自作・改造望遠鏡・ペルチェ冷却実験


実験1(電子冷却のはずが?)
秋葉原で簡単に入手できる、千石電商のペルチェ素子を使って電子冷却の実験をやってみた。

・購入機器
  ペルチェ素子(T150-40-127S)
  デジタル温度計(-40℃~50℃)
  放熱フィン(40×40×20)
  熱伝導テープ(40×40)

ペルチェ素子に熱伝導テープを張り、放熱フィンを取り付けて実験開始。

 開始   23℃
 15秒後  18℃ お!いい調子
 30秒後  22℃ あれ!
 60秒後  24℃ 戻った??
 120秒後  35℃ 加熱している??

その後どんどん温度が上がり、50℃を超えて温度計がエラー。放熱フィンを触ってみるとアッチッチ!

どうやら放熱が足りなくて、放熱フィンにこもった熱が逆流して冷却側に流れているようだ。電圧が高すぎるのかな?

実験2(電圧可変)
自然冷却でも、電源電圧を低くすれば冷却するのでは? と電圧切替式のACアダプタを使用して再チャレンジ。

・購入機器 : ACアダプタ(3, 4.5, 6, 7.5, 9, 12V切替式)

 開始  温度 23℃
 電圧3.7V 1分後 15.0℃  2分後 12.5℃  3分後 13.4℃
      4分後 15.0℃  14分後 23℃

 電圧5.0V 1分後 12.5℃  2分後 11.5℃  3分後 13.9℃
      4分後 15.7℃  8分後 23℃

 電圧6.0V 1分後 15.8℃  2分後 12.3℃  3分後 14.2℃
      4分後 15.4℃  6分後 23℃

 電圧7.0V 1分後 15.0℃  2分後 12.6℃  3分後 15.6℃
      4分後 20.4℃  5分後 23℃

電源電圧を下げたら2分後ころに最低温度になるが、放熱不足のためその後徐々に温度が上昇しまうようだ。

実験3(強制空冷1)
今度こそは安定した冷却!と、強制空冷のファンを着けて再試行。

・購入機器 : CPU冷却ファン
        (i80486用ジャンク品)

CPU冷却ファンに付属の放熱フィンが小さいため、ファンのみを外して仮止めの状態でテスト開始した。

 開始温度 23℃     冷却後の温度
 電圧4.8V 電流1.0A 最低:6.7℃ 最高:7.5℃

 電圧6.0V 電流1.2A 最低:6.4℃ 最高:6.7℃

 電圧7.0V 電流1.4A 最低:5.8℃ 最高:6.2℃

 電圧8.4V 電流1.4A 最低:6.5℃ 最高:7.0℃
 (過負荷で電流増えず)

電圧6V程度が一番安定しており、10分以上の間に0.3℃程度しか変動しなかった。現状の放熱フィンと冷却ファンでは、5~6Vで使用するのが最も効率的なようだ。

実験4(2段冷却その1)
ペルチェ2段冷却では放熱側の能力が不足すると考え、ファンをもっと強力な物に変更してみた。

・購入機器
  ペルチェ素子(T150-40-127S)
  12Vファン(40×40×30)

まずは、放熱側のペルチェ素子にのみ電圧をかけ、温度の下がりかたを実験してみた。

 開始温度 24℃     冷却後の温度
 電圧8.0V 電流1.2A 最低:8.8℃ 最高:9.5℃

温度は、冷却側のペルチェ素子で測定したので、動作していないペルチェ素子をはさんだ状態としてはそこそこ冷却している。

この状態から、冷却側のペルチェ素子にも電圧をかけてみた。

 1段冷却温度 9.0℃   冷却後の温度
 電圧4.0V 電流0.8A 最低:-0.3℃ 最高:0.3℃
 電圧4.8V 電流1.0A 最低:-1.6℃ 最高:-0.1℃
 電圧6.0V 電流1.2A 最低: 1.0℃ 最高:???℃

4.8Vの時、なんとか室温マイナス25℃まで冷却できたが、もっと冷却しようと6.0V以上の電圧をかけると温度が上昇し始めた。

2段冷却では冷却側の吸熱とペルチェ素子の消費電力による放熱の和が放熱側のペルチェ素子に伝わるため、1段では最も冷却できた8.0Vのまま2段目を稼動させると放熱不足になってしまうようである。

次に、常温から同時に2枚に電圧をかけてみたが、各々の電圧を4Vから8V程度まで変えていろいろな組み合わせで実験したが、今度はどうしても3℃程度までしか冷却できなかった。

結露した部分が白くなっているので、局部的には0℃以下になっていると思われるが・・?

実験5(2段冷却その2)
実験6では結露の影響もあって0℃前後までしか下がらなかったことから、今回は室外で実験してみた。

まずは、放熱側のペルチェ素子にのみ電圧をかけ、温度の下がりかたを実験してみた。

 開始温度 4℃     冷却後の温度
 電圧8.0V 電流1.2A 最低:-6.0℃ 最高:-5.5℃

温度は、冷却側のペルチェ素子で測定したが、今回は外気温が4℃のため簡単に氷点下になった。

この状態から、冷却側のペルチェ素子にも電圧をかけてみた。

 1段冷却温度 -6.0℃  冷却後の温度
 電圧4.0V 電流1.0A  -10.5.0℃
 電圧4.8V 電流1.0A  -12.0℃
 電圧6.0V 電流1.2A  最低: -15.0℃ 最高:-12.5℃
 電圧7.0V 電流1.4A  -11.5℃ 最高:???

電圧6.0Vの時、最低温度-15.0℃まで冷却できたがその後徐々に温度が上がり、-12℃程度で落ち着いた。

今回の実験では外気温マイナス19℃まで冷却できたことになり、室内での実験の時の外気温マイナス25℃にはおよばないが、そこそこの結果となった。

ただし、最低温度から3度程度上がったところで温度が安定したので、その温度を冷却温度と考えると外気温マイナス16℃となり、室内でのペルチェ素子1段程度の冷却にしかなっていない。

今後は、いろんな外気温での実験を重ねると共に、放熱やペルチェ素子間の熱伝導にもっと気を使ってみる必要がありそうだ。

実験6(2段冷却その3)
これまで使用したペルチェ素子より小形の物が入手できるようになったので、今回は能力の異なるペルチェ素子の2段冷却を実験してみた。

まずは、放熱側のペルチェ素子にのみ電圧をかけ、温度の下がりかたを実験してみた。

使用したのは、T150-40-127S(QMax: VMax: IMax:)とT150-40-127S(QMax: VMax: IMax:)の2種類である。

 開始温度 27℃
 電圧6.0V 電流1.5A 冷却後:-2.7℃

今回の実験では、電圧6.0Vで室温マイナス30℃程度まで冷却できたことになり、開放状態のテストとしては満足できる結果になった。

今後は、いろんな外気温での実験を重ねると共に、放熱やペルチェ素子間の熱伝導にもっと気を使ってみる必要がありそうだ。