わ行でし!(その1)
「若い時の心労は買ってもせよ」でし
『若い時の苦労は、お金を払ってでもするべきである』という事でし。
ところが、太助しゃまはお金なんかはらわなくったって、毎日苦労してるんでしね。
ある時はキリュウしゃんの試練に耐え・・・。
「主殿、試練だ。」
「うわああ!ちょ、ちょっと待ったー!!」
またある時はルーアンしゃんの攻撃をかわし・・・。
「ねーん、たー様ぁん。」
「だから、ひっつくなって!」
この間、太助しゃまのおとうしゃんからお手紙が届いたでし。
≪太助、父さんが送った骨董品は役に立ってるか?
また珍しい物を見つけたら送ってやるからな。はっはっは。≫
「・・・親父。親父のせいで俺は苦労が絶えないんだぞー!!」
太助しゃま、若いうちにどんどん苦労してくだしゃいね。
「わが上の星は見えぬ」でし
未来のことについて突撃インタビューでし。まずシャオしゃま。
「この先どうなるか?うーん、そんなの私には分からないな。
時代を行き来できる南極寿星も、未来のことは分からないだろうし。
難しいな・・・。」
どうもでした。次はルーアンしゃん。
「はあ?ごみちびのくせにすごいこと聞いてくるわね。
もちろん決まってるでしょ。たー様とあたしが結ばれて・・・と成ったら良いわねえ。
そう思いたいんだけど、こればっかりは分からないものね。」
はい、ありがとしゃんでした。次はキリュウしゃん。
「難しいことを聞いてくるな。はっきり言うと、
これからどうなるなどという事は誰にも分からないだろうな。
私に言えるのはそれだけだ。」
さすがキリュウしゃんらしい意見でしね。
『誰でも、自分の運命を予見しえない』という事でし。
運命は自分で切り開くものでし!
「・・・離珠、それは合っているようで少し違うんじゃ。」
うっ、そういえば太助しゃまを忘れてたでし。
予想外の展開でしね、これは。
「我が田への水も八分目」でし
ぴんぽーん
という呼び鈴の音と共にやって来たのは出雲しゃんでし!
例によって御菓子のお土産つき。今回はうすかわまんじゅうでし!!
というわけで、離珠もルーアンしゃんもご機嫌なんでしよ〜。
「ああーん、このうすかわまんじゅうおいしすぎるぅ〜ん。」
ちゅわ〜ん。やっぱり出雲しゃんのおかあしゃんはてんしゃいでし〜。
「相変わらずですね、二人とも。それにしても何故シャオさんが留守なんでしょう・・・。」
「だから言っただろ、太助と一緒にでかけたんだよ。な、キリュウ。」
「う、うむ・・・。」
そう。今家にいるのは那奈しゃん、キリュウしゃん、ルーアンしゃん、離珠の四人でし。
え?何故離珠が太助しゃま達の傍に居ないかって?
那奈しゃんが出掛けに言ったんでしよ。“離珠は置いてけ”って。
なんだかすごい剣幕に見えたようで、太助しゃまとシャオしゃまはそれに従ったんでし。
離珠にはあんまり意味がわからなかったんでしが・・・。
で、キリュウしゃんは妙に照れてる、ってところでしかねえ。
「まったく・・・。このおまんじゅうも全てこの二人によって食べられてしまうんでしょうかね・・・。」
出雲しゃんが呟いたそのとき、でし。
「ごちそーさま。いくらなんでも全部食べないわよ。あたしはこの辺で遠慮しておくわ。」
と、ルーアンしゃんが食べるのをやめたんでし。
これは!と思って、離珠も食べるのを止めたわけなんでしね。
まあ、欲張って食べるのもあんまり良くないでし。
第一、二人で全部食べてしまうと後で何を言われるやら・・・。
『欲もほどほどにせよ』という事でし。
「謙虚だな、良い事だ。」
「えっへん。キリュウ〜、もっと誉めて〜。」
キリュウしゃんにそんな事要求してどうしようってんでしか。
「・・・誉めるほどの事か?どっちにしろ人数分残ってないじゃないか。」
「確かに。一個だけ残すのは逆によろしく無いですよ・・・。」
那奈しゃんと出雲しゃんは渋い顔で箱を見つめてたでし。
二人とも欲張りでしねえ。
「離珠殿、それは違う・・・。」
びくぅ!?まさか心の中を読まれたとか・・・読心術でしか!?
