4:ついにたどり着いた時の迷宮。戦いの火蓋は切って落とされた(5/5)

「時の迷宮へようこそ!」
 鹿賀さんによるオープニングの収録が始まり(別撮りではないんですよ)、ついに本番となる。ここからは参加者同士の談笑もできないし、スタッフからもライバル心を見せるような発言を望まれた。最終予選後とは打って変わって、ピリピリしたムードになってきた。
 最初のチャレンジャー、福元君が呼ばれてスタジオへと向かっていった。事前からプレッシャーを感じていたようなので大丈夫かなと思っていたが、案の定カメラで見ても緊張している様子。さすがにトップは取られたくないが、頑張ってほしいという気持ちはある。
 すると、見事に8問正解。思わず声を上げてしまった。スターウォーズでハリソン・フォードが役を演じた「ハン・ソロ」をスパッと答えたのは素晴らしいと思う。


 司会人のトークから間をおかず、2番手の高橋さんが呼ばれる。過去にも挑戦したことがあるそうなので、予選順位以上に恐い存在。カメラの前でも堂々としていて、なにか風格を感じもした。
 そして彼のチャレンジ。落ち着いて正解を重ねていくので、正直なところ「パーフェクトを取られる」という危険は一瞬察知した。8問目「天衣無縫の『縫』は何のこと?」で途絶えはした(答え「縫い目」)ものの、その後も慌てることのない堂々っぷり。結局は10問正解となり、待つ身の人間にとってはかなり大きなプレッシャーをかけられてしまった。ここで福元君が無念の退場。


 続いて予選8位の中村君。東大生でこの顔、どちらかでいいから分けて欲しいくらいである。しかし彼もやはり緊張している様子。若さもあるんだろうけど、何よりもこの異様な緊張感が一番の要因だろう。
この中村君、序盤こそ好調だったものの、分からない問題にぶち当たったからかトルネードスピンの危機に立たされてしまう。なんとか持ちこたえて6問正解となったものの、「今何問目?」を落とすなど、タイムショックの怖さを改めて見せられた感じだった。しかし「円錐の体積。底面積×高さ×何?」を「3分の1」とはじき出したのは立派だと思う。僕は「÷3」って」覚えてしまっていたからなぁ。


 7位の中村さん。控え室でもあまり喋っておられなくてどんな方か分からなかったが、ここまで上がってこられると言うことは立派なこと。ただ、やはり初めてのテレビだけに緊張している様子。落ち着く方が無茶なのかなぁ・・・
 彼女のチャレンジ、中盤までは至って順調で良い成績を残しそうだったのだが、6問正解してからぱたっと止まってしまった。一問つっかえるように間違えてから、パニックに陥ってしまったのだろうか。7問正解で脱落。


 6位の中村先生。参加者中最年長ということもあってやはり落ち着いている様子。実は、中村先生とはクイズの場でお会いしたことが多いものの、解答者として拝見した機会があまりない。はたしてどんな戦いを見せてもらえるのか。
しかし、過去にテレビに出演したことがあっても、やはり勝手が違う様子。一問目で躓いてからなかなか安定して正解を重ねられず7問止まり。Aで始まる英語の月名を答えられなかったのが一番響いたかも知れない。


 刻一刻と自分の出番が近づき、イヤでも緊張せざるを得ない。ともあれ、自分に課せられた最低ラインは10問。明らかに高いハードルである。しかし、コレを越えないと勝ち目はない。勝算は・・・水物の勝負だけに無いわけではないが、自信もない。
 そしてついに、スタッフから呼ばれる。控え室を出て、ゲートの前へ。ピンマイクをつけ、立ち位置を確認。もう「待ったなし」の状態だ。ゲートの内側は真っ暗で、かすかに壁の向こうから司会者陣のトークが聞こえる。
 立ち位置から動けないため、じっとしていられない自分はこれだけでも緊張してしまう。大きく息をして、暗がりの中を待つ。
 「次のチャレンジャーの入場です」とのアナウンスがあり、ついに重々しい扉が開いた。


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