<初日-2002.8.7
P.M(3)>
笠岡にて安いビジネスホテルでも…と、探してみたのだが、生憎これといったところが見つからない。結婚式なども取扱っているホテルなどもあったのだが、どうも生来貧乏性なので、あまり小綺麗なホテルに泊まるよりは、ちょっと寂れたような所の方が好みなのである。誰か連れでもいっしょなら、それなりの所に泊まることも考えねばならないが、気楽な一人旅の時であれば、極力趣味を優先させたいものである。
…と、いったわけで、ちょっと笠岡宿泊はパスね。
ここで、ちょっと説明をしておかねばなるまいが、前述したように、この夜、「横溝World」管理人ふみさんと、ふみさんのお声掛かりで、「金田一耕助の軌跡」管理人花咲か爺さんの犬ことポチさんと三人で落ち合いましょうかということになっているのである。時間は7時。私の宿泊先が決まったら、連絡を取り合ってわざわざお二人がお隣広島県福山方面から来てくださるとのことであったのだが、何も来ていただかなくとも、私の方が勝手に来てるんだし、移動の時間はタップリあるのだ。…と、思えば、宿泊先を福山に探しても問題あるまい。と考え、さっさと車を西へ向ける。幸い福山市内のビジネスホテルの情報も少しは用意してある。
10分も走ると、そこはもう広島県であった。
福山市内を適当に流しながら、ビジネスホテルを確保。時間は6時を過ぎようとしていた。慌ててふみさんに連絡を入れる。ホテルの場所を伝えると、花咲か爺さんの犬ことポチさん(以下、“ポチさん”にしていいですか?)は地元なので、わかるでしょうとのこと。ふみさんとポチさんが落ち合ったうえで、ポチさんの車で私を拾いに来て下さることとなった。
ホテルにて旅の汚れを一応落としつつ一息ついていると、「今ポチさんと落ち合えたので、これから迎えにいきます」との連絡が入る。ホテルが大通りから一本脇に入ったところで判りにくかろうと、「大通りに出てまってます」と伝え、待つ事十数分。
ついに関西エリア瀬戸内方面の横溝ファンを牛耳っているという(?)両巨頭との初顔合わせである。…もっとも、こちらは、お二人とも某横溝サイトにてたまたま御尊顔を拝していたので、おぉ、画像のとおりだ…と、この時点では思ったに過ぎないが、果たしてお二人は、襟裳屋をどう見たことやら…。ま、敢えてそのことは深く追求するまい。もっとも、襟裳屋は、あまり物おじすることもなく、初対面の人でも平気で声をかけられる性格なので(そんなウブが通用する年齢でもないし)、両巨頭を前にしても、襟裳屋チックに振舞っていたように思える。
挨拶を簡単に交わしあい、立ち話もなんなので、早速どこか場所を見つけましょう。と、ポチさんの車に乗せていただく。
後部座席に身を潜め、運転席と助手席の両巨頭の会話に耳を傾ける。どういった店がいいかといった話しから、「やっぱり掘り炬燵のあるような店がいいわ。島にはあまりそういう店がないから…」とのふみさんの鶴の一声で、福山市内を廻りながらポチさん運転の車は店を求めて走り続ける。移動の車中の中からして、時折昨今の横溝系サイトのことなどを軽くレクチャーしてもらいつつ(例えば某HP管理人さんのHNの読み方を私はこれまでどう読むべきか悩んでいたのだが、御本人とも面識のあるふみさんの何気ない一言から、簡単にその疑問も解消する…とか)、簡単な福山市内巡りである。おかげで福山にあるJolly-Pastaの2店舗の場所も知ることができた(笑)。
そうこうしている間に、一軒のお店へ。『写楽』という居酒屋さんである。
駐車場に車を停める時に、ふみさんの一言が忘れられない。「おぉ〜、水車がお出迎え」。
…これだから、熱心な横溝ファンはたまらない。…これまでの移動はこの水車の為だったのか?…。そこまでこだわらなくても…(笑)。
車を降り、いざ店内へ入ろうというわずかな間隙にも油断は許されなかった。
とりあえず、誰が先に店に入るかということで、よくありがちな「ま、ま、お先にどうぞ…」といったやり取りがあったなかで、一人の人物から思いもかけない言葉が発せられたのであった。
「ほら、場所をここに決めたのもポチさんだし、ポチさん地元の福山だから、福山オフということで…」
福山オフ!?
