JAngbandの紹介
AngbandはUNIX上で動く(現在は各種プラットホームに移植されていますが)Rogueなるゲームから発展したゲームです。この点はNetHackと共通ですが、Angbandは次の点で大きく異なります。
Angbandとは「鉄の牢獄」を意味する語であり、トールキンの著作である「指輪物語」他の舞台である中つ国に冥王モルゴスが作った大城塞のことです。ユニークモンスターやアーティファクトもトールキンの著作に登場したものばかりでありファンにはたまらないものとなっています。
なお、JAngbandはAngbandの日本語移植版のことです。
JAngbandの日本語移植者しとしんさんのホームページはこちら。
そのMacintoshへの移植者阿部慎一さんのホームページはこちら。
まず、キャラクターを作ります。まず性別を、次に種族、さらに職業を選びます。種族と職業によって能力値にボーナスまたはペナルティーがつきます(ボーナスやペナルティーを考慮する前の能力値は8-17の間に収まります)。例えば戦士なら腕力と器用さと耐久力にボーナスが、知力と賢さと魅力にペナルティーがつきます。はじめてやるときはレンジャーがおすすめです(戦士の方が強いのだが魔法がまったく使えない)。種族はまあ何でもいいですがドゥナダン(西方国の人間)が能力値が高くて比較的楽でしょう(ただし赤外線視力の能力がないのがきびしい)。ただし能力値が高い種族(特にドゥナダンとハイエルフ)はレベルアップに必要な経験値が多くなります。
次に選ぶのが最大化モードにするかどうかです。通常モードではすべての能力値の上限は18/100(実際には28に相当)に制限されています。しかし、最大化モードではこの制限と種族と職業による能力値のボーナス/ペナルティーの値が変わります。例えば、通常モードでは人間の戦士は腕力に+9のボーナスがあり上限が18/100(28に相当)ですが、最大化モードではボーナスが+5に減るかわりに上限が18/150(32に相当)にあがります(厳密には多少違うらしいが)。一方、ペナルティーの大きさは通常モード、最大化モードともおそらく同じですが、最大化モードではそれが上限値にも及びます(つまりペナルティーが-5なら上限も18/50(23に相当)になってしまう)。まとめると、
通常モード |
最大化モード |
|
ボーナス |
最大化モードより多い |
通常モードより低い |
ペナルティー |
最大化モードと同じ |
通常モードと同じ |
能力値の上限 |
18/100(28に相当) |
ボーナス・ペナルティーがnのとき 18/(100+10n)(28+nに相当) |
Angbandにおいては短所に足を引っ張られるよりも長所に救われることの方が多いので、最大化モードは通常モードより能力値が低い序盤はかなり不利になりますが、能力値を上昇させる手段が得られる中盤以降で有利になります。つまり序盤をうまく切り抜けるテクニックを身につけたら最大化モードにする方がクリアが近くなるでしょう。
次に選ぶのが保存モードにするかどうかです。保存モードにすると発見できずに「置き去りにしたアーティファクト」は再び現れる可能性があります(一度手にとってしまったものはだめ)。しかし、アーティファクトがその階に存在するときに現れる「この階にはなにか特別なものがある気がする」というメッセージが出なくなります。
最後がオートローラーを使うかどうかです。オートローラーを使うと能力値の下限を設定できます。ただし下限を高く設定しすぎるとキャラクターができるのに時間がかかります。例えば戦士なら腕力に高めの下限を設定しておくと有能なキャラクターが作れるでしょう。