「若気の無分別」でし
ある晩のことでし。
太助しゃまのお部屋で、太助しゃまと那奈しゃんがお話をしてたんでし。
「なあ太助、おまえってまだ14歳なんだよな。」
「ああそうだけど・・・それがどうかしたのかよ。」
「若いよなあ。」
「へ?あ、ああ、まあ。」
「それだけ若いと、結構今までに失敗とかしてんだろうな。」
「失敗って・・・。普通誰でも失敗とかするもんじゃないのか?」
「何言ってんだ。おまえ、シャオと二人暮ししてた時があったんだろ?」
「ええっ!?い、いや、まあ、うん。」
「そんな時に早まってお風呂覗きに行ったり。」
「ちょ、ちょっと待てって!そんな事してないってば!」
「覗くだけで飽き足らず、ついには寝こみを襲ったり・・・。」
「だからそんな事はしてないっていってんだろーが!!」
「いやあ、若いって大変だよなあ。太助、もうちょっと冷静になれよ。」
「待て―!!俺はそんなやましい事はしてない―!!!」
「さてと、話す事はこれだけだ。はやまんなよ、男の子!」
「人の話を聞け―!!俺はやってない―!!!!」
・・・一体何なんでしか。良くわかんない話だったでし。
とにかく、『年若いために血気はやって冷静さを欠く』という事でし。
うーん、良く考えたらあんまり分かりやすい例じゃなかったでしねえ。
ちょっと選択を誤ったようでし。失敗失敗、でし。
「我が好きを人にふるまう」でし
「あたしはむちゃむちゃ辛い麻婆豆腐が好きなんだからね!
シャオリン、すっごく辛くしてね〜。」
というルーアンしゃんの言葉そのまんまでし!
『人は、自分の好きな物は人も好きだと簡単に思い込んで、これを人に振る舞うものである』という事でし。
けれども、キリュウしゃんは辛いものが苦手でし。
人の好みは色々だから、迷惑になることもあるでし。
だから、自分の好きなものを押し付けてはいけないんでし!
「離珠殿・・・。」
おやキリュウしゃん。キリュウしゃんもそう思うでしよね?
「ルーアン殿の場合は意地悪で言ってくるのだが。」
そうなんでしか?でももう例に出しちゃったでし。
「更に言うなら、押し付ける以前に料理を作るのはシャオ殿ではないのか?」
今更そう言われても困るでし。・・・はっ!
キリュウしゃん、間違いを正すのが好きなんでしか!?
それを離珠に押し付けられても迷惑でし!
「何故そんな話になるんだ・・・。」
「わが身をつねって人の痛さを知れ」でし
「うおおお!!うわっ!」
走っていたたかししゃんが、勢い余って壁に激突!
しかしクラスのみなしゃんは“またか”といった顔で見てたでし。
たかししゃんていっつもこんな事してるんでしか?
でもシャオしゃまだけは違ったでし。
「たかしさん、大丈夫ですか?」
と駆け寄ったでし。たかししゃんは、
「ああ、シャオちゃんありがとう・・・。」
と涙を流してたでし。さすがシャオしゃまはやさしいでしね。
『何事も自分の身と比べてみて、
人の苦しみに思いやりを持たなくてはいけない』という事でし。
シャオしゃまみたいに、いっつも他人を思いやる心は大切でしよ。
「我が物と思えば軽し笠の雪」でし
ある日、キリュウしゃんが太助しゃまとお話をしてたでし。
「主殿、少し尋ねたいのだが・・・。」
「どうしたんだよキリュウ、深刻そうな顔しちゃって。」
「主殿は、試練がつらいと思わないのか?」
それを聞いて太助しゃまは目を丸くしたでし。
当然でしねえ、今更こんな事を聞かれたんでしから。
「つらくない・・・なんてことは無いけど、どうしてまた?」
「いや、なんとなく・・・。」
重い返事をするキリュウしゃんに、太助しゃまは明るい声でで言ったでし。
「キリュウ、キリュウが試練を与えているのって、俺のためにやってることなんだろ?
