エキスパートへの道2012


監修 綾小路髭麻呂

今回は「切り換えで身体を谷に落とす」事に的を絞って考えてみます。

左写真は中斜面のナチュラルターンで、1コマ目のようにブーツの位置より重心(腰)の位置が山側にありますが、この山側にある腰と谷側にある板の位置を4コマ目のように入れ替えることが必要となります。つまり板に対して横方向に重心を動かし切り換えで身体を谷に運ぶ事が必要なのです。
「板に対して横方向にどこまで身体を(谷に)落とせばよいか」の目安ですが、3コマ目の左スキーの「トップ側アウトエッジ」が噛むところまで身体を谷に落としていきます。
つまり、「次の外スキーインエッジのトップ側」だけではなく、「次の内スキーアウトエッジのトップ側」=リーディングエッジをしっかりと噛ませたいのです。

切り換えで、外スキーインエッジから次の外スキーインエッジに踏み換えるやり方もよいのですが、それでは効率よく「両スキー」が使えません。内スキーは次の外スキーになるので、常に両スキーを使って滑るには「谷回りで両スキーのリーディングエッジ」が使える位置まで自分から動くことが必要で、そのために谷回りで身体を谷に落とす動きが必要となります。
今流行の「落下落下」といってひたすら身体を谷に落とすような動きとは異なる考え方です(後述します)。


上の写真4コマ目の両スキートップを抜き出したのが左の写真だとします。リーディングエッジとは赤い線と青い線のエッジを指しますが、赤い線のエッジを噛ませることは出来ても、青い線のエッジを谷回りから噛ますことはとても難しいことです。

谷回りで身体を谷に落とすのは、この青いエッジを噛ませられるところまで身体を落としたいと言う事なのです。谷回りで身体が「谷」に落ちると同時に、身体が「前」に運ばれる必要があります。

谷回りで身体を谷に運ぶ動きは2つの運動意識を使います。

一つは左写真の赤い線で示したように、ターン後半畳まれた大腿を立ち上げるようにして谷回りに繋げ、この大腿の立ち上がりで山側を踏みしめながら重心が谷に押し込まれていく動きです。=「山足切り換え」
この動きによって谷回りでのハイポジションが出来、しかも山スキーは踏みしめによって十分たわんでいます。

もう一つは、左写真の青い線で示したように谷スキーに重さを乗せるように自分から積極的に谷側に落ちていく動きです。=「谷足切り換え」。この動きは最近の基礎スキー界が提唱していますが、個人的には、赤線の山足切りかえと、青線の谷足切り換えをミックスするのがよいと考えています。どちらか一方のみに固執するのは運動の幅を狭くしてしまいます。




では、切り換えで効率よく身体を谷に落としていくにはどうしたらよいかと言う事を考えましょう。

左写真のようにターン後半いつまでもエッジに乗って、内傾・ローテーションしている場合は重心が山側に残ったままになるので、谷回りでは右写真のように上体の振り込み動作がでてしまい、これでは重心が落とせません。
エッジが噛んだままターンを終わってはいけません。

ターン後半に適度な外向傾の姿勢が出来ると、右写真のようにスムースに体が谷に落ちるようになります。

ここで、右写真は敢えて左スキーを持ち上げていますが、山足切りかえの意識だけで滑るとこのように切り換えで谷足が持ち上がってしまいがちです。これは重心を谷に落としきれていないことを意味します。身体を谷に落としていき、写真で言う左スキーのリーディングエッジを噛ませるには、右写真のように谷スキーが浮くのではなく、谷スキーを雪面に付けておく必要があります。
そのためには、両スキーのエッジを外してターンを終わる意識が大切になります。

ターン後半の外向傾が次のターンの内向に繋がり、フォールラインで正対して、山回りで再び適度な外向傾を作ります。これがベースです。

ベースが出来たら、まずは一つ目の山足切りかえです。

左写真のように曲げられた右足の大腿が切り換えで立ち上がることで、山側を踏みしめます。意識は「寝かされた大腿を立ち上げる」でも良いし、「山側の股関節を伸ばす」感覚でも良いですが、ターン後半に内足が畳み込まれていないとこの動きは使えません。