はじめてプレイする場合にはオプションを設定します。ヘルプ(?キーを入力すると表示)に詳しい設定がのっています。=キーを入力するとゲームの設定になります。最低限セットしなくてはならないのがローグ風キー配列を使うかどうかです。テンキーがない機種で遊ぶ場合は必ずYesにします。こうするとhjklyubnのキーで移動ができます。あと店で値引き交渉をしないは最初はYesにしておいた方がよいでしょう。値引き交渉はAngbandの重要なファクターのひとつですが、品物の取引価格を知っておかないとまともな交渉ができないので、どの品物がどのくらいの値段で売れるのかを覚えてからやるのが賢明です。また値引き交渉をしない設定にしておくと売買の価格が10%不利になります。また、ちょっと派手なゲームにしたいという人は(軟弱者用)良いダンジョンを生成するをYesにしましょう(インチキと思う人も多いが)。これをYesにしておくと良いアイテムが生成する確率が上がりますが、一方で強敵が現れる確率が高くなります。すなわち良いアイテムでがんがん強くなる一方で強敵が次々に現れて派手なゲームになります。あと床に複数のアイテムをおけるようにするをYesにしておくと一箇所でたくさんの敵を倒しても敵の落としたアイテムが消えてしまうということがありません。(Angbandでは普通は床1ブロックには1アイテムしか置けません。もしすでに何かが置かれている場所にさらに何かを置こうとすると隣接している空きブロックに置かれます。近くに空きブロックがない場合このオプションがNoならばアイテムは消滅します。Yesならばアイテムが消えることはありません。)
次に装備を整えます。まずは、手持ちの予算で防具屋でそのキャラクターに適した防具を買いそろえます(なお、クロークだけは防具屋でなく雑貨屋で売られています)。キャラクターの腕力で装備できる防具の総重量が自ずと限定されます。またメイジ、盗賊、レンジャーはグローブを身につけると最大魔力が低下してしまいます(同じことがプリースト、パラディンが刃のある武器を装備した場合にも言えます・・・この場合は攻撃の命中率も下がるのでより深刻)。また非常に腕力と器用さの高い戦士またはレンジャーは軽い武器を装備した場合には一度に複数回攻撃ができることがあります。この場合は軽い武器に装備を変えるのが賢明です。
次に必要なのが雑貨屋に売っているシャベルです。これは迷宮の壁に埋まっている金貨などを掘り出すのに必要です。また、最初に持っている松明よりは真鍮のランタン(&油つぼ)の方が照明として優れていますので、これも早いうちに手に入れたいところです。これらを買うときの値引き交渉は最初相手の言い値の1/3くらいからスタートして相手が値段を下げた分だけ上げていくのが基本になります。そして「××で最後だ!」と店主に言わせられれば勝利!装備を整えたら迷宮に入ります。
またメイジについてはマジックミサイルの呪文をゲームスタートと同時に必ず覚えましょう。レベルの低いうちは敵から離れたところからマジックミサイルで攻撃するのが安心です。
なお、町にも敵が出現します。最初のうちは「戦傷兵士」「貧しげな傭兵」に近寄ってはいけません。確実に殺されてしまいます(しかし近寄らない限り、むかってくることはめったにない)。「汚いイタズラ小僧」「やぶにらみの盗賊」からも逃げた方がよいでしょう。攻撃されると金やアイテムを奪われてしまいます。
迷宮にはいろいろなアイテムが落ちています。ただし地下1階には重要なアイテムがあることは滅多にない(雰囲気が非常に良い場合を除く)ので、とりあえず全部拾っては店で売りつけて識別するのが一番良いでしょう。特に未識別の薬や巻物は最終提示価格がすぐに分かるのでこれを錬金術の店で最終提示価格で売りつけ続けるとよいです。すると店主はこちらが卓越した交渉人であると錯覚してすぐに最終提示価格を出してくるようになり鑑定の巻物や帰還の詔の巻物を安く買いこめるようになります。(ただし店主が替わってしまうと無効になってしまう・・・)
武器や防具は鑑定して売らないと買いたたかれてしまうのでやっかいですが、地下1階ではほとんどががらくたなので諦めたほうがいいでしょう。戦士やレンジャーはレベルが高くなると拾った武器や防具の質を知ることができるようになります。なので、それで上質とか高級品とか特別製とか出たものだけ鑑定するのが賢明でしょう。メイジは「鑑定」の呪文を覚えれば鑑定しほうだいですからそれまで待ちましょう(なおメイジは上質とか高級品とか特別製とか細かく質を知ることはできず、すべて上質となります)。なお、地下5階くらいからは上質な武器や防具が手にはいる頻度が高くなるので「鑑定の杖」などを購入して全部鑑定してみるのもいいかも。
また「ヒーローの薬」と「スピードの薬」は識別したら売らずに取っておきます。「ヒーローの薬」は攻撃力、防御力アップ、体力を10ポイント回復、恐怖からの回復と盛りだくさんの効果を持っており重宝します。「スピードの薬」は敵を攻撃したり、敵から逃げたりするときに重宝します。