だからそんなに深く考えること無いって。俺はつらいなんて思わないからさ。」
「・・・ありがとう、主殿。」
そしてキリュウしゃんは笑顔に戻ったでし。
『自分のためになると思えば、それほど苦にならない』という事でし。
太助しゃまにとっては、試練なんてへっちゃらって事でしね。
「涌く泉にも水涸れ」でし
『どんなにたくさんある物でも無くなる時はある』という事でし。
「こんなの嘘よ!」
そうでし!
「だって、キリュウに物をおっきくして貰えば良いんですもの!」
そのとおりでし!
「というわけでキリュウ〜。」
最後のいもようかんなんでし〜。
「断る。」
「なによ、ケチねえ。」
まったくでし。
「だから何度も言ってるように、私の力はそんな事の為にあるのではない!」
「わざくれも三年」でし
さあて、このことわざの意味は・・・。
「宮内のことじゃないかな。うん、多分そうだろう。」
ちょちょちょ、ちょっと那奈しゃん。ここは離珠が解説するんでしよ。
「最初あいつと太助が会ったときは、そりゃあ災難だったろうからな。
なんたってシャオを狙うというふとどきものなんだから。」
那奈しゃん!そこまでにするでし!
「でもまあ、うじうじしているあいつにとっては良い刺激になってるかもな。
宮内の存在のおかげで、シャオの事をちゃんと考えるようになってきたみたいだし。」
えう―、人の話を聞くでしよー。
「・・・とまあ、だいたいそういうわけかな。なんとなく意味的に引っかかってるだろ。」
ああっ!言うだけ言っといて去っていくなんて酷いでし!
『災難も、三年も経てば良いことの基になることがある』という事でし。
それにしても、出雲しゃんの言う通り、那奈しゃんはちっとも人の話を聞かないでし。
・・・あっ、離珠の声は聞こえないんでし。うう、大失敗でし。
「わざわいは下から」でし
『もめごとは召使などの心はしたない言動が元で起こる事が多い』という事でし。
「離珠にぴったりの言葉だな。」
虎賁しゃん、それはどういう意味でしか!
「ことわざ解説なんてしようとするから揉め事が、だよ。」
虎賁しゃんのそういう言動も当てはまってるでし!
「なんだと?おいらは事実を言ったまでだ!」
なんでしと〜!?
「二人ともやめなさい!
まったく、どうしてそんな喧嘩なんかするの・・・。」
騒ぎを見つけたシャオしゃまに、二人そろって怒られてしまったでし・・・。
虎賁しゃん、なるべく仲良くしようでし。
「そりゃそうだけど・・・なんか今回のは納得いかねーなー。」
「禍を転じて福となす」でし
災難と言えばこの人、七梨太助しゃまでし!
「離珠・・・。もうちょっと表現の仕方ってもんがさ・・・。
ま、いいや。親父にいろんな物を送りつけられてる俺って、災難の塊みたいなもんだよな。
しかし!大事な家族が増えて、それなりに幸せだぜ。
なんといってもシャオに会えたしな。それに・・・」
は〜い、ここまででいいでし。
『身に降りかかって来た災難を、幸福へつながるように努力、工夫する』という事でし。
努力とはちょっと違うでしが、とにかく幸せいっぱいの太助しゃまでした。
「・・・ちょっと二人とも、それって少し意味が違うんじゃない?
慶幸日天のあたしが言うんだから間違いないわよ。」
うるさいでしね、たまにはこういう事もあるでしよ。
「“たま”じゃなくてほとんど毎回じゃないの?」
そ、それでは皆しゃん、また今度でし〜。
「和して同ぜず」でし
・・・これはとっても難しい事でもある気がするでし。
という訳で、翔子しゃんをゲストに呼んだでし。
「あたしだけじゃあ役不足だろう。という訳でおにーさんも呼んだぜ。」
なんと!!それはそれは結構な事でし。
出雲しゃんが居ればもうばっちりでしね!!