内足ターンをして、内スキーで孤を描き、その内スキーに後半大きく縮むような練習が効果的です。

この動きで谷回りを長く取り、山回りを短くすることで板はぐんぐん加速します。



もうひとつの重心の落とし方は、今の基礎スキー界でよく言われますが、谷足をベースにした動きです。

左写真のように両足を均等に伸ばして斜面に横に立つと、斜面の高低差があるので谷スキーに重さが乗ります。
この状態から谷足股関節を曲げていくと右写真の黄色い矢印のように重心が谷に移動し、谷スキーはフラットになって谷スキーはターンを始めます。ターンが始まった谷スキーに山側のスキーが付いていきます。
このような谷足切り換えのコツは、谷スキーに重さが乗ったままが切り換えることです。このような切り換えが出来ていれば、3つ上の右写真のように谷スキーがリフトされることはありません。

近年の基礎スキーでは、この2つめの重心の落とし方を主とし、1つめのような次の外スキーを踏みしめて重心を谷に押し込むような動きを良しとしない傾向がありますが、個人的には山足切り換えが基本であり、同時に谷足切り換えも出来なければいけないと考えます。
やってみれば分かりますが、重心を谷に落とす理由は前述したように「次の内スキーのリーディングエッジを噛ませる位置まで動きたい」からです。そのためには、山足切り換えで重心を谷に押し込んでもその位置まで重心を落とすことは可能なのです。
しかし、山足切り換えで大腿を立ち上げる動きがエッジを返す動きよりも速いと谷スキーがリフトされてしまうので、谷足切り換えの意識も必要だというのが自分流の考え方です。


ではどのようにしたら谷回りで身体が落とせるようになるか考えてみましょう。

まずは左写真のようにターン後半内傾したりローテーションしていると体が谷に落とせなくなるのは直感的に分かると思います。つまり、ターン後半はエッジが噛んで終わるのではなくエッジを外して終わる必要があります。
中央の写真のようにターン後半は適度な外向傾が必要です。

また、中央の写真のようにこのときの肩のラインも大切です。基本は切り換えの時に肩のラインを最大傾斜線の傾きに合わせること。これによってターン後半にエッジが外しやすくなります。また、その流れの中でフォールラインに絡む時にも右写真のように肩の傾きを斜面に並行にしますが、舵取りで両スキーを面で踏みにいくと肩のラインは自然と起こされます。


また、効率よく谷に身体を落とすにはストック突き方も変える必要があります。
従来は止めるエッジングの時はエッジングと同時に強く突き、加速のエッジングの時はターンから抜け出しながら谷回りで突いていましたが、ストックを「前」に突きににいってしまうとその動きで谷腰も前に出てしまい 後半の外向=次のターンの内向 が崩れてしまいますし、突きに行った腕が邪魔をして体が谷に落ちません。

そこで、身体を谷に落とすためのストックワークは「エッジを外すタイミング」で突きます。つまり、従来よりは随分早いタイミングで突くことになりますし、後半の外向を崩さずに突くので、突く場所もブーツの真横かブーツのやや後ろ側に突くことになります。
しかも、ドン!と突くのではなく、雪面を軽くひっかくように突きます。しかし、従来のストックワークも大切なので、ストックワークを使い分けてみて下さい。




もうひとつ、身体を谷に落とすのに決定的に邪魔な要素があります。それは、左写真のようなターン後半の板の前後差を、右写真のように入れ替えてしまう(=スイッチしてしまう)切り換えです。

左のようなターン後半の板の前後差を、切り換えで入れ替える(スイッチしてしまう)と、右写真のように谷側のスキーが前に出てきてしまい、このスキーが邪魔をして身体を谷に落とせません。
したがって、身体を落としていく切り換えでは 左写真の前後差のまま 切り換えることになります。

