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#09 嘉木(かぼく)


カフェ・メモランダム、第9回目は嘉木(かぼく)。宇治産の茶葉を専門に扱う日本茶の有名店「一保堂(いっぽうどう)茶舗」が、1995年に京都・寺町通りの本店内に併設した喫茶室です。訪れたのは、ソメイヨシノが少々散り始めながらもまだ美しさを保っているころでした。
 
嘉木のある一保堂の本店は、京都・寺町通りでも、古美術店や紙問屋、古本屋、画廊などが立ち並ぶ、丸太町通りと二条通りとの間にあります。
お店は外観・内装ともに時代を感じさせるもの。なんでも、この場所に移ったのが1864年とのことなので、もしかしたらそれから建て替えられてはいないのかも知れませんね。
京都、というイメージと期待を裏切らない、古い佇まいです。マイチャリともなかなか調和しています(笑)。
 
「嘉木」の名は、陸羽の『茶経』の冒頭の一節、「茶は南方の嘉木(=良木)なり」というくだりに由来するそうです。喫茶室といっても、テーブルが4つあるだけの小さなスペースに過ぎず、この日は満席だったのでお店の中で少々待つことに。
ショーケースに並んだお茶や、お店の入って左側の棚に並べられた昔ながらの茶壷(左写真の奥)などを眺めながら、待つこと5分ほど。ようやく席につくことができました。
「嘉木」の中は、それほど装飾のない、シンプルな造り。煎茶・玉露のお客さんが多いと他のテーブルに大きなポットが立っていたりもするので(笑)、見た目がとくに良いということはないです。
  
今回は、お茶を楽しむ、というつもりではなく、プロに点ててもらった美味しいお茶で喉を潤したいという意図が強かったので、前回、Cafe Airの織立綺さんと来た時と同じ、お得な「濃茶」をオーダー。
(煎茶・玉露は淹れ方を教わりながら自分で淹れることになります。他は不明)

今回のお茶菓子は、「きょうかどう」というお店の「よしの」。恐らく「京華堂利休」のことだと思いますが、甘すぎず、可もなく不可も無くといった具合でした。
 
さて、濃茶です。使用されている抹茶は、裏千家御好の青雲(40g 3000円)。濃茶は前回(2002年11月初旬)ここで飲んだのが初めてだったのですが、今回もまだまだ新鮮味を持って味わえました。

ねっとりと練り上げられたお茶の中に、旨みが高濃度に凝縮しており、物理的には飲みにくいですが、非常に美味しいです。前回は文句なく美味しいと思ったのですが、今回飲んでみると、家にある美味しい紅茶なんかと比べて、あともう一味足りない気がしました。茶葉を丸ごと味わう以上、やっぱり茶葉のレベルが死活要素ですね。「嘉木」では、お店で扱っているどの茶葉でも飲めるようなので、もう1クラス上の茶葉を頼んでも良かったかもしれないな、と思いました。
 
濃茶を一口ちょっと残しておけば、それをお薄として点てなおしてくれます。
お薄になると、先ほどの濃厚なお味と比べると驚くほど淡白なお味になります。泡が心地よい感触を持っている一方で、苦味やいやな渋みというものは殆どなく、非常に飲みやすいです。

濃茶をお薄に伸ばしている訳ですから、順序が変わることは勿論ありえないのですが、味だけ取れば、まず淡白なお薄を先に飲んでから濃厚な濃茶を飲んでみたいなんて思ってみたり。
 
そして最後に口すすぎ(と言われた気がします)の焙じ茶。おまけで出てくるものとしては十二分です。甘く焙じられているのに、全然焦げくさくはないです。さすが老舗、という気が致しました。
 
濃茶、お薄、焙じ茶と、それぞれにタイプの違うお茶を楽しめ、茶菓子も1点ついてお値段は税抜き500円。そのうえ、どれも決して宇治茶の老舗の名を穢すことのない旨さです。癒しやくつろぎの空間としてのカフェではありませんが、とにかく水準の高い美味しいお茶で喉を潤したい時にはぜひ。
 
