想い出の萌えグラフィックカード

PowerVRファミリー編


PowerVR

NECホームエレクトロニクス 1996年

NECとVideoLogicが開発した珍しい国産GPU(共同開発なんで国産とは言い難いが…)。今では3Dゲームなんて珍しくもなんともないが、これが出た頃は3Dゲームの創世記。しかも3Dゲームをプレイしたければ外来品のモノを買わなければならなかった。だが、そんなおり突如としてあのNECから待ちに待った国産3Dカードは登場した! しかも、日本のゲームメーカーひっさげて! NECと言えば9801で国産PCの一時代を築いたメーカー。それが3Dカードに参戦とならばこれからのスタンダードに違いないと誰もが思ったわけだ! 結果は言わずもがな。スタンダードにはなれなかったのである。
なにせPowerVRは初心者には優しくなかった。あくまで3Dカードであって3Dグラフィックカードではなかったのだ。どういうことかと言うとPowerVRは3D専用のアクセラレーターであり、画像の出力には別途2Dのグラフィックカードが必要だったのだ。しかも組み合わせる2Dグラフィックカードとの相性はかなり難しいもので、ある意味パズル状態(笑)。それに当時の3Dゲームというのは今みたいにDirectXのAPIが走れば、どんなグラフィックカードでも動くというわけではなく、それぞれのグラフィックカード専用だったのだ。たしかにPowerVRには国産ゲームメーカーが多数参戦していたが、それでも圧倒的なタイトル不足であった。
そんなPowerVRも後にPowerVR2となりSEGAのドリームキャストに採用され、ひっそりとその余生をおくったのである。

余談だが、実は私、コレを発売日に買ったのだ!しかも、買うために必死扱いてバイトして!何故かというと専用ゲームに我が愛しの「A列車で行こう」の最新作が入っていたのだ!だが、買ったはいいが当時の自作PC駆け出しの私は相性問題に苦しむことに。そしてやっとこ動いたのはいいが、なんとDirectX版のA列車で行こうが発表されてしまったのだ(汗)。

なんつ〜か人生の敗北感を味わった一品であった。

国産ちうことで和風黒髪に。
裏設定で、常に他のキャラの袖を引っ張ってます。だって他のグラフィックカードと組み合わせなくちゃならないし(笑)。
ちなみにPowerVRはGPUの名前であって製品じゃないのであしからず。製品名はPC 3DEngine。

 

画・ムラクモタケル

Kyro
ST Microelectronics 2000年

あのPowerVRが帰ってきた! 世間から淘汰され絶滅したと思われていたPowerVRはPowerVR2としてドリキャスの中で生き続けていたのだ。そしてPowerVR3に進化し、グラフィックカード「Kyro」として帰ってきたのだ! (正確にはPowerVR3アーキテクチャを「採用」したGPU)
PowerVRでは別途表示用に2Dグラフィックカードが必要だったが、Kyroでは3D、2D兼用になり弱点が克服された。まぁ出た時期を考えると当たり前と言えば当たり前だが。
なによりKyroと言えば、ちょっと変わった独自のアーキテクチャーだろう。なんと画面に表示されていない部分の演算は行わないという方法で演算の効率化を図っている(意外と知られていないがPowerVRにも搭載されている)。だが、それが裏目に出て動きの激しいFPSなどでグリグリ動かすとテクスチャの読み込みが間に合わずにワイヤーフレームが見えてしまうなんてこともあった(笑)。とは言え、当時のハイエンドグラフィックカードと互角に渡り合えるくらいの能力があり、値段はミドルレンジクラスと実はかなりお買い得なグラフィックカードであった。だが、残念なことにこの時代にしてはHardwareT&Lを搭載していないのだ。御陰でそれなりに高速なCPUを使わなければ力を発揮できなかったである。もし、HardwareT&Lが搭載されていたならば今頃、業界標準グラフィックカードになっていたかもしれない…。と思ったが、このグラフィックカード、不運なことにあまり売れなかったのである。なにせPowerVR時代の悪評の影響で「低品質グラフィックカード」というレッテルが貼られてしまい手を出す人が非常に少なかったのだ。

やっぱPowerVRの成長した姿なのかね。でもメーカー違うしそれは無い。
見えているところしか演算しない…つまり裸エプロンなのか!?
 

Kyro2
ST Microelectronics 2001年

大ゴケしてしまったKyroだが、めげずに帰ってきた! 今度のKyroは過激だ! なんてことはなく、タダのKyroの高クロック版(またしてもHardwareT&Lは搭載されていない)。とりあえず製造プロセスルールが0.25μmから0.18μmへシュリンクされたことによりクロックが向上した。パワーアップしたからには、今度こそバカ売れ! ってことはなく、いかせん出る時期が悪かった。なにせ同時期にRadeonやらGeforce3やらが登場し、世間の注目すら浴びれなかったのである。一応、出た当初はPowerVR信者によって売り切れ続出状態にはなったが他のグラフィックカードから比べれば数は知れている(汗)。
これを最後にST MicroelectronicsはGPUから撤退してしまい、Kyro2は最後のPowerVRアーキテクチャビデオカードになってしまった。だが、PowerVRが終わったわけではない! なんとSEGAが次世代アーケード基盤にPowerVRを採用するとアナウンスしているのだ! 更には携帯機器向けや組み込み機器用のPowerVRが開発されていたりする。そう、グラフィックカードでは振るわなかったが、表には出ないところでPowerVRは浸透しているのだ! つまり知らず知らずのうちにPowerVRを使っているなんて事があってもおかしくはないのだ。

結局のところオレってPowerVRが大好きなんだよね…。

勢いで書いただけなのでまだデザイン案はまだ無し。
 

PowerVRおよびPowerVRのロゴは、英国Imagination Technologiesの商標です。

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