この「切り換えでの前後差スイッチ」はとても大切なのでもう少し詳しくお話しします。
その場で両足で立ち、右ターン後半をイメージします。つまり、左足が若干後ろに引けた前後差で立ちます。そこから「左足をすり足のように前に出して」いくと次第に「右足母指球が踏める」ようになります。このような歩行動作で次の外足母指球を踏んだとしても、谷回りからの強い外向姿勢になりその後の強い遠心力に耐えられません。
一方で、左足を後ろに引いて右足を前に出したまま、前後差を変えずに右足母指球を踏もうとすると、身体は自然と左側前方に傾く(=落ちていく)はずです。このときは左足の小指側にも力が掛かるのが感じられます。

つまり、前後差をスイッチする切り換えでは身体を谷に落とさなくても切り換えることが可能ですが、外スキーから次の外スキーへと踏み換える交互操作になりがちですし、腰で折れやすい強い外向姿勢になります。
そうではなく、谷回りで内向することにより身体を谷にダイレクトに落としていくことが可能になるのと、そのためには切り換えで前後差をスイッチする動きは必要ないばかりか邪魔になるということです。
しかし、板の前後差をスイッチする切り換えにもメリットがあるわけで、そういった技術を否定するのではなく、過去の滑りやワンパターンの考えに縛られるのではなく、積極的に新しい感覚を身につけ自らの滑りの引き出しを増やす探求心と情熱はあった方が良いと思います。


また、以前は足首のスナップを使いターン後半の抜けをよくしたり後半板を走らせる事を多用しましたが(上の写真)、右写真のように足首を解放してしまうとポジションが後ろになって「エッジを返すことが出来るポジション」ではなくなってしまいます。
エッジを返すには エッジを返せるポジション であることが必要で、足首が緩んだポジションだとエッジが返せません。エッジが返せないと言う事は、早いタイミングでターンから抜け出すことが出来ないし、いつまでも角付けが残った後半になってしまうので、足首のスナップは身体を谷に効率よく落とす滑りのときは使いません。



今回は、谷回りで身体を谷に落とすこと、その目的、そしてどこまで落とせばよいのかを解説しました。
大切なのは、谷回りで身体を谷に落としたら必ず直後に両スキーの面を踏みに行く事です。ターン前半の内傾角をそのままにしてしまうと後半身体が内側に入りすぎ、次の谷回りに繋がりません。
また、最近の基礎スキー的な「谷足切り換え」で滑るのも良いのですが、山足が浮いて谷側に転んでしまう人も見受けます。

谷足で切り換えるにしても、同時に山足で切り換える動きが身についている必要があり、山足で切り換える動きと谷足で切り換える動きがミックスした谷回り、そのような谷回りが滑りの応用幅を広げます。
悪雪では従来通り山足切り換え、整地されたバーンでは積極的に谷に身体を落として内傾角を強く
出す谷足切り換えなど、シチュエーションに合わせて技術を使い分けること、そしてそのためには技術の引き出しを増やすことが、安全かつ楽しく滑ることにつながると思います。

















では、全体の流れの中で見てみましょう。
左写真はベースとなる滑りです。青い矢印は板の進行方向、赤い矢印は上体の向きをしまします。
切り換え直後のハイポジションである1コマ目は板の進行方向より胸の向きが谷を向く 内向姿勢 であることが分かります。
その後板が回り込んでくるのに対しわずかに内腰のカウンターステアを当てるように(腰が回されないように)意識すると後半の自然な外向傾姿勢になります。=(2.3コマ目)
その3コマ目に見られる腰や上体の向きの方向に大腿が立ち上がりながら体が自然と落ちて行くのですが、ここでは山側を踏みしめつつ谷スキーを浮かさずに(時に谷スキーに重さを乗せたまま)身体を移動させるのが今回のポイントです。
1コマ目から2コマ目への右足大腿の畳み込みで分かるように、前半のハイポジションから板の面に向かってポジションを下げる舵取りをします。
一見すると1コマ目は頭をターン内側に振り込んでいるように見えますが、実際は山スキーは踏みしめの圧でたわんでいますし、必要以上に内倒してしまうと3コマ目に至るように谷回りから板の面に向かって縮むことは出来ません。