 
追記(2003/08/18)
別のお目当てのお店が見つからなかったので、17時の閉店間際の「嘉木」でちょっと抹茶を飲んでいくことにしました。17時ギリギリだったので「無理かも」と思ったのですが、快く迎え入れていただきました。

今回は、前回までの「青雲」ではなく、前から飲んでみたいと思っていた、1ランク上で、通常商品としては最高ランクの抹茶「雲門の昔」(40g 4000円)で濃茶を点てていただきました(茶菓子とセットで630円)。
 
今のRINにとっては、まさに文句の付け所の無い美味しさでした。前回、「青雲」を頂いたのは既にもう4か月も前のことなので、その違いが果たしてどの程度のものなのかはRINには正確に表現できませんが、それでも印象としては、「違う」と感じました。非常に高密度の旨み、甘味、そして、渋味という言葉では正しくは表現できていない、清々しく仄かな渋味。

「青雲」では、「家にある美味しい紅茶なんかと比べて、あともう一味足りない気が」したと、元のレポートでは記述してありますが、この「雲門の昔」のお濃茶を口の中で味わいながら感じたのは、「今、家にある一番美味しい紅茶でも、これ以上の高密度の旨みと滋味をもっているとは言えないだろうな」ということでした。香りも良かったですし、今まで、RINが飲んできた(茶葉ではなく)お茶の中では、点ててくださる方の技術の高さもあり、確実に最高レベルのものの一つだといえると思います。
(RINは出鱈目に高いお茶とか買わないですから、最高レベルって言ってもアレですが)

あとは、時節柄ということで、茶菓子が「葛まんじゅう」、最後の焙じ茶が冷えたものとなっていましたが、今回の目的は「雲門の昔」を試すことだったので、特段の印象はありません。
あ、焙じ茶は、温かい物の方が香気・お味とも、明らかに印象が良かったですかね。

「青雲」と僅か105円の違いで、相当に上質のお抹茶を味わうことができ、非常におトクだと思います。なので、注文するときには是非、「雲門の昔で」、もしくは「1ランク上の茶葉で」作ってと頼んでみてください。オススメです。
 
※注 ただ、誤解のないように補足しておくと、40g 4000円という価格のこの茶葉自体が、はたして「最高レベル」と呼べるものかどうかはRINには全く分からないです。京都の本当の地元の人に聞くと、何度かやはり「美味しいお茶というなら、一保堂さんよりも〜」という類のお話を聞いたことがありますし、仮にこの抹茶葉の質が比類なく高い水準だとしても、同等の水準のものをもっと安価に入手できるかも知れません。

あくまで、この追記の項目は、「雲門の昔」という抹茶葉に対してではなく、「嘉木」で気楽に親しめる、税込み630円(通常のものに+105円)の濃茶のセットに対するものとお考えください。点前も分からず、お茶会に参加したこともなく、現在「美味しい抹茶を点てることの出来ない」RINが、それほどの遠慮も入らず気軽に本格的な抹茶が楽しめる、そのような気楽さや630円という価格と、それらに対する相対的な味の水準の高さとを勘案したうえでの高評価・オススメであることをご了解ください。
 
 
追記2(2007/12/02)

上述の「雲門の昔」を使った濃茶は、この2007年12月現在で1050円、「青雲」の方は840円になっています。またお茶も、最後の焙じ茶はもう出てきませんでした。お店はかなり拡張されており、順番待ちはラクになったようですが、雰囲気・お得感は半減しています。まぁ、以前がお得過ぎただけなのですが。宣伝・普及活動の一環としてやっていた喫茶が完全に商売になってしまった、という感じでしょうか。
 
お店データ
所在地 〒604-0915
 京都市中京区寺町通二条上ル盤木町52番地
電話 075-211-3421(代)
FAX 075-241-0153
営業時間
(一保堂本店)
月曜日〜土曜日 9:00〜19:00
日曜日・祝日 9:00〜18:00
営業時間(嘉木) 11:00〜17:00
定休日 なし(正月を除く)
アクセス 京都市営地下鉄 東西線 京都市役所前 徒歩5〜6分
市役所の西側の通り(寺町通り)を北へ歩いていくとよいです。
ウェブサイト http://www.ippodo-tea.co.jp/
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Last Update: 2007/12/02


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