余談旅行記


<二日目-2002.8.8 午後 湯原温泉>

 こうして、島での事件(!?)を解決し、笠岡に戻ってきた私は、ひたすら静養を欲していたのである。
 …といった訳で、どこか温泉にでも行って、ゆっくりしたいものだと思っていると、出発前に『惨劇クロロホルム』管理人真珠さんから、湯原温泉でちょうどこの日、はんざき祭りというのがやっているという御案内をもらっていたことを思い出した。
 ならば、行ってみんべ。
 取り敢えず倉敷まで出て食事を取り(倉敷名物ぶっかけうどんというのがあったが、関西でのうどんといえば、関東のものとは違って醤油の色も薄く、ダシで食べるとよく聞くが、このぶっかけというのは冷たいうどんに関東風に近い醤油ダシ汁をかけて食べるのである。そういう意味では関東のイメージに近いと思ったのは私だけだろうか…)、進路を確認すると、総社まで戻って岡山自動車道から中国自動車道、米子自動車道を経て夕方前には山あいの湯原温泉へ辿り着くことができた。
 湯原温泉というところは、大山椒魚をシンボルにしている町で、町はずれには『はんざきセンター』という施設もあり、本物の大山椒魚を見ることができるのである。『手毬唄好き』を持って自認する者としては是非とも山椒魚は見ておかねばなるまい。
 例によって、観光案内所で泊まれる宿を確保して、街を散策する。
 街はお祭りの準備で賑わっている。夕方から山車が町中をネリ歩くらしいので、ひとまず街の奥にある湯原温泉名物の砂湯という露天風呂で一汗流す。この露天は関西方面の温泉ではかなり有名なところであるらしく確かに壮観である。
 通りに並んだ屋台を冷やかしながら街中に戻ってくると、すでに山車が出ていた。
 巨大な山椒魚を祀った2台の山車が狭い道路いっぱいにうねり、その後を山椒魚をデザインした浴衣を着た街の人たちがはんざき祭りの唄に合わせて踊りながら街を廻る。

 コレがなかなか壮観で良い。
 普通の盆踊りレベルのお祭りかな…くらいに考えていたらとんでもない話である。
 宿の人は「田舎のお祭りですから…」と言っておられたが、ここまでやってくれてれば、むしろ田舎のお祭りの方が楽しめるというものである。
 山車と踊りは街中を三周くらい廻った後、お祭りのメイン会場となっている川辺リの広場に降りて行く。ここでもまた山車を停め、その周りを踊って廻るのである。
  感動的ですらある。…こういうが雰囲気大好きなのである。
 普段の放浪温泉巡りであれば、宿の方には素泊まりでお願いしてあるので、地元の呑み屋さんで夕食でも取るところであるが、お祭りの屋台などが出ているのであれば、屋台での焼き鳥とか串焼き、焼そばなどをツマミにビールで充分楽しめる。
 メイン会場では舞台の上で、はんざき踊りコンテストとか、演歌歌手によるステージ(大空ゆかりのようなグラマーガールのショーではなく、関西系オッさん演歌歌手であるのがちょっと残念である)、そして観光客もドキドキする豪華景品の大抽選会なども催されている。
 この抽選会。なんと、おしくも一番違いで一等から外れてしまったというくやしいオマケまでがつくことになったのだが、この一等の景品が籐製の折り畳み椅子というものらしく、貰った人を見ていたらかなり巨大な箱を貰って四苦八苦していたので、もし私が当たったとしても、車にはとてもじゃないが積んで帰るのも大変だったかも…と思って、ちょっとホッとする。
 花火大会などもあり(花火の会場がメイン会場から離れていて、その時だけ観客のほとんどが大移動しなければ花火が見れないというところが愛嬌ではあるが…)、青少年たちのことも考慮された夜10時頃まで祭りは続いた。
 田舎に限らず、祭りといえば若者たちが集まってタムロしている光景はどこでも見られるのだが、ここの祭りでは、それほど見苦しい光景も見ることもなく、ちょっと安心。…場所によってはとんでもない連中の姿を見せられてウンザリするようなこともままあるからねぇ…。
 ともあれ、かくして湯原の夜は深け、そんなこんなで、祭りを堪能しつつ、いろいろと温泉以外の夜の湯原も楽しんだりしたのであった。やっぱり浴衣っていいよなぁ…。

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