第七弾
この対局は先手Ｇさんのミレニアム（西田スペシャル）対後手アズーリの藤井システムからの四間飛車という戦い。第１図はその終盤戦。先手は歩切れで後手が駒得しておりここさえ凌げれば後手の勝ちは堅い。今、▲４一金と打ったところ。ここで私は△４五歩と香車を払った。自然な手に見えたがこの瞬間形勢は逆転した。ここでは△２一銀と打つのが正解で以下▲４二竜△同金▲同金△同玉の展開は後手がどうやっても勝ち。しかし、第一図で△４五歩とすると以下、▲４二金△同金▲６五桂打△同歩▲同桂△同馬（△５二玉は▲５三銀がある）▲同歩（第２図）。次に▲６四角とされると終わりなので△２二金と受けても▲６四角△５二玉▲３一銀とされ、△１二金なら▲４二角成が王手竜取りである（第３図）。この変化はうまくいきすぎだが、いずれにしても先手が流れに乗る。よって第一図の△４五歩で後手優勢から一気に先手優勢へと変わったのだった。だが、先手のＧさんはこの順に気がつかなかったのだ！第１図以下、△４五歩▲４二金△同金まではよかったのだが、▲６五歩としたのが敗着。以下△２二金▲同竜△同竜となり（第４図）、ここでＧさんが投了した。第４図での投了は早いようだが、先手からは攻め筋がないのである。よって、投了もやむを得ないといったところだろう。第３図と第４図を見比べてもらいたい。将棋というものはたった一手の違いでこんなにも形勢が変わってしまうのだ。