また、切り換えに向かい板が腰下にクロスインし、上体には今から谷に向かう力が働いているのが3コマ目になりますが、その3コマ目では既にストックを突き終えています。ストックはエッジを外すタイミングで突くとこうなります。
3コマ目から4コマ目に向かい体を落としていきますが、3コマ目で言う左腕や左スキーが体の前に出てきてしまうとそれらが体を谷に落とすことの妨げになります。

内スキーを使った練習メニューを自分はよくやるのですが、これは決して 内足に頼って滑って下さい と言うことではありません。
基本は当然「外スキー」なのですが、外スキーをベースにしたポジションでは「内スキー」が使えないポジションであることが多いのです。
今回はその内足に関してお話しします。

左写真は基本である両スキーに乗ったポジションですが、このとき外スキー1本に乗った場合はバランス幅が広いので内スキーの置き所はどこでも置けてしまいます。

外足一本に乗った場合、内スキーがシザースしたり足首が緩んでいても滑ることは可能ですが、そのような内スキーが使えないポジションでは外足一本に頼った滑りしかできません。
横滑りはとても大切な技術であり、横滑りを上手く行うには山足(内足)も上手く使う必要があることは誰でも体感していますが、まずは横滑りで山足(内足)が上手く使えるようになること、そしてここが大切ですが、谷回りから内スキーが使えるようになることもとても大切なのです。

左写真は内足に頼ったポジションです。
谷スキー(外スキー)が浮いていますが、内スキーを正確に操作出来るポジションのバランス幅はかなり狭いのです。

左写真のように内スキー(山スキー)に乗ってバランスを取ろうとすると、谷腰の位置により外スキー(谷スキー)を置く場所はほぼ1箇所に決まってしまいます。

つまり、2つ上の写真の「両スキーにしっかりと乗ったポジション」を作るには、「外足1本の意識から作るポジション」と、「内足1本で作るポジション」、この両者が一致したポジションが「両スキーが使えるポジション」であり、この「内スキーが使えるポジション」をマスターして欲しいために内足を使った練習メニューを行うのであり、外スキーをおろそかにしてまで内足に頼って滑りなさいと言うことではありません。

左写真はその練習メニューのひとつである内足ターンですが、全体の流れでは内スキーで孤を描き、その内スキーに大きく縮んだり伸びたりしています。

外スキーの浮いた1コマ目の高いポジションから内スキーに縮むことで2コマ目のように内足大腿は畳まれます。このとき内スキーの面にしっかりと圧を加え続けることが大切ですが、2コマ目でMAX縮んだ内足を3コマ目のようにしっかりと立ち上げます。
2コマ目から3コマ目に向かって立ち上がることで、山スキーは全体重がかかって大きくたわんでいます。3コマ目のポジションは次の外スキーがたわんで軸(赤い線)のあるハイポジションですが、この練習のときは谷スキー(左スキー)はまだ雪面に着いていません。

4コマ目では次の内スキーに踏み換えていますが、切り換えで板の面が返ってから次の内スキーに踏み換えるのがコツです。つまり、次の内スキーが使える(操作出来る)ポジションになってから踏み換えると言う事です。両スキーを使うと言う事は谷回りからも内スキーが使えることが必要で、そのためには谷回りで内スキーが使えるポジションまで移動する事が必要になってきます。谷回りは外スキー一本でいいじゃないか!と言う意見も多いですが、同時に内スキーが使えるポジションであればもっと良いと言うことですし、それが出来るようになればその意味が分かります。


2つ上の写真3コマ目では谷スキー(次の内スキー)は完全に浮いていますが、練習メニューで浮いているこの次の内スキー(左足)を浮かさないようにすれば「谷回りから内スキーが使えるポジション」になります。谷スキーを浮かさないようにするには谷足切り換えの練習が効果的ですが、では 谷回りから内スキーが使えるポジション ってどんなポジションでしょうか?

