<二日目-2002.8.8> 二日目である。午前5時起床。 |
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車を観光案内所運営の駐車場に預けて、8時ちょうど発の普通船で真鍋島へ向かう。 所用時間は1時間10分。船に乗り込むと、客席の前部へ。本当なら、波飛沫を受けつつ、外の空気を吸いながら海の上を渡って行きたいところであるが、どうやら、そういう訳にはいかないようである。残念。 途中の白石島へ海水浴をしに行く人たちもいるようで、朝のこの時間であっても船内は一杯になっている。…そうだよなぁ…。夏休みで、海に来てるのなら、普通は海水浴なんだろうなぁ。…それをよりによって、島を見るためだけに海を渡ろうっていうんだから、酔狂というべきか…。 仕方ない、戦友の訃報を届ける為に島を訪れる…といった役回りでも与えられたかのつもりになって、海水浴のことは忘れよう…。 |
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島へ上陸。すぐさまトンボ帰りをするのもあまりにも不粋としか思えなかったので、1時間半後に出発する船で笠岡に戻ることにして、それまでの時間、島の様子を少し見て廻ろうと、歩き出す。 観光案内図を見ると島の西側にはふれあいパークというのがあるらしいが、人の手によってつくられた観光施設を見るよりは、折角こういった島に来たのだからと、反対側に城跡があるらしいのに目をつけ、それでも見て時間をつぶそうか…と思ったのが間違いであった。 集落を抜け、山の中を昇り始めると、足下には無数のミミズの死体が…。この暑さのせいでミミズも狂って地上に出て来て死んだものなのだろうか?…それにしてもとてつもない数である。ミミズの死体くらいに足も竦むということはなかったものの、ミミズ嫌いの人は絶対に来ることはできないだろうな…と思ってしまう。ミミズに覆われた坂を昇りつつ更に山頂へと向かうが、道は次第に夏の陽射しに成長し放題になった雑草などがその周囲を覆うようになり、足下もよくわからなくなってくる有り様である。この分だと、夏のこの時季にこの道を昇ろうなどと考える酔狂な人間は私以外にいないのだな…と思わざるを得ない。いや、絶対にいないんだろうな。…港でペットボトルの飲料水を買ってきてあったし、笠岡で軽く食事をしておいたから良かったものの、そうで無かったら、絶対に行き倒れて遭難してたかもしれない。…そしたら、死体は何ヶ月も発見されることなく、死体は無惨にも腐敗し、身元もよくわからないことに…などと、暗い想像が夏の陽射しに沸騰しつつある脳裡を過る。 城跡を見てもなんの感動も湧かなかったのも、城跡がどうこうということではなく、ここに来た時季を間違えていたからである。絶対に夏に昇って来て楽しめるといったところではない。…時季を誤った私のミスである。…もちろん、苦し紛れに一言つぶやいたことは言うまでもない。 「キぃ違いじゃが仕方がない…」 船で到着した北側の港と山をはさんだ反対側にある浜には海水浴場のようなところもあるらしいく、確か観光案内図には夏の夜には夜光虫も見ることができるとあったようなことを思い出したが、とてもじゃないが、そちらに足を向ける気力も無く、太陽が頭の真上に昇ろうかといった時間に夜光虫が見れるわけもないじゃないか…と、最短で麓へ降りる道を下って、海沿いをダラダラと港まで戻ることにした。 港に戻り、この時間だと食事らしいこともできるようなところもなかったので、JA喫茶というところで、水分補給(平日のお昼前なのにという非難があろうとも、当然のことながら黄色い泡の立つ水分である)。生き返る。 やっぱり、もう少し計画的な下調べをしてから島巡りをするべきであったと反省しつつ、「瀬戸内少年野球団」のロケ地があったということもあって店内に飾られているのであろう夏目雅子の写真パネルを見て、時間を過ごす。 店内には、私の他に、前夜から宿泊していたらしい若い夫婦ものの姿が。どうやら、私と同じ船で笠岡に戻るつもりらしく、時間潰しに来たらしいのだが、この、夫婦の奥さんの方の姿というのが、なんとも良い。薄いベージュのノースリーブのワンピースに同色の日傘。これが島の港によくマッチしてるんだ…。城跡巡りで披露しきった意識下で目撃していたということが前提ではあるが、夏目雅子3に対して横山めぐみ7くらいの割合にブレンドして、芸能人的雰囲気を差し引いたうえで、2で割ったような、なかなかの美形である。旦那がいっしょじゃなかったら、声かけて、撮影させてもらったところなのになぁ…。うぅ〜む。残念。 船の到着20分前に搭乗待合所に移り、忘れてはいけないラリーのスタンプをGetする。 ところで、他にすることもなかったので、ボーっとしていると、夫婦ものの奥さんの方は、島の住人らしいオジサンから声をかけられて、いろいろと話している様子。聞くともなく耳に入ってきた内容からするに、どうやら京都から来ていたらしい。京言葉もはんなりとしていて、こういった長閑なところで耳にするには、また一段と赴きがあって良い良い。…旦那の方?…何してたんだろ…。全然眼中になかった…。 そうこうしているうちに海上タクシーが到着し、乗船する。今度くることがあるようなら、その時はもっとゆっくりと島を堪能できるくらいの予定で来たいものだと思いつつ、島を後にする。 こうして、ラリーも無事廻り終え、今回の横溝正史ワールドに触れてみたい旅行もひとまずの終了である。…思えば、島に来てからは、暑いだけに気をとられて、あまりその雰囲気を堪能できていなかったのではないか…と思われなくもないが…。 旅はこれで終わりではなく、まだ続くのであるが、以降はあまり『横溝』を意識していない旅行だったので、タイトルにある『横溝正史ワールドに触れてみたい奇行記』の第二弾は一応ここで幕とすることにしておこうと思う。果たしてPART3があるかどうかはわからないが…。 |
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了
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◆Special Thanks◆
金田一耕助の軌跡 http://www.remus.dti.ne.jp/~pothi/kindaiti.htm
横溝World http://www7.ocn.ne.jp/~yokomizo/