|
2003/11/10(Mon)
|
あらすじ:
『その者黒き衣をまといて桃色の野に降りたつべし。 失われた大地との絆を結び ついに人々を清浄の地へとみちびかん』
しばらく東京に滞在していたが本日帰札するヨシザワを見送ろうと 会社を(両腕をクロスして窓ガラスをぶち破り、5階の窓から)飛び出したオオツキ。 しかしすでにヨシザワは滞在宿を引き払い、姿を消していた。
オオツキはババ様(誰?)の遺した予言に従い、桃色の地へと向かった。
本編:
桃色の地――秋葉原。 輸入DVD屋をのぞきたいというヨシザワの要望に従い(輸入だと日本じゃDVD化されていないモノが手に入るので)、秋葉原をぶらり2人旅。
が、数年ぶりに足を踏み入れたこの地はまさに桃色の桃源郷(重複?)と化していた。 もー、ほんとにエロゲ屋とエロ同人ショップばっかり。 それはいいけど同時に中古屋も相当数存在しており、(市場原理がどうあろうと)そりゃエロゲ業界も衰退するわな、と心底思った。 エロゲをコピーする人間は 『いいゲームならちゃんと買うさ(だからお前らがいいゲームを作れば問題ないんじゃーん?)』 というコトを自分への免罪符として往々にして語るけれど、 エロゲ屋だって誇りや霞を喰って生きているわけじゃないから収入が目減りすれば次に続かない。 それを生きる手段にしている以上、基本は仕事。 芸術家ではないので、"作品"ではなく"商品"をつくらねばならぬ。たまにこの世界に"作品"が現われるのは、あくまで結果なのだ(※色んな要素がからむので、極論で書いていまス)。 しかも、たとえ毎回評価の高い“作品”を作ったってべつに儲かるワケじゃない(例えばニトロプラスだって資本に余裕があるだけで儲かっちゃいない)。 そして最終的には自転車操業に追い詰められてゆく。 エロゲは生活必需品ではなく娯楽趣好品なので、基本的に金銭と質が比例しない。好みは人によって千差万別。“高級志向”が存在しない(大作でも簡単にクソゲになるし、高い金を出してもクソゲを掴まされる可能性は消えない)のだ。 だから買うほうも安いなら安く、タダでもいいならタダで手に入れ、且つ特に良心も痛まない。すごく“商品”としては地位が低いのだ(音楽なんかも同じ)。
こんなときゲームそのものの質を飛躍的に持ち上げるのはたとえ“無償”でも表現したいことのある同人だったりするが(あと無理の利く若いブランド)、だが同人もすでに市場原理に取り込まれつつあるので今後はどんどんいいものを作るのは難しくなっていくだろう(安いから評価が甘いというのは確実にある。例えば月姫がどんなにいいゲームでも、8,800円だったり最初から市販市場に乗っていれば、ここまで盛り上がりはしなかっただろう。『ほしのこえ』が“一人でつくったからこそ”高い評価を受けてるのと似たような原理なのだ)。
しかも業界にいると市販が儲からないのがよくわかるから、 市販に比べればまだ優しい同人へと逆流出してしまう(モノを作る大変さは一緒でも、“売った後が”市販より気楽なのは確かだ)個人も少なくは無い。 いみじくも人類が続く限りエロは無くならないが、市販エロゲを“作り続け、生きる”ことはどんどんと難しくなっているのだ。
桃色の野に降りたち、自分の立っている業界の暗がりへと思いを馳せ、涙を拭う。 そんななかでも俺がしたいのは、そのものすごい厳しい場所で“ほめられること”なのだ。 同人はどうしても趣向が狭い。安いからまあこんなもんか、で済まされやすい世界でもある。 一方市販品はデキが悪ければ悪し様に貶される世界だ。 当然です。高いお金を出して買っていただくものですもの。 そんな百万の罵詈雑言のなかでのただ一人、ただあなたの褒め言葉、
「面白かったよ」
が聞きたくてボクらはこの世界におるのです。 その“高いからこそ本気で貶す”部分が無くなったらこの場所で勝負を続ける意味はあまりない。こちとらエロゲが高いのをわかっているからこそ、黙って怒る相手にも頭をさげるのですもの。ロクに金も出さずにケチな批評をぶつヤツに頭を下げるのは、時給が低いのに苦情受付させられるようなモノだ(飴と鞭の、鞭のみってカンジ)。 これ以上中古やコピー品が幅を利かせるようになったら(※別に中古を否定するワケじゃなくって、あくまで俺個人の立つ理由の問題ですヨ? コピーやファイル共有は論外)、プロエロゲで生きるのはあきらめて同人作家にでもなった方がいいのかもね。 結局清浄の地へと自らを導ける力も無い我々2人は、腐海の広がりつつある秋葉原で小さく自嘲の笑みを洩らした。 最初から期待せずに買うものに、失望はない。 まだ貶されるうちが華であることすら、承知の上で僕らはここにいる。 特に誇らしい商売でもない。
それでも、一度この厳しい世界で誰かから褒めてもらう経験をしまった自分たちが、ここより優しい世界じゃ満足できないことはお互いわかっているのだ。
モニタの向こうの、キミの笑顔がみたいんです(馬鹿にする笑みでも可)。
|
|
|
|