谷回りでは板のトップ側を噛ませ、ターン後半は板のテール側への荷重移動が原則ですが、左写真のような板の前後差のまま谷回りを迎えると写真で言う左足のトップ側のエッジを噛ませることができます。
一方、右写真のように切り換えで前後差を大きくスイッチすると次の内スキーが前に逃げてしまい、そのトップを踏むことは出来ませんし、前に出た左半身が邪魔をして体を谷に落とせなくなります。しかもポジションは腰で折れてしまい舵取りで体全体の重さを両スキーに使えることは出来ません。


この写真は横滑りをイメージしていますが、このポジションから谷足を持ち上げ山足一本の横滑りをし、山足だけで滑らかにズラシ続けるポジションと、そのときの板に対する力の掛け方はとても大切です。
このような山回りで内足を使うには、必要以上にターン内側(山側)にポジションが傾いてはいけないのですが(適度な外向外傾)、反対に一つ上の左写真のように谷回りで内足トップを踏むためにはターン内側(谷側)に体が傾く必要(内向内傾)があるのです。
外足一本の意識では、なかなかこの「ターン全域で内スキーが使えるポジション」を体得するのは難しいので、このポジションを得るために内スキーを使う練習メニューが必要になります。
谷回りでの傾きは、今の基礎スキーでは谷足切り換えで作れと言われますが、山スキー(次の外スキー)がおろそかになってはいけないと考えます。
しかし、形にとらわれずターン内側に思いっきり傾くのも楽しいものです。

今回は内スキーを使う事、そしてそのポジションを獲得することを書いてきましたが、内スキーは山回りだけではなく谷回りでも使えるポジションでありたいと言う事、そのためには谷回りで体を谷に移動させる必要があります。
個人的な考えですが、切り換えで体を谷に移動する(落とす)ことは上級者のテクニックであり、特に谷スキーに意識を置きすぎた切り換えは初心者や高齢者には向かないと思います。
しかし、大きく動けると言う事は大切な事であり、大きく動ける人が動かないのは良いのですが、動けない人が動くことを拒否してしまうようでは技術は広がりません。

スキーって、そのときは出来なくても後から出来るようになり「わかった〜〜!」と嬉しくなることが多いですが、善し悪しは別としてまずはこのような運動にチャレンジすることはとても有効ですし、そういったチャレンジ精神がスキーの楽しさを広げると思います。そして、出来ないとき分からなかったことが、出来るようになった時点で「そうか!」になり、その分かったときの楽しさも格別です。
まずは滑りの引き出しを広げるためにチャレンジしてみてください。


では、加速を求めたハイスピードの中で見てみましょう。

まずは赤丸から赤丸のライン、つまり谷回りで出来上がったハイポジションから次のハイポジションを一つの流れと考えます。
2コマ目のハイポジションから3コマ目へと両スキーの板の面に向かって縮んでゆきます。舵取りで板の面にしっかりと体重を乗せる意識が大切です。
これは、舵取りで板の面にしっかりとウエイトを乗せていくような力の掛け方が4→5コマで体が落ちていく動きに繋がるからです。
写真で見ていくと、2コマ目のハイポジションから3コマ目の畳み込まれた内足のように両スキーの面に荷重して行き、このような体が板に近づく意識が4→5コマのように体が谷に落ちていく動きに繋がります。
舵取りの時に板の上に乗ったまま何もしないとターン後半体も腰も回されて体は山側に押し込まれてしまいます。

6コマ目を拡大したのが左写真ですが、積極的に板をたわませて走らせる働きかけの結果内足がここまで畳まれています。この6コマ目のポジションを見ると上体が被っていると言う人が居ますが、上体の角度は3コマ目や4コマ目と変わっていないことから体を無理矢理被せているのではなく、全ての体の重さを両スキーに伝えて走らせようとする力の使い方の結果がこのようなポジションになります。

この6コマ目と同じターンマキシマムを後ろから見たのが右写真ですが、両スキーの面に向かってしっかりとウエイトが乗っているのが分かります。このあと両スキーが腰下にクロスインしてきて上体は谷に向かって落ちていきますが、上体が落ちていくためにはその前の舵取りで板の面に向かって力を掛け続ける意識がとても大切です。

切り換えが間延びしてしまう人、谷回りが上手く作れない人、谷回りで自分が落ちられないために板の方を押し出してしまう人、そのような方は舵取りで板に対し積極的に働きかけることが大切です。ただし、両スキーに対してポジションが適切に取れていないと舵取りの縮みでポジションはおかしな形に歪められてしまうので要注意です。