中脳(VTA)のドパミン作動性ニューロンの変性がある。
その結果、相対的にコリン作動性ニューロンの活動の上昇が見られる。
1000人に1〜1.5人の罹患。50〜65才に発病し、ゆっくり進行する。
3主症状:akinesia(運動減少)、rigidity(筋緊張)、resting
tremor(静止時振戦)
大部分の原因は不明であるが、二次的には、ウイルス、外傷、中毒、血管障害、薬物の副作用などでも起こる。
遺伝性のものとして、若年性Parkinson病(AR-JP)と家族性の優性遺伝型Parkinson病が解析されている。
前者は、比較的症状が軽度で、黒質DAの変性は見られるが、Lewy小体はない。この原因遺伝子(parkin)は
第6染色体上にあり、ubiquitin ligase活性を持つ。
後者の原因遺伝子は、4番染色体上のα-synuclein遺伝子で、それに変異があると報告されている。
|
運動制御の主経路は、1)大脳皮質->線条体->淡蒼球->視床->皮質である。 |
アメリカで、自分で合成した合成ヘロイン(pethidine)を注射した学生がParkinson病になった。
合成ヘロインのby-productである methy-phenyl-tetrahydopyridine(MPTP)
がParkinson病を引き起こすことが
分かった。MPTPは、グリア細胞のミトコンドリア外膜にあるMAO-Bにより酸化されMPP+となりDA
transporterにより、
ドーパミン神経に特異的に取り込まれて、ラジカルとして作用し、ミトコンドリア呼吸鎖阻害、膜電位消失、
各種酵素の活性化などにより、ドーパミンニューロンの変性を引き起こす。
DAの補充をするか、相対的に強くなったAch作用を抑える。
|
分類 |
作用別 |
薬物 |
解説 |
|
ドパミン作動薬 |
生合成促進 |
levodopa |
DAの前駆体で、dopa decarboxylaseによりDAとなる。 |
|
levodopa +carbidopa |
carbidopaは、dopa decarboxylaseを阻害するために、 |
||
|
遊離促進 |
amantadine |
DAを遊離させる。NMDA受容体阻害作用あり。振戦の初期には有効。 |
|
|
受容体刺激 |
bromocriptine |
ergotamine誘導体である。DA受容体を直接刺激する。pergolideとcabergolineは心弁膜障害と心肺後腹膜繊維症の副作用が報告されており、第一選択薬としない。 |
|
|
pramipexole |
non-ergotamine系で、DA受容体を直接刺激する。ドパミン作動性神経に保護的に作用し、病態の進行を抑制。 突発的睡眠や傾眠がある。 |
||
|
MAO阻害 |
selegiline |
MAO-Bを選択的に阻害する。levodopaで効果不十分な時に用いる。 |
|
| COMT阻害 | entacapone | COMTを阻害することにより、levodopaの半減期を延長する。levodopa・carbidopaと併用すると、効果発現時間が長くなり、wearing-off現象を改善する。 | |
|
抗コリン薬 |
ムスカリン |
trihexyphenidyl |
末梢作用が弱い。振戦に有効。 |
|
biperiden |
上記に同じ。 |


trihexyphenidyl
Dopamineは、BBBを通過できないので、前駆体でDOPAを用いる。
DOPAはdopa decarboxylaseの作用でDAになる。
dopa decarboxylase阻害薬のcarbidopaと併用することにより、L-Dopaの使用量を減らすことができる。
経口投与で、DOPAの10-20%が血中に入り、脳内へは1%が入る。末梢でもdopa
decarboxylaseにより
DAができるので、低血圧、頻脈、不整脈が生じる。
5年間の治療で、半数は効かなくなる。
up and down:症状の改善と増悪が日内変動する。
wearing off (end-of-dose
akinesia):突然薬効がなくなり、akinesiaがでる。
on and off:突然効かなくなり、症状が悪化する。
副作用
1) 悪心、嘔吐、食欲不振:嘔吐中枢の刺激による。
2) 起立性低血圧
3) 精神症状として、焦燥感、抑鬱、錯乱、幻覚がでる。
4) 異常不随運動
禁忌:MAO阻害薬との併用は禁忌。VB6と併用しない(dopa decarboxylaseを活性化する)。
b.ドパミンアゴニスト(dopamine agonists)
第二世代のドパミンアゴニスト(pramipexoleなど)が開発され、L-Dopaに比して効果は
弱いが、持続時間が長く安定している。これを使用することにより、L-dopaの運動合併症の
発症を遅らせることができる。しかし、最近、pergolideとcabergolineには心弁膜逆流障害と
心肺後腹膜繊維症の副作用があることが報告され、第1選択薬から外された。
ドパミンアゴニストの効果が不十分になれば、L-Dopaを追加する。
副作用として、突発的睡眠、妄想、せん妄などがある。
c.trihexyphenidyl
末梢作用の弱い中枢性抗コリン薬である。振戦に効くが、筋緊張や運動減少には効かない。
副作用として、中枢作用では:錯乱、妄想、幻覚、せん妄など。
末梢作用:口渇、散瞳、悪心、動悸、排尿困難
Parkinson病におけるLewy
body(レビ小体)について
α-synucleinは、Torpedo(電気なまず)の発電器官を支配するコリン作動性神経のシナプス小胞
から単離されたもので、核にも分布しているので、synucleinと命名された(1988)。
1993年にAlzheimer病のamyloid斑から単離されたNACと同じものであった。α-synucleinは、Lewy小体に
ubiquitinと共に多く含まれている。1997年に、遺伝性Parkinson病の原因遺伝子がα-synucleinであり、
点変異がA53Tにあることが明らかにされた。さらに、α-synucleinをマウス脳に過剰発現させると、
黒質や皮質でLewy小体の蓄積が見られ、運動障害も生じた(2000)。
|
α-synuclein(αSp16)は、synphilin-1(synph1)と強く結合しており、糖鎖付加を受け |
α-synuclein(αsyn)の細胞毒のメカニズムを調べた。αsynは小胞体(ER)-Golgiの蛋白輸送を
阻害することが分かった。このステップで、αsynの細胞毒性と関連している蛋白としてRab GTPase
を同定した。Rab GTPaseを、αsynを発現させたニューロンに導入すると、細胞死が抑制された。
以上より、αsynとER-Golgiの結合による細胞障害作用をRab GTPaseが抑制することが示された。
(Cooper, A.A. et al., Science 313, 324, 2006)
Download for Acrobat
Reader
(2008/3/10)