★はじめに
海外の天文雑誌に目を通すと, 大口径ドブソニアンや大口径主鏡の広告をよく目にします.
いままで口径25cmで見てきましたが, なんとなく集光力が足りないということで, 少なくともその2倍くらいのものが欲しくなり, とうとう自作してしまいました.
★光学系の入手
価格や納期を調べるととても国内で調達する気にはなりません.
海外の天文雑誌を見ると, 放物面主鏡と平面斜鏡を作っている会社だけでも数社あるようですが, ネット上を探すと他にもあるようです.
それらを見て回った結果, Swayze Opticalに決めました.
当初は主鏡として20inch(約51cm)径で2inch(約51mm)厚を考えていたのですが,
22inch(約56cm)径で1.625inch(約41mm)厚にするとかなり割安で少し軽くできるようで, 22inch径で1.625inch厚にしました.
後に相手の手違いで2inch厚で作られてしまうのですが, 価格は変更無しとのことで,
22inch径の2inch厚の主鏡ということにしました.
主鏡は大きく重いのですが国際宅配便でも航空貨物でも送れるそうです.
自宅からは広島空港が近く自家用車で取りに行けること, 送料が安く上がることから, 輸送はDANZASの航空貨物となりました.
発注は約50%のデポジットと共に受け付け発送準備ができたら残りを清算ということで, 郵便局で50%相当額の国際送金為替を作成して注文しました.
Swayze Opticalは主鏡だけを製作・販売するので, 4inchの斜鏡をどこかで調達しないといけません.
一応Swayze Opticalに聞いてみると, DISCOVERYから取り寄せて貨物に同梱して送ることができるとのこと.
それならば, ということで同梱してもらいました.
コーティングは, 主鏡・斜鏡ともに以前より興味のあった反射率96%というEnhancedにしてもらったのですが, これが原因でコーティングに時間を要したため入手まで時間がかかりました.
Enhancedでコーティングできるところは限られるためそこでかなり待たされるらしいです.
そんなこともあり, 半年ほどしてから残金を支払い, 広島空港貨物ターミナルより到着の連絡を受け, 自分で通関し受け取りました.
最終的な価格のほうですが, 主鏡が2,985ドル, 斜鏡が235ドル, 送金手数料が2,500円(2回), 送料が167ドル, 通関の諸経費が434円, 消費税(国+地方)が18,300円, 全部合わせて383,098円でした.
★本体の製作
形は最近の流行ではなく, 自分の車に積めるように小型にするため, 主要部品は鉄やステンレスのパイプを使用して, トラス構造にしています.
設計はドラフターで図面を引きながらやってましたが, 描き切れないのでLinux機で使えるQCADというフリーウェアソフトを利用しました.
焦点距離は108.25inch(約2750mm)と聞いてたので, 前後の重量配分などを考えながら光学系が届かないまま並行して製作を始めました.
分解して容積が小さくなるようにと, 中間リング, 筒先リング, 筒底リング, トラス棒から構成されます.
接眼部はNGF-DX3, 手持ちのアイピースで最も重いものはPANOPTIC 35mmということで, ドブソニアンの耳軸から主鏡側は420mm, 斜鏡側が1955mm, 筒外引出しが371mmとしました.
筒先リングには斜鏡や接眼部がついています.
斜鏡は薄いステンレス板で張力をかけて支えるVane型です.
筒底リングには主鏡の18点支持装置が光軸修正装置を兼ねた3本のボルトで接続されています.
中間リングはほぼ重心位置にあって, 筒先と筒底のリングとステンレスパイプのトラス棒で接続します.
大きな部品はアーク溶接で, 小さな部品は銀ろう付けで接合しています.
アーク溶接は初めてで穴が開いたり熔け込みが少なかったりして苦労しましたが, 形にはなってるようです.
★架台の製作
オレンジ色のフォークは道路工事に使うバリケードでホームセンターで入手しました.
適度な大きさで安くて頑丈です.
水平回転は直径60cmの水平回転盤をそのまま使っています.
建材の48.6mmパイプを取り付け金具に溶接してボルトを締めて組んであります.
★ファインダー
大阪のOrbysから114mm主鏡と35mm斜鏡を買ってきて作りました.
主鏡と比較してある程度の大きさがあると導入が楽になります.
視野の向きが本体と同じなのでニュートン反射のファインダーは案外使いやすいものです.
本体の中間リングにクイックシューで取り付けます.
広視界アイピースと組み合わせて実視界4°で15.6倍です.
★運搬
主鏡は18点支持装置に組み込んで運搬しようと考えていましたが, 主鏡重量が24.5kgあるので, 主鏡が輸送されてきた箱に入れたまま運び, 現地で車載のジャッキで組み付けることにしました.
主鏡箱, 中間リング, 筒先リング, 筒底リングと積み重ねて車のトランクに積み込めます.
天頂付近を見るときは接眼部が高いので, そういうときに使う足場台, 寒い夜はコーヒーでも飲みたいのでコンロ等一式なども車に積み込んでいます.
観測地に到着して組み立てて観望できるまで20分, 撤収しはじめて車が出せるまで25分くらいです.
★おわりに
2000年11月4日にファーストライトを見ました.
主鏡は結局2inch厚になったので18点支持, 斜鏡は短径4inch厚さ3/4inchなので3点で貼り付け…としましたが, 星像を見た限りでは歪むことなく良い具合です.
UHCフィルター(眼視用干渉フィルター)を通して見た網状星雲は細かいところまで見え, Veil Nebulaの名のとおりです.
木星は縞が複数見える他, 細かいところまでとてもよく見えます.
木星を見ても恒星の焦点内外像を見ても光学系の精度は相当に良いように感じます.
なお, ホームページがありますので, ぜひご覧ください.