「それじゃ、わたる。最後のレッスン3は食事の与え方よ。」
「え???」
「ケガ人は自分で噛めないほど体力が落ちていることもあるわ。
そういう人にはわたるが噛んでから口移しで与えるのよ。」
「でぇ〜〜??口移し!!??」
「はい、わたる・・・。き・・・て。」
そういって私はベッドに横たわり、目を閉じたのです。
いつものように・・・。
今になって思えば、目を閉じてから随分時間が経ったような気もしました。
もちろん目を閉じている私にわたるの表情などわかるはずもなかったのです。
「で、では・・・。」
わたるはそういうと、私の唇にそっと唇を当ててきました。
「ん・・・んん。」
あぁ、またわたるとキスを・・・。
最初にキスしたのはいつだったかしら・・・?
苦手なトマトを食べさせようとしたとき・・・?
ん・・・ちがう・・・
これはキスじゃない・・・
口移しなのよ・・・
私ったらまたヘンなこと考えて・・・
「ん・・・ちょ、ちょっと、わたる!?」
わたるの肩に手を当て、距離を取る。
気がつくとわたるの手が私の胸を包むように・・・。
「わ、わたる。ちょっとどういう・・んっ・・!?」
わたるは私の口を閉ざすかのように強引に唇を押し付けてきました。
「ん・・・(ちょっとわたる!?)」
あまりに突然のことに、体が小刻みに震える。
そして今度はわたるがゆっくりと距離を取ります。
気がつくとわたるの表情は、いつもとは明らかに違います。
今まで見たこともない真剣なまなざし。
「センセー・・・オレ、センセーが好きだ。」
「わ、わたる・・・。こ、この手を離して・・・。」
私・・・声も震えてる??
「オレ、今度キスするチャンスがあったら言おうと思ってたんだ。」
「わ、わたる・・・これはキスじゃなくて・・・
そ、そう!ケガ人に食べさせるための・・・ん・・!?」
もう一度わたるは強引に唇を押し付けてきます。
わたるは私にしゃべらせてくれない・・・
でも、わかってるんです。
私がわたるの聞きたいことをしゃべっていないだけ・・・。
わたるは今私に告白しようとしている・・・
ひょっとするとそれだけではないかも・・・??
「わたる。どういうつもり?」
「だから言ったろ。センセーが好きだって。」
「そんなこと急に言われても・・・ちょ、ちょっと!」
わたるは私の胸を頬張ります。
「ちょ、ちょっとわたる!くすぐったい・・・」
「あ・・・ん。」
我ながら敏感な体に、思わず声が出る・・・
わたるが? 私のことを?
「ああ・・・。」
くすぐったい・・・?
胸をなめられたことは初めてじゃない。
今までにも何回もあったのに・・・
でも、いつもとは違う・・・
私・・・感じてる??
吐息が漏れる・・・。
「センセー。」
「ん・・・わたる・・・。ダメよ。」
「え〜?なんで?今までにもこんなことしたことあるじゃん。」
「そ、そういうことじゃなくて・・・あっ・・ん。」
「オレ、センセーの気持ちが聞きたいな。」
わたるは乳首をもてあそぶ。
「わたる・・・そんなことしちゃ・・・」
「感じてきた??」
「バ、バカ!そんなこと・・・」
「オレずっと思ってたんだ。いつかセンセーとエッチがしたいって。」
遂に本音を言ったのでしょうか。
私の胸をもてあそぶ手は止まり、私と並ぶように横たわりました。
「なんで私のことを・・・?」
「なんでっていわれても・・・。
でもセンセーもオレのこと悪く思ってないかな〜なんて。」
「わたるのことを・・・?」
「うん。だっていつも恥ずかしがりながらもいろいろ教えてくれるし。」
「それは・・・」
「うん、わかってる。オレのために、ってことでしょ?」
「そうよ。わたるのためを思って我慢して教えてるんじゃない。」
「ホントにそれだけ??」
わたるがからかうように問い掛ける。
私がわたるを・・・?
そんなこと考えたこともなかった・・・
わたるは再び体を起こし、わたしの胸に手をのせます。
「でもセンセーも気持ち良かったりするんじゃない?」
「そっ、そんなことないわよ!くすぐったいだけで・・・」
「本当に??」
そういうとわたるは乳首を口で転がすように・・・
「あ・・・ん、わたる!」
さっきまで左の胸に触れていたわたるの手は・・・??
「あ・・・・」
パンティーに手がかかる。
「センセー、ひょっとして欲求不満なんてことは・・・」
からかうような口調でわたるが口を開く。
欲求不満??
「わ、わたる、そこは・・・」
「な〜に??」
私が欲求不満??
「ダ、ダメよ、わたる!」
「え〜、今までだって何回も脱がせて〜って言ってたじゃん」
たしかに大学生にもなって彼氏もいないし、
もちろんエッチなことだって・・・
「それとこれとは・・・」
「オレからすりゃ同じだよ。」
じゃあ、なんでわたるにはここまでしてあげられるの??
「あれ?センセー、パンティーが・・・」
「そっ、それはさっきの薬品代わりのお水で濡れてるだけで・・・」
わたるにだったら見せても平気なの??
見られても触られても平気なのは何故??
「え?別に濡れてるなんて言ってないけど・・・。」
「・・・・・・・」
ああ、私・・・濡れてる・・・
感じてる・・・
「パンティー・・・脱がすよ。」
「あ・・あぁ・・・」
言葉が出ない。
私は欲求不満???
私は欲求を満たすために個人教授を??
「センセー、オレも脱ぐね。」
「・・・・・」
わたるのためなんていっておきながら 自分の性欲を満たすために・・・???
私の性欲のためにわたるにこんな思いを・・・??
「センセー!」
わたるの胸が私の胸を押しつぶす・・・
なんて野性的なキス・・・
わたるの舌が口の中を漂う。
「ん・・・んん・・・」
私の腕はいつの間にかわたるを包んでいました。
前々からわかっていたのかもしれません。
くすぐったいんじゃない。
気持ちいい・・・。
「センセー・・・」
「ん・・・わたる・・・」
「センセー、いい??」
「うん。わたる・・・ゴメンね。」
「え?ゴメン・・・って??」
一瞬不安そうにわたるの表情が陰る。
「そうじゃないの。」
「え??」
「なんでもない。」
わたるの背中に回した両腕できつく抱きしめてみる。
「ありがとう、そしてゴメンなさい、わたる。」
「え?よ、よくわからないよ、センセー」
「気にしないで。続けて・・・。」
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初めての体験と緊張感でよほど疲れたのでしょうか・・・
わたるはもう寝息を立てながら泥のように眠っています。
これから私たちはどうなっていくのでしょうか・・・。
そもそも自分の気持ちをはっきりさせないまま
体を許してしまった私は、いったいどうすれば・・・
体を許したことで私の気持ちが伝わったのでしょうか・・・
自分では認めたくなかったもう一人の自分を
わたるは教えてくれました。
私はわたるを好きなのかどうか、まだわかりません。
でも、感謝しています。
「ありがと、わたる。でもこれでいつでもエッチができるなんて思っちゃダメよ。」
聞こえてないとわかっていながらも声をかけ、
額に軽くキスをして部屋を後にしました。
(完)
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