「私を信頼してくださるのはありがたい事なんですが、私に何をしろと・・・。」
「あれ?おにーさんじゃ駄目なの?」
離珠も同感でし。出雲しゃんこそぴったりじゃないんでしか?
「私は別に全員と仲良くしてるわけじゃないですし・・・。」
「そういやあ男性には冷たいもんな。ちぇ、駄目駄目じゃん。」
がっくりでし。
「わざわざ呼ばれたのにそうきますか・・・。まあ否定はしませんが。」
「うーん・・・難しいから止めだ!!という訳でさいなら。」
「ちょ、ちょっと翔子さん。ここで帰っては意味がありませんよ。」
そうでしよっ。なんとか三人で頑張るでし!
「とはいってもなあ・・・。近くにいい例が居ないじゃんか。」
「それだけ皆さん、まだまだだって事ですよ。他人と同調しつつ、自分の考えをしっかり持つ人。
私達の近辺に限らず、なかなか居ないんじゃないでしょうか?」
出雲しゃん・・・。離珠が言うべき箇所をちらりと言うのはやめて欲しいでし。
と、とにかく!『優れた人格の人は、周りの人々と争うことなく仲良く付き合うが、
自分の意見をしっかり持っているので、
いいかげんに考えを曲げたり調子を合わせたりしない』という事でし。
「うーん、頭が痛くなってきた。やっぱ止め。」
「しょうがないですね。適任者が居ないのでは。」
という訳でここで終わりでし。考え出すと止まらなくなるでしからね。
「鷲と雀のすね押し」でし
『てんで相撲にならない事の例え』という事でし。
実際に鳥しゃん同士で相撲をしてもらうでし!
まずはキリュウしゃんのお友達の文しゃん!!
「わざわざしなくても・・・。それで、文殿の相手は誰だ?」
これから登場するんでしよ。
星神の天鶏しゃん!!そして颯爽と登場でし〜。
「却下だ。」
早々とキリュウしゃんは文しゃんをひょいっと連れ去ろうとしたでし。
なんてことするでしか!!何故却下なんでしか!!
「文殿を焼き殺すつもりか!?」
試練だということでのりきれないでしか?
「とにかく却下だ!!」
えうー・・・。本当に相撲にならなかったでし。
「離珠、そりゃあキリュウさんだって怒るわよ。
それより、どうして天高にしなかったの・・・。」
「わだちのふな」でし
今日は離珠一人でお留守番でし。
・・・おやっ、こんな所に離珠大好物の薄皮饅頭があるじゃないでしか!
きっとシャオしゃまが、離珠のおやつにと思っておいていってくれたんでしね。
さっそくいただくでし。もぐもぐもぐ・・・。
ちゅわ〜ん、やっぱり美味しいでし〜。
・・・あれっ、なんか書いてあるでし。えーと・・・。
“この饅頭はいずぴーからもらったルーアンのよん。勝手に食べちゃったら容赦しないんだから♪”
びくううぅ!!なんと、これはルーアンしゃんのだったんでしか!!
まずいでし、まずいでし。離珠が勝手に食べたと知ったら絶対酷い目にあわされるでしよー。
それにしてもずいぶんルンルンな書き方でしね・・・って、和んでる場合じゃないでし!
「たっだいまーん!さあって、とっといたおやつ食〜べよっと。」
はうううぅ!?も、戻ってきたでしいぃ!!
どうしようどうしよう・・・こうなったら隠れるっきゃないでし!
そして近くにあった置物の陰に素早く隠れたんでし。
「さあて、あたしのお饅頭・・・誰か食べた後が・・・?
この様子からして・・・ごみちび!!あんのやろー、勝手に人の饅頭をおおおお!!!」
えう〜、なんだかいつものルーアンしゃんじゃないでし〜。
『危険がすぐそばまで迫っている状態』という事でし。
この後、結局離珠はルーアンしゃんに見つかってしまい・・・。
どうなったかは言いたくないでし。うえええん、怖かったでしよ〜。
戻るでし。