…かくして、この瞬間から、「臨時企画
『金田一耕助の軌跡』主催 第一回福山オフ」の開催の運びということになったのである。
もちろん、この瞬間まで、オフだなどといった単語は頭の片隅にも存在していなかった私の発言ではないことだけは、お断りしておきたい。
横溝系HP管理者が三人集まればオフなのね…。ついぞ、オフといったものに参加したことのない者にしてみれば、目から鱗の落ちる思いである。
ともあれ、唖然としたままのポチさんと共に店内へ。
以下、個人的な旅行記でありながらも、『オフレポ』を内包するという、劇中劇的な構成になるわけである。…当然、オフレポなど書いたこともないので、私流に書かせてもらうしかないのであるが、果たしてこのオフ(?)の目的は一体なんであったのだろうか…と、きっと主催することになったポチさんでさえ、今でも思っているに違いない(笑)ような急展開のことなので、果たして何を記述したものか…。…とりあえず、進めてみよう。
「臨時企画 『金田一耕助の軌跡』主催 第一回福山オフ」レポート
●日時 平成14年8月7日
●場所 広島県福山市某所 居酒屋「写楽」/水車と掘り炬燵風の席のあるお店
●参加者 ポチさん・・・・「金田一耕助の軌跡」管理人/当オフ緊急主催者
ふみさん・・・・「横溝World」管理人/当オフ運営実行委員長
襟裳屋・・・・・「襟裳屋」管理人/旅人
他、特別ゲスト複数名
掘り炬燵風の席に通され、早速オーダーである。主催(!)でありながら、運転もしてくださっているポチさんには悪いなぁと思いつつも、他の参加者は当たり前のようにビール(!)を注文。…と、書くと、ちょっと事実と異なる感じもしないでもないが、ま、いっか。あまり正確に書いても問題があるといけないし、全くのデタラメということはないのだから、ちょっとのことは徹夜ままの疲労した私の脳の認識違いということで勘弁してもらおう。
飲み物が来て、とりあえず、改めましてということで、乾杯。
料理の注文をする時に、早速ポチさんの鋭い洞察力が発揮されるのを目の当たりにすることになった。
「今のアルバイトの女の人、中国系かどこかの人ですよね」
「え〜?どうして、そんなことまでわかるの?」
「いやぁ、胸のネームプレートに書かれている名前が漢字三文字で、あちら系の名前だったから…」
「全然気がつかなかったぁ〜」
…寡黙で柔和な笑顔の裏に隠された剃刀のように鋭い観察力。ポチさん恐るべし。…もっとも、同じ男性として、果たしてそれが鋭い観察力によるものだけであるのかまでは、一抹の疑問を感じないわけでもないが、敢えてここでは不問としておこう(笑)。
運ばれてくる料理を前に、当面の…そして、唯一のキチンとした目的であるところの、本の交換を先にしておきましょうということで、ふみさんからは廣済堂版の手毬唄をいただき、襟裳屋からは山椒魚表紙版手毬唄をお渡しする。これにて一件落着。
この後は、呑み、食べつつ、おのおののHPのことや、他のHP管理者の方々のこと、三人とも行って来た真備町のことなどを楽しく話しを伺うことができた。詳細に関しては、あまり記憶にとどめることができなかった…ということにしておこう。
川辺宿駅からなくなってしまっていたミステリー遊歩道の案内パンフのカラーコピーも喜んでもらえて、無駄にならずに済んだ。
そうこう楽しませてもらっているなかで、突然ふみさんが携帯を取り出す。
何事?!…ちょっと不安が過る。
ポチさんもこの突然のふみさんの行動には戸惑いを隠せない様子である。人の電話の内容をまさか耳をそばだてて聞いているわけにもいかず、どうしたものかと困惑している二人をしり目に楽し気に談笑しているふみさんの口から突然最近ようやく耳馴れてきた単語が飛び出す。
「(略)今、襟裳屋さんたちといっしょに呑んでるんですけど、ちょっと変わりますねェ」
私を襟裳屋と紹介して、相手も襟裳屋という単語を認識できる相手…?と、いうことは、横溝関係のHP関係の誰か…なのかな?
笑いながら「Nさん(※あまりにも突然の展開なので、お電話口にでて下さった方々も、よく事情が飲み込めてないと思いますので、敢えてイニシャル名にさせていただきますね。…と、いってもバレバレでしょうが…)ですよぉ」と携帯を差出すふみさん。
…恐る恐る携帯を受け取り、それでも電話に出、「どうも、初めまして、襟裳屋です…。なんだか、突然こんな風に御挨拶させていただくようなことになりまして…(以下略)」とオロオロしながら御挨拶させていただく。電話でのオフゲスト参加者まであるとは…と、受話器を回されたポチさんを見ながら、突然のことにまだ動転したままでいるうちに、更にTsuさん(同上)の特別ゲスト参加となる。戸惑うばかりである。
電話にて失礼させていただきました方々におかれましては、そのような突発的なことでしたので、襟裳屋としてはキチンとした受け答えもできていなかったかもしれませんが、ここに改めて感謝とお詫びを申し上げておきたいと思います。
かくして特別ゲストタイムも終わり、 再び呑み、食べ、談笑しつつ、夜も更けていったのであった。
時間も頃合となり、明日もまたポチさんもふみさんもお仕事があるのでと、会計を済ませて店を出ることにして、ポチさんにホテルまで送っていただき、お二人ともお別れである。
本当に楽しい夜をありがとうございました。岡山/広島まで来てホントよかったです。また近いうちにお会いすることができますよう。
かくして、ポチさん、ふみさんを乗せた車を見送り、ホテルの部屋へ戻った襟裳屋は、シャワーを浴びるとそのままベッドに倒れ込むように横になり、この夜の楽しい思い出と二人への感謝を反芻しつつも、最近覚えたこの一言こそ、この時の為にあるのかもしれないと思っていた。
“ぼっけぇ、きょぉてぇ”(笑)
あ、しまった。これって、岡山弁じゃん。…オフは広島だったんだから、これじゃ、なんのオチにもなってないじゃん。…この辺のツメの甘さが襟裳屋のいい加減さ振りを良く物語っているかもしれない。…と、思いつつ、泥のような眠りにつく襟裳屋であった。
オフレポ 了
…と、いったところで、納得していただけますでしょうか?
準備も企画も何もない突発的な“オフ(笑)”だもの…。それもわずか数時間だけの…。これ以上どう書けというのだ…。これ以上詳細に書けばいろいろと問題もある(?!)だろうし(笑)…。それよりも、襟裳屋がそんなオフレポのための観察といったことをしていなかっただけなのである。
…ともあれ、こうして、やっと私の旅行、第一日目は終わったのである。
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