そして金を手に入れたら、さらに強力な防具を買ったり、巻物で強化していくと良いでしょう。地下1階で未識別の薬や巻物が出なくなるころには、レベルが5以上にはなっていることでしょう(それまでに死んでしまったら運がなかったとして諦める)。そうしたらさらに地下へ降りていくことができます(地下2階にはかなりの確率でユニークモンスター「きば」「くいつき」が現れるのでこいつらに注意)。ひとつずつ階段を上って町まで戻ってくるのはつらいので、「帰還の詔の巻物」を忘れずに持っていきましょう(炎の罠などで破壊される危険も考えて2つ以上用意しておくべき)。
武器や防具の魔法による強化はできる時(=店に強化の巻物が売っているとき)にできる限り(=自分の財産で買えるだけ買う)行った方が賢明です。特に劣化攻撃をうけたときはきちんと回復させておきましょう。強化は+ボーナスが大きくなるほど失敗する確率が高くなり、+12以上にするのは極めて困難です。このことは+12以上のボーナスがある武器や防具(主に伝説のアイテム)が劣化された場合には回復する手段がないことを意味します。充分に注意しましょう。
また、能力値の薬による強化も同様です。能力値をあげる薬はブラックマーケットで異常な高値で売られていることがあります。これも手にはいるときに買ってしまいましょう。金を手に入れるのに比べると、これらの薬を手に入れるのは格段に困難だからです。(金を手に入れるには上質なアイテムをバンバン売り払えばいいのですから。)
新しい階に踏み込んだときには、階の雰囲気が感じ取れます。階の雰囲気はその階にあるアイテムや敵に応じて決まります。その階に出現する標準的なアイテム、敵よりも強いものが出現した場合に階の雰囲気が良くなります。なお、前の階にいた時間が短い場合は「この階の雰囲気を感じとれなかった... 」となってしまいますので注意が必要です。
良 い ↑
↓ 悪 い |
この階には何か特別なものがあるような気がする。 |
この階はこの上なく素晴らしい感じがする。 |
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素晴らしい感じがする... |
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とても良い感じがする... |
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良い感じがする... |
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ちょっと幸運な感じがする... |
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多少は運が向いてきたか... |
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見た感じ悪くはない... |
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全然駄目ということはないが... |
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なんて退屈なところだ... |
「この階には何か特別なものがあるような気がする。」のメッセージが出たらその階にはアーティファクト(伝説のアイテム)が落ちている可能性があります。しかしこのメッセージはアーティファクト以外の特別なもの、例えばオークの巣のようにモンスターに満ちた部屋などが存在する階でも出るので注意が必要です。(なお、保存モードではこのメッセージは出ません。)
しかし、階の雰囲気が悪いからといってその階を探索する価値がまったくないわけではありません。敵を倒したときに落とすアイテムや箱を開けたときに出現するアイテムは階が生成したときにはまだ決まっていないので、雰囲気には影響しないのです。また雰囲気が悪いということは強敵がいないということでもあります(探索中に強敵が生成されてしまうこともありますが・・・)。比較的安全に敵の落とすアイテムや箱を開けたときのアイテムに期待して探索するという手もあるわけです。