IC−71の動作説明
IC−71のファンの皆様の為に、取説に記載されている回路図の動作説明を作成すれば、修理の参考になるのではと思い、時間の許す時に書いています。
最初は取り留めのない断片的な内容になるかもしれませんが、徐々にまとまりのあるように進めたいと思います。
ここで解説する内容については、私なりに理解し記載するものであり、ICOM社が保証した内容ではありませんので、あくまで参考程度として下さい。
また、ここで記載した内容で、IC−71に何らかの被害がでても、責任を負いかねますので、自らの責任の元で修理等を行って下さい。
(1)受信部
1)高周波回路
アンテナコネクターからの受信信号はL1,L2,C2,C3,C7,C8のフィルターを通り、D3,D4で0.6V以上の大信号を制限(リミッター回路)し、初段の低ノイズFETであるTR1(2SK19)で高周波増幅される。
D1,D2は、SWR検出ダイオードで進行波と反射波を検出しています。
検出した結果が、フロントパネルにあるメーター指示値として表示しています。
参考、TR1が破損している場合は、極端に感度が低下します。
RF段 TR1の各電圧:ドレイン電圧9V、ゲート電圧0V、ソース電圧0.3V
2)第1ミキサー回路
話しを元に戻し、次に受信信号は、高周波増幅回路TR1(2SK19)の負荷素子であるL4の同調回路を通過し、2段目の第1混合回路であるトランジスターTR2(2SC710)に入力されます。このTR2は第1ミキサー回路で、TR7(2SC773)の水晶発振器の出力がC20を通してTR2のエミッターに注入されコレクターより混合された信号(第1中間周波数)を取り出し、T1,T2,T3のバンドパス回路にて第1中間周波数である12.710〜11.710MHzを取りだす。その後3段目のトランジスターTR3(2SC710)に入力される。
T1,T2,T3のバンドパス回路は1段当たりイメージの減数量を20dBとし、3段で-70dB近くの減衰を得ている。
参考、1st MIX段 TR2の各電圧:コレクター電圧12.5V、ベース電圧0.2V、エミッター電圧1.6V
3)第2ミキサー回路
TR3(2SC710)は第2ミキサー回路(混合回路)でTR3のベースから入力した受信信号とC33を通してエミッターに注入されるVFO信号(第2局発)を混合し、中間周波数(455KHz)をT4にて取り出している。
VFO周波数は、12.255MHz〜11.255MHzです。このVFOの周波数安定度は、回路の温度補償を十分に行われており、数100Hz/hです。
T4の次に接続されている2種類の回路は、FM・AMW用とCW・AMN用のフィルター回路です。
即ち、ワイドとナローのフィルター回路をフロントパネルのモード切り替えスイッチにより切り替えている。
ワイドの時は、D6とD8をONさせワイド特性のT5,T6の複同調回路を通過させている。
ナロー時は、同様にD7、D9をONさせT7のバンドパス回路とセラミックフィルターを通過させ適切な選択度を得ている。
参考、2nd MIX段 TR3の各電圧:コレクター電圧3V、ベース電圧1.2V、エミッター電圧0.5V
4)第2中間周波増幅器
第2中間周波数(455KHz)に変換されたCW波又はAM波は、TR4(2SC710)、TR5(2CS710)、TR12(2SC710)の3段の中間周波数増幅回路で増幅された後、ダイオードD17(IN60),D18(IN60)にで検波され、可聴信号となる。
FM波の場合は、TR4,TR5,TR12,TR13,TR14の5段にて増幅され、T12、D19、D20、比検波回路にて復調し、VR5により検波バランス即ち、ひずみが最小となるように調整している。VR5より取り出しで復調信号は、音調ボリュームを通り、次の低周波増幅回路TR18に入力される。
この音量ボリュームVR8に10kΩ(Aカーブ)を使用している。良く使い込まれるとガリオームになると共に、接点不良部分で発振する。一瞬ハウリングと間違う音となる。中古品のIC−71でよく見かける。(このボリュームを交換するだけで、修理完了となるが、原因が解らない為、動作未チェックとしてオークションに出されている場合が多い。)
参考、IF AMP TR4の各電圧:コレクター電圧6V、ベース電圧2.5V、エミッター電圧1.6V
IF AMP TR5の各電圧:コレクター電圧6V、ベース電圧2.1V、エミッター電圧1.4V
IF AMP TR12の各電圧:コレクター電圧6V、ベース電圧2V、エミッター電圧1.1V
LIM段 TR13の各電圧:コレクター電圧9V、ベース電圧1V、エミッター電圧0.3V
LIM段 TR14の各電圧:コレクター電圧0.5V、ベース電圧1V、エミッター電圧0.3v
5)低周波増幅器
音量調整用のボリュームを通り、適当な音量に調整された可聴信号は、TR18(2SC871)、TR19(2SC710)、TR20(2SC710)、で増幅された後、TR21(2SC710)、TR22(2SC710)、の12dB/octのローパスフィルター(カットオフ周波数は3kHz)で受信の高域ノイズを取り除き聞き易い周波数特性を得た後、TR23(2SB415)で増幅しTR24(2SB426),TR25(2SB426)で構成されるプッシュプル回路(PP回路)であるメインアンプに入力トランスT13を通して加えられる。PP回路で増幅された後に出力トランスT14を通しスピーカーを駆動している。
このメインアンプは、親切設計で、VBEの温度変化率をサーミスターを使用することにより温度補償を行い、クロスオーバー歪みを防いでいる。(ここまで書く必要ないか、簡単に説明して行こう)
参考、AF AMP TR18の各電圧
AF AMP TR19の各電圧
AF AMP TR20の各電圧
FIL AMP TR21の各電圧
FIL AMP TR22の各電圧
PA DRIV TR23の各電圧
(2)送信部
(3)変調部
(1)AM変調
(2)FM変調