インターネットに送り出します。
(4) インターネット側から届いた応答(返信)パケットの宛先IPアドレス(123.45.67.89)は、家庭用ルーターがNAT管理テーブルを参照して要求元IPアドレス(192.168.1.2)に書き換えてからLAN側へ送り出し、要求元であるユーザー(192.168.1.2)に届きます。

※7 要求パケットの送付先は経路情報に基づいてOSが判断しますが、小規模なLANにおいては家庭用ルーター
  がデフォルト ゲートウェイとしてすべてのパケットの受け付け場所になっています。

◎ 家庭用ルーターのアドレス変換機能は実際には NAT の機能を拡張した NAPT を備えています。
  詳細は「V.3.ポート番号も変換 - NAPT」を参照して下さい。

※6 家庭用ルーター
 一般家庭で使われるルーターの名称はブロードバンド ルーター、無線ルーター、ホームルーター、アクセス ルーター等、様々あります。 ここではこれらを総称して便宜的に家庭用ルーターと呼んでいます。
 家庭用ルーターは光ケーブルやADSL、ケーブルテレビ等の回線でインターネット接続する時にユーザー宅に設置されるもので、 プロバイダーから割り当てられるグローバルIPアドレスは、このルーターのインターネット側に(通常は自動)設定されます。
 公開サーバーを設置するような規模になると、家庭用ルーターではなくプロキシ サーバーやファイアウォールを設置するのが一般的です。アドレス変換の役割はプロキシ サーバーが担います。





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